表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

合コンのススメ

作者: 虎子

「俺はユウヤ、アケミちゃんのメル友です」

「僕が信二、ユウヤの友達です」


「どうも始めまして、えっと、アケミです」

「で、私はアケミの友達の美々です。お願いしまーす」


アケミはカチコチに緊張していたが

目の前の好青年二人は、優しそうな笑顔で私たちに握手してくれる。


そう、これは合コン。私には人生初めての合コン。

アケミとユウヤがお互いメル友で、今日初めて会うらしい。

ありふれたチェーン店の居酒屋で、ウーロンハイを飲みながら私は好青年達を観察する。


ユウヤは短髪でもみ上げが長い気がする、ワイルドな感じだが笑顔が可愛い。

信二は、茶髪で少し髪が長め、でも軽薄な感じでは無く、爽やかな感じ。


皆同い年。皆同じ大学卒業生。しかし科が違った為、大学内では会わなかったみたい。


「で、アケミは緊張しすぎよ、ほら、深呼吸して」

「うー美々、何をどうすれば」

「私に聞かないでよ」


ハハハと男性陣は笑うと、ユウヤが教えてくれた。

「なんでメル友になったかと言うと、共通の友達がいたんだ、それで、紹介してもらって。本当は一対一で俺は会いたかったんだけど。アケミちゃんが美々ちゃんも一緒という希望で、こうなりました」

「そうそう。それで、まぁ、ユウヤに誘われて僕も来ました」、と信二。


「えー、アケミはちょっと人見知りだけど、でも優しくて良い子なので、どうぞ宜しくお願いします」

私がペコリと頭を下げるとユウヤは照れくさそうに


「ま、まだ付き合って居ないから。でもこちらこそ宜しくお願いします」

とペコペコ。

格段悪い人じゃさなそうだ。良かったねとアケミの背中をポンポンと叩いた。


「いやぁ、でもアケミちゃんは貰った写真通りの可愛らしい人で、俺もちょっと安心したッ」

そういって、本当に安心したようにユウヤは生ビールを一口飲んだ。

「え、そうなの?、あ、もう写真交換とかはしてるんだ?」


「うん。そう。初めて会うのに顔も分からないとやっぱり不安だったみたいで。アケミちゃんの要望で、交換したんだ」

「ふーん」「ふーん」


私と信二は、相槌を打つ。

「わ、私も。ユウヤさん写メよりかっこいいから、ちょっと驚きました」

「ほう」「ほほほう」


「よかったねぇ」「よかったねぇ」

私と信二は此処に何をしに来たんだろう、とでも言うように笑顔でアイコンタクトを送りあっていた。


注文していた料理も粗方出揃い、各々端で突付いて空腹を満たす。

会話の中心はもっぱら大学時代のことで、専攻科目が違うとこんなにも異なる大学生活を送るのかという

ギャップで話は弾んだ。

アケミも徐々に緊張が解けたのか、話に加わってくるようになる。

私もグラスを二杯開けて、徐々にお酒が回って来た。


「しかし、ユウヤさんがなかなか良い人そうで良かったわぁ、安心したよー」

「ユウヤ顔怖いからねー、僕も初めて会ったときは身構えたもんだよー」

「えぇ!美々ちゃんは許すけど、信二お前もかよぅぅッ」


ハハハハハ、笑いが耐えない。うん、いいなぁこういうの。合コンも楽しいかもしれない。

そう思いながら焼酎の水割りを飲む私。


ん?私、親父臭い?


