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目覚め

「ーーっ!」


目を開けると天井が見えた。

白い。

見慣れない天井。

鼻を突く消毒液の匂い。

規則正しい機械音。

病院という事に気付くのに少し時間がかかった。

頭に靄がかかっているような感覚がある。


「……戻った?」


ずきりと頭が痛む。

包帯の感触。

ーーあぁ、そうだ……俺は殴られて……。


「じゃああれは、夢……」

『じゃない』


低く淡々とした声。

視線を向けるとベッドの横に神が立っていた。

さっきまでのぬいぐるみの姿ではない。白いヒゲ、落ち着いた佇まい。


「お前……」

『あの姿は配信向けだ』

『媚びも演出も必要だろう』

「二重人格かよ」

『失礼だな』


神は咳払いをひとつしてから、真面目な顔になる。


『さて、本題だ』


その瞬間、視界の端に見覚えのあるゲージが浮かぶ。


『今の配信で君の命は延びた』

「……命?」

『正確には仮の命だ』

『君はまだ完全に生き返っていない。今の状態は応急処置みたいなものだ』

『君を復活させるためだけで、私の使えるエネルギーはほぼ使い切った』


一瞬だけ神の声が鈍る。


『足りない分は君に稼いでもらう』

「稼ぐ?」


『いいね、応援、好意』

『それが、この世界では命の燃料になる』


神は淡々と続ける。


『日常生活は送れる』

『学校にもいけるし、食う事も寝る事もできる』

「じゃあ問題ねぇじゃんか」

『問題はエネルギーが減った時だ』


神の声がやけに近く感じた。

視界の端で淡く光るゲージがほんのわずか脈を打つ。


『それがゼロになれば、君は完全に死ぬ』

「……は?」


喉から漏れた声はやけに軽かった。

それとは逆に病室の空気は見えない重さを帯びていく。


『誰にも見られず』

『誰にも必要とされず』

『皆に見放されれば、命はいずれ枯れる』

『生き返りたければ』


神はほんの一瞬だけ言葉を切り、少し笑みを浮かべて言った。


『人気者になれ』





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