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12話 困った時は?

 

 

王国からの使者が闇に葬られてしばらくの後、ガリク将軍率いる王国軍は壊滅の憂き目に遭っていた。

元々、反対派に散々に邪魔をされ、まともな装備も無いままに、しかも目標が変わったのを無視し、山岳地帯のブルマン領向けの装備にしたままで、平野の敵に向かっていったからでもある。

山岳地帯と言ってもそこまでの山が連なっている訳ではないが、それでも馬車などの通れない場所も多い。

もちろん交易の為の道もありはするが、今は封鎖されている訳である。

侵攻が目的なのだからそんな道など元々通る気もなく、歩兵主体での軍を組んでいた。

それは物資が滞る彼らにはある意味、好都合でもあった。なのでそのままの兵装のままで侵略軍に立ち向かったのだ。


ところが相手は馬を主体にした機動部隊、散々にかき回されたところに魔法の攻撃。

この魔法の攻撃にも差があった。森林地帯で火の魔法は禁じ手である。

それは自らも火に巻かれる可能性が高い為であり、その魔法部隊も土系を多く連れていた。

だが相手は風と火の魔術師がメインとなり、平原を焼き尽くす勢いで兵達を翻弄したのである。


またガリク将軍の用兵にも問題があった。

彼は高いプライドを持った者であり、それゆえか戦力の逐次投入をやってしまったのだ。

元々、兵数だけは多い全軍。それは侵略軍の数倍以上ともなり、彼は小手調べの小勢を送り、不利と見て少しずつ兵を足していった。


そんな用兵を見た南の国の国王は、いけると踏んで第二第三の王子をそれぞれ、西と東の軍に使者として送り、左右からの挟撃を進言する。

もちろん、それに見合う報酬を付けての話だが、彼は既に亡命領主達の領地とその周囲を得ており、今更それに付け足す必要は無いぐらいになっている。

今回の遭遇は、それを消さんが為に送られてきた兵であり、南の国としては速やかに撤退出来ればどうでも良かったのである。


後の分割に有利とあって、西も東もそれに乗せられた。

逐次投入でかなり減っていた王国全軍に対し、西と東から挟撃が成され、将軍は振って沸いた敵の存在に慌てふためき、文字通り右往左往する羽目になる。

そんな中、将軍の手腕に散々に嫌気が差していた副官は、遂には彼を見切る。

パニックのように朝令暮改を繰り返す彼に、こっそりと寄って首を落とす。

驚く周囲に対し、全軍を纏めてブルマンに助けを求めると。元は同じ王国の民、話せばきっと分かってもらえると。それてこの首を持参すればそれが叶うと・・


元々彼は将軍さえ居なければ軍のトップに立てる程の男であったが、生憎とその地位は低かった。

伯爵たる将軍に対し、彼は男爵のそれも子弟。それでも有能な彼は将軍にここぞという策を授けていた。

それは兵達の為であったが、有効利用したのは将軍であり、それで何度か勲章を得た事もあったが、ついぞ報われる事は無かったのである。

彼は兵達に慕われていた事もあり、今回の暴挙とも言える事態にも何とか留まった。

そして残された全軍を纏め上げ、ブルマン領に向けて必死の行軍を開始した。


そんな動きは当然、ブルマン領にも伝わっていて、何か様子が違うと話し合っていた。

彼の人となりも資料になっており、将軍とは毛色の違う出自とその人気に、これはもしかしてと・・


「こいつ、オレ達に助けを求めに来てんだな」

「オレ達に王国を獲れってか」

「対岸の火事にも飽きた。良いんじゃねぇか?もらっちまっても」

「そうだよな。このままだとオレ達の通常兵器すら出番無しになりそうだし」

「ま、とりあえず助けてみようぜ」

「おしっ・・カラスに送る。王国敗残兵共と接触を取り、傘下に入るようなら15番格納庫に誘導されたし。繰り返す・・」

「15番って言や、オーク農場の近くだよな」

「裏切ったら全員、農場勤務か」

「敵が多い程、我らの生活は豊かになるってか」

「ああ、だからの防衛構想な訳なんだし、攻める意味など無いって事なのさ」