「そう言えば、美々ちゃんは彼氏は居ないの?」

不意に信二が聞いてきた。

「んー、私は居ないよ」

「美々は、1年くらい居ないよね」

「そうそう。大学を卒業するとね、出会いが無いのよ。顔を合わす人間って職場の人位じゃない?」


ふーん、と信二は興味深そうに私の顔をまじまじと見つめる。

「何か着いてる?そういう信二さんは?」

「僕は今彼女居ないけど、好きな人なら居るよ」


「ほう」「ほう」「え、誰?俺初耳だし」

3人の視線が一斉に信二に集中した。

友達のユウヤですらしらない片思い相手に興味を掻きたてられる。


なかなかのイケメンだもの、彼女位いると思った。というか、好きな人は相当な美人に違いない。


そんな皆の思惑が逆に信二を驚かせる。


「え、そんなに意外?」

信二は困ったように笑った。改めてみると信二男前だなぁ。


「うん意外」、と私

「なんか、女性慣れしてますもんね、てっきり居るのかと思いました」、とアケミ

「つか、前の彼女とはもう別れたの?」、とユウヤ


ユウヤがとどめの一言を言うと、信二はため息をついて元気を無くした。

「もう別れたよ、言ったじゃん。浮気されたって」

「あ、そうだった」



そこから、信二の愚痴大会が始まった。

普通、男性というものはあまりこういう恋愛話をしないものだと思ってはいたが。

意外と話すんだなーと、関心したものだ。


まぁ、私とアケミが調子づいて根掘り葉掘り聞いたというのもあるが・・・。

信二は酒を片手にそれは熱心に教えてくれた。

しかし私は、酒の席だったから、詳細はほとんど聞いたくせに記憶に無い、というか多分聞いてなかった。


だって、途中から呂律もろくに回らず、つぶれる寸前だったから。






結局、アケミとユウヤは良い感じになり。

ユウヤも信二を心配したが、信二自信の大丈夫宣言でしぶしぶ帰った。

アケミと同じ方面だったのでタクシーで去っていく二人は、もうすっかり恋人に見えた。


本当に、私と信二は何をしに来たんだか・・・。



信二は酒の力無くして語れなかったようで、結構飲んでいた。

しかしフラフラになりながらも自転車で帰ると言い、トボトボ歩いて私に着いて来た。

終電で帰る私を、駅まで送ってくれるつもりらしい。

イケメンは何をしてもイケメンだ、と思った事は心の隅にしまっておこう。


というか、私が付き添わないと不安で溜まらない・・・。

コケて事故にでも逢えば一大事だ。


「家は?近いの?何処?」

「Y町だけど・・・」

「十分歩いて行けるね、付き添ってあげるよ、ごめんねーお酒いっぱい飲ませちゃって・・・」

「だいじょうぶ」


どう見ても大丈夫じゃない。フラフラして真っ直ぐに歩いてない。

こんなに酔っ払った人間を、私は初めて見たよ。私も酔ってるけど。

あんまり喋る事も無く、時折道路に飛び出しそうになる信二を引っ張りながらひたすら歩く。


歩いて30分、彼のアパートの下までようやく着いた。

歩いたお陰か、彼も少しはお酒が抜けたようだ。

相変わらずまだ少しフラフラだけど。


「ごめん、電車が・・・」

「いいの、タクシーで帰るから」


「大丈夫?」

「ううん・・」


「大丈夫じゃないの?部屋まで行く?」

「・・・うん」


信二を引っ張ってエレベータに乗らせる。ついでに玄関まで着いていく、鍵を開けた所を見て、私は帰ろうとした。

「・・・まって」

「何?お家着いたよ、もう寝なさい」


「電話番号・・・」


・・・・。あーそういう事。まあいっか。

電話番号を教えてもらってワン切りをする。


「いい?コレ私の番号だからね」

「うん」

「じゃぁお休み、今日は楽しかった」


「うん・・・・ありがとう・・・」






帰りのタクシーの中、一通のメールが来た。アケミからだ。





題名・ありがとう

今日はありがとう、美々のお陰で彼氏が出来ました。

美々にも、早く良い人が出来たら良いな§^。^§☆






翌日、昨日の番号から電話が掛かって来た、お酒抜きの食事の誘いだった。

たまには、合コンも良いかも知れないな。

合コンからの出会いも、アリだと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