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5話 振動

音を頼りに音楽準備室にたどり着いた僕は集団リンチに合うかの如く大きながたいの人に怯えて腰が抜ける。

目の前からは巨人、横からも人が歩いてくるのを感じる。

冷や汗がひたいから流れ落ちそうなくらい焦っていた僕は何もできず座り伏せっていた。すると、、、、

僕は唾を飲み、額に汗が走る。


その時、後ろからから声がした。


太鼓人:ごめんねーこいつ喧嘩っ早いから、すぐにつっかかる癖があるんよ。

音楽室には何か用があってきたんだろ?

あいにく先生は今、職員会議中だからいないんだよね〜。


軽い口調で話しかけてきた人はさっきまでいくつもの太鼓を叩いていた人だった。

僕は少し気が楽になったのか上がっていた肩が下に降りる。


太鼓人:大丈夫?すごい腰抜かしてるみたいだけど立てる?


僕は差しだされた手を握り立ち上がった時、ものすごく硬い石の様なものを掴んだ気がした。

彼は掴んだ手を握り直し挨拶された。

太鼓人:俺は3年のヤガミ リョウ (八神凉)あっちの目つきやばくて背の高いやつが2年のイガラシ ワヘイ(五十嵐 和平)だよ、よろしく。


僕:だっ、、大丈夫です。僕はシノザキユズル(篠崎 結弦)です。よろしくお願いします。


僕は間を空けずに興味本位で聞いてみた。


僕:さっきすごい音が準備室から響いてましたけど、あの太鼓を叩いてたんですか?音に惹かれてここまできてしまいました。


凉:おっ! これに興味あるん?


凉先輩は嬉しそうに僕の肩を両手で後ろから軽く押し始め、二本のバチを渡す。


凉:んじゃここに着席や!


僕は言われるがままに、丸椅子に腰をかけ両手にバチを持ち直す。座ると思った以上に太鼓が近く、足元にもペダルの様なものがいくつもあり、あたふたとする。


凛:これはドラムセットって言って篠崎くんから見て目の前がスネア、左からハイタム、ミドルタム、ロータム、フロアタム、一番でかい足のペダルを使って音出すやつはバスドラム。

シンバルは左からハイハット、クラッシュシンバル、一個飛ばして(クラッシュシンバル)、ライドシンバル、チャイナシンバル。

で中央の一番ちっこいのが、スプラッシュシンバル。

オッケー?


凉先輩は指を一つひとつ示しながら、丁寧に教えてくれたが、僕はポカンとした表情を浮かべながらフリーズした。


凉:まー叩いてみればわかるよ!


凉先輩がそう言うと僕の後ろから左手の人差し指でハイハットを指差しながら、腕を振る。


凉:まずはこの指のリズムに合わせてにハイハットを叩いてごらん?


僕は言われるがままハイハットを左手のバチで叩く。


凉:いい感じだよ。じゃあ次は4回目と同じタイミングで右手のスティックでスネアを叩く。


凉先輩はそういいながら右手の人差し指を立てながらスネアに向かって腕を振るう。

僕はそれに合わせる様にスネアを叩く。


凉:そうそう、いい感じだ。次はちょっと難しいけど行けそう?


凉先輩は爽やかに笑いながら僕の肩をリズムよく叩き始めた。


凉:ハイハットの2回目と4回目の音に合わせてバスドラのペダルを足で踏んでごらん?


凉先輩は僕の肩でバスドラを踏むタイミングを手で教えてくれている。

僕はその通りに足でバスドラを踏む。


凉:いいね、君は筋がいいかも、向こうの力任せとは違って。


和平先輩の表情がムスッと変わり、腕組みをする。

凉先輩が肩を叩くのをやめると僕は急にタイミングが途端にわからなくなり、リズムが崩れ、手足が同じとリズムで動いてしまった。


凉:だけど集中と練習は必要かもね!


和平:そんなんもできねーのかよ!

てか普通ハイハットは右手で叩くもんだろーが!


凉先輩が和平先輩を見て笑う


凉:あははっ 別に誰も右手でハイハットを叩けなんて決めてないよ?左利きならむしろオープンスタイルで叩いた方が楽な場合もあるし!

現に僕は裏打ちする時は左手でハイハットたたくけどね〜


凉先輩はニンマリと笑いながら話した。

僕は夢中にさっき習ったリズムを思い出そうとするが、うまく行かずテンパっていた。


凉:貸してごらん?


凛先輩は僕の肩を叩きながら、手を目の前に差し出した。

僕は叩くのをやめ、スティックを渡し、席を譲る。

凉先輩が椅子に座ると少し椅子を調整し慣れた腕捌きでスネアを叩き、バスドラを踏む。


凉:オーケーオーケー

さっき教えたフレーズは8ビートって言ってドラムの基本的なフレーズの一つなんだ!

僕が叩くのをよく見てるんだよ?


凛先輩はまるで体にいくつもの関節があるかの様にしなやかにドラムセットを叩く姿を見ていたが、次第に手数が増えた様にテクニカルな動きを始める。


和平:くぅ〜 先輩の軽くしなやかなスティック捌きには感動するっす!


僕の横に並び、両拳を抱える様に歓喜している和平先輩。


さらに凉先輩の動きが早くなり、とうとう僕は目でスティックが追えなくなり、開いた口が塞がらず、ドラムの振動だけが体に残った。


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