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入部届

凉先輩のドラムに圧倒され、自信をなくしかける僕。そんなとき和平先輩の言葉が胸に刺さった僕は再びドラムを叩き始めようとしたそのとき、、

凉先輩がひとしきり叩き終えた後、思わず拍手をしてしまった。

隣にいた和平先輩も僕以上に盛り上がる拍手をしていた。


和平:先輩、流石っす!めっちゃカッコ良かったっす!


凉:あぁ ありがとう、吹奏楽じゃあまり使わないフレーズばかりだけどね。というよりドラムセット自体そんなに出番ないかもだけど。普段は打楽器としてスネアだけだったり、大太鼓、ティンパニンとかとか、組み合わせて音を作るからやることはたくさんある感じかな。打楽器はタイミングが重要になってくるから外すと恥ずかしいよ〜。


凉先輩は照れながら半笑いし、スティックを指で回しながら話した。


僕:ドラム!かっこいいです!

凉先輩はいつからドラム叩いてるんですか?


凉:いつからだっけ?そう聞かれるといつかわからないけど物心ついた頃にはスティック持ってたかな〜


凉先輩は半ばカッコをつけながらスティックの先端で頭をかいていた。


僕:ドラムって相当練習が必要なんですね!僕もできるようになってみたいですけど、先輩みたくなれるか、、


和平先輩が後ろから僕の背中を叩き、睨みつける。


僕:痛っ!


和平:まだ数分しか触ってねーのに何言ってんだよ!やるかやらないかはテメェ次第だろうが!やりたければやりゃーいいじゃねーか!ウジウジ考えるよりまずやってみろよ!そっからじゃなきゃ始まんねーだろ!


僕:はっはい!


僕は思わず熱に押されて返事をしてしまったが、和平先輩の真剣でブレない眼光はとても説得力があるように思えた。

そして和平先輩は僕の目を見るなり自分のバッグがらスティックを僕に渡す。


和平:ほれ、やってみ!


僕はお礼を言いながらスティックを持つ。

凉先輩が椅子を開け、僕を座らせる。

和平先輩のスティックは中心部と先端部がかなりボロボロで木の枝のように笹むけていた。

僕はバスドラムを何度か踏みながら、さっき教わった8ビートをハイハットから叩き始めようとした。


その時、音楽準備室のドアが勢いよく開く。


先輩:ちょっと!もうホームルーム始まるよ!


僕はどこかで見たことあるような気がして首を傾げる。


先輩:あーっ 新歓にいた男の子!!

やっぱり興味あるんじゃん!


僕はその時すぐに思い出したが、忘れていた自分が情けなく思い顔を赤くし恥ずかしさが相まったまま会釈をした。


僕:そっ その節はお誘いありがとうございました。


僕の仰々しい態度をそっちのけにして先輩は早歩きで近づき、指を刺しながら言い放つ。


先輩:君には絶対にウチ(吹奏楽部)に入ってもらいます。


僕:えっ!


和平:おいおい。そりゃちょい強引じゃねーのか?


凉:そうだよ。そりゃ彼だって急には決められないよ!


先輩はニヤリと笑いながら準備室の机(おそらく先生が使用している机)の引き出しから何やら紙を取り出し僕の目の前に突き出す。入部届である。

僕が焦っていると先輩が得意気に話を続ける。


先輩:私は見たのでつ!彼が河岸の土手でマウスピースを吹く練習をしていたとこを。そして結構しっかりとした音が出ていたことを私は知っているのでつ!


和平:おまっドラムが初めてじゃなかったんか?!


先輩は片手に持った鉛筆を軽く振りながら探偵がもつ虫眼鏡のように口元のわ近くに持ちながら話す。


先輩:そして私は気づいてしまったのだよ和平君。もしかしたら彼は楽器をやってみたいのではと!

しかし、彼は楽器を持っていないので、やりたいことが出来ないこのもどかしさを存分に奮っていただこうと私は我が誇る吹奏楽部で是非演奏してみてはと思ったのでつ!

この推測が正しければ君には次とないチャンスになるはずだが、君はどうしたい?


先輩は持っていた入部届と鉛筆を僕に向け真っすぐで清々しくはっきりとした眼差しで見ている。

確かに僕は楽器に触っているときは楽しかった。またやりたいと思っていたが、本当にやりたいかはまだわからなかった。そんな曖昧な気持ちを引きずりつつも先輩の気迫に圧倒された僕はそのまま入部届と鉛筆をを受け取り、名前を書く。


僕:先輩に あの河岸での練習を見られていたのは驚きです。


凉:っというより、放課後の行動まで尾行してるのはある意味犯罪?


凉先輩が首を傾げながら不思議そうに先輩を見る。


先輩:ちっちがくて!それはたまたま下校する時に見かけただけだって!


先輩は言い訳をしながら凉先輩に言い寄る。

凉先輩はまぶたを半分にした目で先輩の顔を見る。


先輩:本当だって!!


僕:そういえば先輩のお名前はなんて言うんですか?


和平:お前、後輩に名前も言ってなかったんか!


和平先輩は頭を下げて片手で顔を支えながらため息をついた。


先輩:しょうがないじゃん言う機会なんてなかったし、ごめんね。後輩君!


先輩は和平先輩に言い訳をしながら、僕に向けて手を合わせた。


僕:いえっ僕も言うタイミングなかったのでお互い様ですね。

僕はシノザキユズル(篠崎 結弦)って言います。


僕は入部届と鉛筆を渡しながら名前を言う。


先輩:シノザキ君かー よろしく!

私はタチバナアカリ(橘 あかり) 文字通り明るさが取り柄なお姉さんよ!


キーンコーンカーンコーン

本鈴が鳴る


和平:やばい、本鈴だぞ!


僕は先輩達と共に廊下に飛び出る。

僕が驚いた顔をしているとすかさず凉先輩が荷物をまとめて言い放つ。


凉:お前が言うかね〜

鍵俺が返しておくから先行け!


和平:先輩あざっす!


橘:ちょっと待ってよー!

じゃあまた放課後ねシノザキ君!


嵐のように去る先輩たちの足音を聞きながら、音楽準備室前には本鈴の余韻だけかわ響き渡った。


放課後の練習を橘先輩に目撃されていたことがきっかけで半強引に吹奏楽部に入部した僕はこれから吹奏楽部員として放課後練習することになる。

担当パートはどこになるのやら、、

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