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2回目の配信②

どのくらい時間が経ったろうか。

コメントを拾って、読んで、返して、名前を呼んで。

ーー多分、だいぶ慣れてきた……と思う。


そんなところにふっと流れてきたコメント。

《まだちょっとぎこちないw》

《でもそこがいい》

《らしいっちゃらしい》


悪意のある感じではなく、むしろ好意的なコメントだったが

(やっぱぎこちねぇよなぁ……)

人と話している、というよりも文字を追ってる感じというのは自分でもわかった。

ちらっと横を見ると、マスコットは満足そうにニコニコしている。


「なぁ……これどうすりゃいいんだ?」


小声で尋ねるとマスコットは軽いノリで言う。


『えー?それならみんなに聞いてみればよくなーい?』

『いまはマイエンジェル真琴ちゃん育成中なんだしー』


そういうのも、聞いていいのか?

一瞬ためらってから、画面に向き直る。


「あ……あのさ」

「ここでの会話うまくやるコツとか……ある?」


少しの沈黙のあと、コメントが動き出した。

《みんなを一人と考えて話す感じ?》

《大事な人がこう言ってたら、なんて返すとか考えたらいいって聞いたけど》

《家族とか友達とか思い浮かべたらいいんじゃない?》


大事な人、か。


特に深く考えたわけじゃない。

さっき一緒に飯食って、どうでもいい会話して

「兄ちゃんで我慢してやる」とか言われただけだ。

最後にあったのが妹だったから、なんとなく

(あいつでいいか)と考えた時、ちょうどコメントが流れた。


《また来たよー》

《仕事つかれたー》


その言葉が妹と重なる。

家のドアが開いて妹が帰ってくる感じ。

考えるよりも先に、口が動いた。


「……おかえり」


言った瞬間ハッとする。

「あ、やべ、間違えた」


画面が一瞬静まり返ったように見えた、が。

いきなりコメントが弾けた。


《え》

《おかえりって言った???》

《なにそれ刺さる》

《帰ってきた感やばい!!》


「いや、その違くてーー」


慌てて言い訳すると横から甲高い声が割り込んできた。


『出ましたー!!』

『真琴ちゃん!天然のタラシです!』

『無自覚に心刺してくるタイプ!』


「はぁ!?」


『これは沼ります!』

『帰ってきたら「おかえり」言ってくれる系Vです!』

『ただいまぁ!!!!』


マスコットが画面狭しと飛び跳ねる。

同時に画面も一気に騒がしくなった。

コメントが勢いよく流れ、重なっていく

その様子を眺めながら、思わず小さく息を漏らした。


「改めて、よくわからねぇ世界だわ。」


でもーー悪くは、ない。

胸の奥がまた、じんわりと温かくなったように感じた。


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