2回目の配信
ぬるっと。
本当に何事もなかったかのように、配信ルームに立たされていた。
足元は透き通った床。
頭上にはやけに綺麗な照明。
ファンシーな内装。
そして前方には、またあの配信画面。
《きた!?》
《2回目!!》
《今日も急だなw》
コメントが流れ始める。
『はいはいはいはい!第2回目の配信!始まりましたぁー!』
横から甲高い声が割り込んできた。
そこにいたのは前回と同じ丸っこい体にやたら愛想のいい笑顔のマスコットになった神。
『みんな元気ー!?会いたかったぁ!』
《マスコットきたw》
《今日もテンション高くて草》
「もうさ、お前が配信すればいいんじゃね…?」
真琴はボソっとつぶやく。
マスコットは意に介さず続ける。
『本日のテーマはこちら!真琴ちゃん完全初心者でーす!』
「ちゃん付けやめろ」
『リスナーのみなさーん!この子、右も左もわかってませーん!』
『なので!』
『一緒に育ててあげてくださーい!』
《育成ゲーはじまった》
《保護対象w》
《よし、任せろ》
「育てるってなんだよ……」
瞬間、コメントの勢いが増した。
《まずはコメントを読もう》
《挨拶した方がいい》
《ゆっくりでいいよ!》
「え、あ、コメント?」
『ほらほら真琴ちゃん!読む!読む!』
横でマスコットが騒ぐ。
「えっと…」
喉が鳴る。
《焦らなくて大丈夫》
《最初はみんなそう》
《おちついて!》
「……じゃ、じゃあ……」
「……こんばんは、です」
《きた!》
《こんばんはー!!》
《清楚系きゃわ!》
「えっと、そうだ、コメント……」
流れてくるコメントを追う。
《名前呼んでくれると嬉しい》
「あ、○○さん?こんばんは」
《わ、呼ばれた!》
《ありがとう!!》
胸の奥に、ふっと何かが触れた。
名前を呼ばれて嬉しいーーその感情がそのまま飛んできたように感じる。
《次、俺も呼んでほしい》
《距離感近くて嬉しい》
「……じゃあ次は」
と、コメントに目を凝らす。
誰かの名前を探している自分に気付いて、少しだけくすぐったかった。




