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異世界従魔具店へようこそ!〜私の外れスキルはモフモフと共にあり〜  作者: 渡琉兎


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第99話:お祭り騒ぎ

「あんた、私に勝ちっぱなしじゃないのよ!」

「まあ、そうだな」

「そうだな!? ムカつく~! だからよ!」

「……すまん、意味が分からないんだが?」


 怒っているティアナとは違い、ヴィオンはずっと困惑顔でやり取りを続けている。

 それに関しては横で話を聞いていた楓も困惑顔を浮かべていた。


「私にレクシアっていう、最高の相棒ができたのよ? これはもう、私が勝っちゃうんじゃないの~?」


 続けて発せられたティアナの言葉に、ヴィオンだけは合点がいく。


「あー……なるほど。ここで俺に勝っておきたい、ということだな?」

「勝っておきたいじゃないのよ! 勝つのよ! ここからは連勝よ! 連勝!」


 強気にそう言い放ったティアナを見て、ヴィオンは苦笑を浮かべる。

 だが、その表情がティアナには挑発に見えてしまう。


「あんた、笑ったでしょう! ムカつく~!」

「いや、笑っていないが?」

「笑ったわよ! 絶対に模擬戦やるわよ! ぶっ倒してやるんだからね!」


 ビシッと指を突きつけたティアナに、今度のヴィオンは困惑顔を浮かべた。

 だが、こうなるとティアナも止まるつもりはない。そのことをヴィオンも理解している。


「……はぁ。分かった、やろう」

「「「「うおおおおおおおおっ!!」」」」

「きゃあっ!?」

「ギャギャウッ!?(うわああっ!?)」


 ヴィオンが承諾した直後、冒険者たちから大歓声が上がり、楓とピースは思わず驚きの声を上げた。


「……ど、どうしたんですか?」

「あー、すまんな。こいつら、俺たちが模擬戦をすると分かって、賭けをするつもりなんだろう」

「……か、賭け、ですか?」

「あぁ。どっちが勝つかどうか、ただそれだけなんだがな」


 肩を竦めながらそう教えてくれたヴィオン。

 その間にも冒険者たちはキビキビと動いており、ライゴウが参加できるようバルフェムの外へぞろぞろと移動していく。


「皆さん、すごいですね」

「すごいというか、執念だな」

「執念ですか?」

「こういう盛り上がれるイベントには、本気を出す奴らなんだ」

「あー……理解しました」


 楽しいことが大好きなのだろうと理解した楓は、苦笑しながら冒険者たちの動きを見守る。


「カエデも行くわよ!」

「え? わ、私ですか?」

「私が勝つところを見てもらわないとね!」

「でも、商業ギルドに行かないと……」

「誰か走らせておくわ! さあ、行きましょう!」

「えぇっ!! あの、ティアナさん!?」


 あまりにも強引に腕を引かれた楓だったが、二人の戦いがどのようなものになるのか、それも内心では気になっていた。

 故に、楓も抵抗することなく歩き出す。


「……はぁ。だがまあ、俺も負けてやるわけにはいかないからな」


 そう呟いたヴィオンは、冒険者ギルドを出て裏に回り、ライゴウと合流してから移動を開始した。


 バルフェムの外に出ると、そこにはなかったはずの舞台が完成しており、楓は驚きのままその舞台を見つめており、既にティアナとレクシアは舞台上に立っていた。


「待たせたな」


 そこへヴィオンとライゴウが現れると、ティアナは強気な笑みを浮かべながら言い放つ。


「私に負ける日が来るなんて、光栄に思いなさい!」

「まだ負けると決まったわけではないんだがな」

「何を言うのよ! 私にはレクシアがいるわ! そして、レクシアにはカエデが作ってくれた最高の従魔具があるんだからね!」


 強気な理由を述べていったティアナだったが、その理由であればヴィオンも言い返せる。


「それを言うなら、俺にはライゴウがいて、ライゴウの従魔具もカエデさんが作ってくれたものなんだがな」

「……はっ!」

「忘れていたのか」


 ヴィオンの言葉にティアナはハッとした表情を浮かべると、彼は思わず顔を覆う。

 とはいえ、冒険者たちがここまでおぜん立てをしてくれたのだから、今さら模擬戦をしないとは言えない状況になっている。


「……で、でも! 私がレクシアと相棒になってからは模擬戦をしていないわけだし、私が勝てる可能性の方が高いわね!」

「……それに関しては、納得しかねるな。俺が下に見られるのは構わないが、ライゴウが下に見られるのは我慢ならんからな」


 お互いに従魔のことを思い、一番だと思っている。

 だからこそ、今回の模擬戦はそれぞれが負けられないものになっていた。


「そんじゃあ審判は俺、ギルマスが務めさせてもらおうか!」

「えぇっ!? ギ、ギルマスまで来ちゃってるの!!」


 まさか冒険者ギルドのトップであるギルドマスターまでお祭り騒ぎに便乗しているとは思わず、楓は驚きの声を上げた。


「従魔具職人のお嬢さん、話は聞いてるぜ! ゆっくり話をしてみたいもんだが、それは次の機会にさせてもらうぜ!」

「え? いや、あの……え?」


 自分が何を冒険者ギルドのギルマスと話をするのか、楓は思いつかず困惑してしまう。


「よーし、お前ら! 準備はいいか!」

「当然!」

「構いません!」

「いい返事だ! それじゃあ模擬戦――始めええええ!」


 ギルマスの合図で、ティアナとヴィオンの模擬戦が始まった。

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