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日常と私と任務1

この国では、騎士はその護衛対象により色別されます。

全部で銀、黒、白、赤、青の五色で構成されていて、

「王族」を守護する「銀月」の騎士団を頂点とし、

「神殿」を守護する「黒夜」、

「王都」を守護する「白明」、

「地方」を守護する「青星」、

「国境」を守護する「赤星」と別けられ、完全なピラミッド型の実力図になっています。

隊の構成人数も下に行くほど多くなっています。

騎士兵団には五人の騎士長がいて、その中で「銀」の騎士長が「騎士団長」も兼ねているようです。

上に行くほど権力や名誉なども増えるので、一番偉いのが「銀」の方々ということですね。


あ、あと入隊後驚いたことががありまして。

この国では、神殿と王族が密接にかかわり合っているので、この2つをまとめて「王宮付き」としているようです。

いや、いくら深い仲(・・・というと誤解があるかな)とはいえ、神殿と王族を一緒にするなという感じですが、まぁそこはそれ。

ひっくるめての人気職らしいです。

私が仕える事になる国は、神殿の信仰する宗教の力を借りて国を治めているところがあるのかもしれません。


私は騎士に昇格後、そのまま神殿守護の「黒夜」に配属されました。

いくら剣闘大会で優勝して実力を証明されているとはいえ、入隊後いきなり黒夜に配属されるのは異例中の異例であるらしいのですが(事件後仲良くなった見習い仲間の友人談)、

そこにはあのお方の影がちらついていたのかもしれませんし、それ以外の理由があったのかもしれません。

しかし、生憎と私には何の興味をありません。


ようはお金さえくれればいいわけです。

あの方を困らせない収入が欲しいのです。


聞けば騎士自体が結構な高給取りというではないですか。

黒夜ともなればさらに多くの収入を期待できるわけで、そちらに気が向いていた私には入隊の理由になんの文句も疑問もなかったのです。


さて、支給された騎士服はそれぞれの隊によって微妙に異なっていて、とてもかっこいいものでした。

さすがに、皆が憧れる職業の制服ですね。

洗練されたデザインの上に動きやすくて機能面もばっちりカバーなのが、なんとも「金かけてるなぁ」という感じです。

見た目は「これぞファンタジー!」と主張している騎士服なので、自分が着るのには少し抵抗ありましたが、それももう慣れてしまいました。


そうして、5年目の春です。

以前に申し上げた通り、こちらにきてから5年が経ちました。


黒夜に配属されて2年目の私は、実力主義の騎士兵団の中で、順調に周囲に認められていきました。

認められるにはかなりの時間がかかりましたがね。


2年ですよ、2年。


こなした任務も危険度が高いものばかりです。

神殿を守護するといっても、大神官や大司教といった神職の上流階級には選び抜かれた専任の護衛方が就いておりますので、新人である私は地道に課せられる任務をこなすことしかできませんでした。

王都を出て地方の神殿へ出張していく神官の警護オトモともいうや神殿警備、果ては神殿内の汚職などを探る諜報活動など、種類も様々なことをこなしてきました。

私が獣人であるせいでしょうか。

特に汚れ仕事などをさせられていたような気がしますね。


いくら神に仕える神官だろうと、欲にまみれてしまえばただの強欲な人間です。

そういった方達の裏を取り実証した上で私たち黒夜の騎士は、仕える主の望みに従い強欲な彼らを処罰することもありました。

守護と断罪。

それが黒夜という騎士兵団の役割でもあったようです。


そんなこんなで周囲に認められた結果、多少気になった周りの「この猫め・・・」みたいな視線も徐々になくなりました。

あと、ここでもお友達ができましたし!

皆さん個性的な人たちばかりで、最初は「ここでやっていけるのかな」と遠い目をしたものですが、人間やればなんとかなるものです。

あ、いまは獣人ですが。


今日は本来の私の任務である神殿の巡回警護です。

昨日まではボンク・・・げほ、失礼。貴族出身の我が儘平神官の警護をしていましたが、何がいけなかったのか解任されてこちらに回されました。

なんでだろう。表面上はちゃんとお仕事してたのにな。

どんなに腹立っても手は抜かないのが私の騎士見習い時代からのポリシーだし。

けれど解任されて安心したのも事実ですけどね。


晴れ渡る空は夜目に特化した私の目には若干眩しいくらいですが、やはり天気がいいと気分もよくなるものです。

神殿はとても広いので、いくつかの区域にわけ一区域を数人で担当します。

神殿内の重要な区域はそれなりの人が巡回していますが、私は平騎士なのでのんびりとした空気が流れる中庭を見回っていました。

中庭といっても広いので、ここも数人で担当してます。


と、前方に不振な場所を発見。

手入れの行き届いた生け垣が不自然にがさがさと揺れています。

まるで何かが木を揺らしているみたいに。



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