「なら、今回は侵略軍を蹴散らすだけで良いのかな」

「何か貰おうぜ。折角だしよ」

「ならよ、鉱山とかの採掘権とかどうだ」

「鉱山なら周囲に腐るほどあるじゃねぇか」

「まあ、そうだけどさ、何か貰わないとまた王様、図に乗るぜ」

「困った時は?」

「「守護神に聞く」」

「はい、正解」


彼はストレスが溜まっていた。

確かにダーク系から復帰はしたものの、発散のつもりのワイバーン討伐の前に派手な格好にされ、それを東の国の者達に見られたうえに、ろくな戦いにもならずに終わったのだから。彼は本当なら口封じの為に殲滅したかったが、生憎と上空には偵察隊が常駐している。

話し合いの最中の一方的な殲滅など、あんまり見せたくなかったのである。

そして帰ってきたらミカの大爆笑に迎えられた彼は、魔皇子の時の騒動と合わせて、そこらの魔物の殲滅でもしようかと思っていた矢先の事だった。

作戦本部から事情が伝えられ、発散に利用しようと考えたのだ。

なのでここは自分が出ると言い、彼らには後詰を頼んでおいた・・


「ひょー、守護神の直接戦闘が見られるとはよ、オレ達ついてるぜ」

「終わったら爺さんに自慢してやろっと」

「ああ、爺さん達、若い頃にそれを見たって散々自慢しやがるしよ」

「けどよ、守護神って魔法が派手なんだろ」

「聞いた話だけどよ、アニメみたいな魔法が使えるってよ」

「それって、もしかして、長い呪文唱えて街を壊滅させるような」

「確かに守護神はドラゴンも逃げるぐらいだけどよ、それとはちょっと違うらしいな」

「じゃあ、今回、それが見られると」

「さっきな、全軍に対し、後詰の為の情報獲得の指令が下されたんだ」

「おいおい、それって・・」

「ああ、全員、モニターで観戦して良いってお達しさ」

「くっくっくっ、中々の計らいじゃねぇかよ」


そうか、良いってか、くっくっくっ・・

そう言う事なら思いっ切り発散させてもらおうか・・

情報端末を出してヒマワリと接続・・

上空からの兵分布を確認後、投下地点を確定する・・ここと・・ここだな。

くくく、2発など当時は無理だったが、今のオレには余裕だぜ。

そうだ、この際だから【流星群】といくか。

あいつもかなりやれそうな感じになってきたし。

もう沖合いでばかりテストするのにも飽きたし、ここらで本番と行くか、クククッ・・


目標地点の遥か上空。それはヒマワリよりも高度からの魔法攻撃。

ヒマワリのカメラはそれを克明に捉え、全軍は固唾を呑んで見守る。

話には聞くが初めて見る守護神の本気攻撃・・成層圏近くに物質が複数構築されていく。

そして構築された物体は、目標地点に誘導されながら、次第に速度を増していく。

そして次の地点にと移動し、また同じような事をやる。領の全軍の見守る中、侵略軍は壊滅した。

それは15番格納庫の中でモニターを見ていた王国軍の残党も同様で、守護神の底力を垣間見た者達は、元々勝ち目の無い相手だったのを知ったのだった。


「伝説の星墜とし、まだ健在なのか、守護神は・・引けぇぇ、撤退だぁぁぁ」

「いかん、あれは伝説の・・守護神が出て来たんだな・・撤退しろぉぉぉ」

「全軍撤退だっ、武器など捨てていけぇ、急がないと死ぬぞぉぉぉ」


3国の残党達はそれぞれに撤退していく。それぞれがそれぞれの国で知った途轍もない魔法攻撃。

それはかつてある国に用いられた魔法であり、それ1発でその国の王都が壊滅したという、御伽噺のような攻撃。

今までそれを本当に御伽噺と思っていた奴らも、自分の目で見る羽目になり、這う這うの体で逃走した。

枯渇に近いぐらいに放出した彼は、サッパリとした表情でミカの元に帰り、そのまましっぽりと・・


王国の残党達はすっかり萎縮しており、それと共に傘下に入りたいと口々に叫ぶ。

そして元副官も同様で、このような設備をあっさりと拵える領の実力に、更には守護神の驚異的な力に心酔したのだった。


彼は久しぶりにスッキリしたそうです。

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