2話 初めてのこと
新歓から日が経ちなかなか放課後の音楽室に踏み入れられない僕は帰り道に甲高い音を聞く。
音を辿るとそこには、、、
新歓より日が経ち、仮入部期間が始まって数日。あれから3階へ登る隅の階段を見ては折り返し、帰宅する日々が続いていた。
クラスでも早い人は入部届を出していた。自分だけ取り残されるようなよくわからない焦りだけが僕の中で膨らむばかりだった。
そんな最中、帰宅途中の川沿いで何やら甲高い音が遠くに聞こえる。僕は音を頼りに近づくと電車の高架下にたどり着いた。
聞こえてた音はラッパの音だった。
ラッパを吹いていた人は近所にある違う中学の制服を着ていた。その人の演奏している姿をしばらくみていると突然、こちらの様子に気がつき目が合うが、知らないふりをして違う曲を吹き始めた。その曲はなんかのドラマの主題歌にもなっていたバラード曲だった。
ラッパでバラードを吹くイメージがなかった僕は聴いていると初めての音色に魅了された。
ハリと緩やかさがあり、それでいて胸に響くような暖かさがあった。
僕は目を瞑って聞いた。
曲が終わると思わず拍手をしてしていた。とラッパを吹いていたその人は目を僕に向け、仰々しくお辞儀をした。
ラッパの人:そろそろ挨拶くらいしたらどう?南中学の誰かさん?
僕:すいません。勝手に立ち聴きするような仕方をして。僕は南中学1年のシノザキユズル(篠崎 結弦)です。
僕は半分申し訳なく頭を軽く下げながら挨拶をした。
ラッパの人:私は北中1年のシラトリチオ(白鳥千音)。よろしく!
白鳥はクスッと笑い、僕は挨拶をしながら笑う彼女を見れず、少し目をそらした。
白鳥:ペットに興味があるの?
篠崎:ペット?
白鳥:これのこと
白鳥は持っている楽器を指差しながら話す。
白鳥:これがトランペット!もしかして触ったことない?
僕は正直にうなずき、珍しそうにキラキラと輝くトランペットを眺めていると白鳥はトランペットを差し出した。
白鳥:触る?
僕は首を思い切り左右に振りながら話した。
僕:そんな高価なもの触れられないよ!!
白鳥はムスッとした表情を浮かべる。
白鳥:ちょっと待ってね!
白鳥は楽器のケースからプラスチックでできた小さい筒形のようなものを取り出した。
白鳥:これは「マウスピース」って言ってトランペットの音を出す一番大事な部分!形は11B4って言う標準的なカタチなんだけど吹くジャンルや曲によって自分にあったマッピを選ぶ人が多いんだって!私はこれで十分だけど、、
このマッピは練習用に作られたプラスチック製のものだけど、これで音が出るようになればトランペットで音が出るようになるよ!
白鳥は説明しながらプラスチック製のマウスピースを手渡す。
白鳥:それ、貸してあげる。私は本物あるから。
僕は白鳥の「本物」と言う言葉に憧れを持ちながらプラスチック製のマウスピースを受け取る。
僕:ありがとう。
僕は早速唇にマウスピースをあて息を通すが、ただスカスカと空気が流れるだけで音が出ない。
白鳥が笑った。
白鳥:ごめんごめん。私もそうだったけどみんな最初は音出ないんだよね。
白鳥は自分のマウスピースをトランペットから外し唇の前に構え、音を出す。
トランペット本体から出る音とは思えないくらい貧相な音で僕は驚いた。
白鳥:なに?
僕:いや、なんでもない。
白鳥は不思議そうに首を傾げる。
白鳥:吹く時のコツは唇を少し湿らせて頬で唇を張って、息の通り道を極薄にしてあげるの!
マッピを軽くあてて、そこに思いきり息を通す!
白鳥は説明した後自慢気にマウスピースから音を出す。
僕も言われた通り唇を張り、なるべく細く息を吹き出す。
なかなか出ない。
白鳥は見かねて僕の後ろから頬を引っ張る。
白鳥:思い切り吹け!
僕は顔が引きつりそうになりながら必死にマウスピースに息を送る。今思えば客観視するとかなり酷い絵面だが、その甲斐あって少しだけ音が出た。
白鳥:でた!
僕:でたね!
僕は頬の痛さよりも嬉しさの方が勝っていたため興奮が止まらなかった。
頬を赤らめた僕の顔を見て白鳥は笑い。
僕も白鳥の笑顔を見て笑う。
読んでくれるような惹きつけるための文章や構成がどう言うふうにすれば良いか模索中です。
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