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異世界ツアー2 ~異世界の未来とその趨勢~  作者: 黒田明人
2章 王国内紛という名の独立戦争
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11話 地下帝国

 

 

ブルマン領は獣人保護区として周囲に知られているが、それは地上の話。

地下は趣味の者達の世界。それは領地防衛の者達をも含む。

なので砦も地下で繋がっているのであり、首都の地下まで繋がっているのである。

確かに地下鉄は公共交通機関となってはいるが、あれをタダで使えるのは獣人だけとなっていて、人間は有料である。

もっとも、地下鉄は町の中をぐるりと一周しているだけなので、仕入れ業者御用達みたいなところがある。


砦ラインは更にその地下になっていて、魔導ラインもその階層を走っている。

実は過去の記録からも地震が全く観測されてないので、これはいけると考えた末の結論。

地震国ですら地下鉄があったのだ、無いのなら作り放題では無いかと・・

確かに地下なら魔物に襲われる事も無く、他国の目に晒される事もない。

機密の面からも有効という事で、現在に至る訳だ。

世には迷宮というものがあり、首都の地下もそれに似たようなものだ。


防衛関連の一切に、運営関連の殆ど、それにバイオ農場や各種試験施設と多岐に至る。

元々、地上は獣人達の集落があった場所なので、かなり起伏に富んでいる。早い話が平野が少ないのだ。

だからこそ全ての貴族が嫌がった場所な訳で、普通ならとても自給率の稼げそうにない場所となっている。

なので創意工夫と気候制御の恩恵で今の高い自給率を維持している訳だが、その創意工夫に問題があった。

彼らは地下にそれを求めたのだ。


現在の首都地下は、15階層にまで及んでいて、ちょっとした迷宮という感じになっている。

そしてその最下層に蠢く影・・まあ、スライムなのだが。

他にもオーク農場とかもあり、意外と魔物が住んでいる場所でもある。

地上からのゴミは地下で分別され、最終処分場として最下層に送り込まれる。


その中でも比較的程度の良い物はオーク農場に送られていて、彼らの食事になっている。

最近、餌係に新人が入り、毎日オークに餌をやっている。

彼は隷属の魔法を使われてはいるが、それは逃げない為のものであり、人間として最低限以上の生活は送れている。

他にもかなりの人数がいるが、大抵は領民以外なのだ。

以前にもいくらか送られてきて、隷属の魔法で働いているが、またもう少しすると増えるかも知れないと言われた。


殲滅と記録された敵のうち、こうして地下の住民になった者も多い。

彼らは表向き、死んだ人間なのだ。だからもう二度と外に出る事は出来ないが、それはある意味、自業自得な面もある。

いかに命令でも他領に攻め込んだ以上、仕方の無い事なのだ。

人に言われたら殺すのか、というあの問答のような話。

彼らは人に言われて殺しに来た訳であり、殺されるのもまた必然。

命の軽い世界と割り切って、彼らを使い潰している。

なので死ねば最下層行きになる訳であり、そこで彼らはスライムの餌になる。


そんなアンダーグラウンドな世界の中でも、オーク農場はかなり大々的に行っている事業のひとつ。

全員が隷属状態なので反抗もなく、絶対服従で速やかに運営されている。

彼らの内訳は、他国からの間諜や、凶悪犯罪者などである。

この凶悪犯罪者と言うのは、例えば獣人を殺害した者などになり、蹴ったぐらいだとくすぐりの刑に処される事になる。


オーク農場からの製品は地下で加工され、地上に送られている。

一時、牧場では無いのかという意見も出たが、相手が魔物だから家畜じゃないという意見で農場になったという変な話が残っている。

それはともかく、この地下からの肉は柔らかくて旨いと評判になっていて、食い物屋の肉は大抵がこれである。

天然物と食べ比べた人の話によると、豚肉と猪肉の違いが近いという話だったとか。

農場のオークは天然とは比べ物にならないぐらい太っており、2本足ではもう歩けなくなり、4つ足で歩いている。


そのうち豚になるんじゃないかと言うのが大半の意見で、今日もフガフガと鳴きながら餌を食んでいる。

殺される為に育てられるというのも哀れだが、野山で経験値の為に狩られると言うのも充分に哀れだろう。

だがそれが世界の決まり事なら、それに文句を言っても仕方がないのだろう。


さて、ここで出た廃棄物は当然、最下層に送られるが、そのスライムはどれくらい生息しているのだろうか。

こんな事にまで事情通が居るのには驚くばかりだが、彼の言によるとスライムの総数は数百万にも及び、最下層の床は全てスライムで覆われているとの事だ。


しかしである。このシステムが導入されたのが80年も前の事だとすると、もっと多くても不思議じゃないとは思わないだろうか。

そうしたら事情通は訳知り顔に、ゴミを落としたらスライムは死ぬだろう、だから溢れないんだよと。

言われてみれば確かにそうである。あれらは軽く叩くだけで死ぬ魔物、ならばそれで釣り合いが取れているのだなと思われた。


当時の開発主任には非難の声も出たらしい。それもそうだ。魔物を町の中に入れるだけでも非常識なのに、それに餌をやるような行為だからだ。

当時は溢れて来るんじゃないかとか、子供が落ちたら食べられるとか、色々な意見が出たらしい。

だが彼はそれらを全て説得し、対処して導入したという。

そして現在、彼の事は先見の明があった偉人の一人として、広場中央にある偉人の塔にその名前が記されている。

その彼の名はユージ・アオヤマとなっているが、一体どのような人だったのだろう。筆者はそれが知りたくて堪らないのだった。


「ふうっ、このレポート、誰が書いたの?」

「今、ここに来ている自称ルポライターさん」

「観光案内に使えそうな文章だね、これ」

「お、それ良いね、早速交渉してみるよ。ありがとう、守護神」

「たださ、機密が混じってるよね、誰が漏らしたの?」

「えっ、機密って?」

「地下の事とか砦の専用路線、あれ、他に知られるとちょっとね」

「あああ、誰だぁぁぁ」

「まあ、そこんとこ、削れば何とかなるでしょ」

「はは、仕方が無いっすね、戦争とか100年振りぐらいだし」

「まあ、スパイの類は来たほうがありがたいってか」

「いやぁ・・そこまで言われると何だけど、まあ、地下の人員は多いほうがありがたいし」

「今、どれぐらい働いてんの?」

「全貌はオレにもちょっと・・けど、数万ぐらいっすかね」

「あれらも奴隷みたいなものだな」

「けど、自分からそれを望んだようなものだし、自業自得で役に立ってもらってるんすよ」

「まあそういう事だな。まあその自称なんとかさんも同類の気がするけどね」

「とりあえず懐柔してみて、とぼけるようならそうしようかな」

「文才があるなら懐柔に応じて欲しいね」

「まだ気にしてるんすか」

「あれからかなりやったんだけどね、相変わらず描写はダメだわ」

「でも、他が凄いから」

「はは、ありがとうな」


今回は白鳥の足の話。

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