表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界従魔具店へようこそ!〜私の外れスキルはモフモフと共にあり〜  作者: 渡琉兎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/165

第50話:王城での会話③

 ◇◆◇◆


 ――楓がフェザリカの森でレクシアと出会ったその日。

 場所は変わり、王城の一室ではアッシュと護衛騎士のケイルが、今後のことについて話し合っていた。


「ミチナガ、スズネ、アリスはどうしている?」

「本日も与えられた課題へ取り組んでいるようです」

「その課題は達成できそうか?」

「今しばらく時間が掛かるかと」


 アッシュの質問にケイルが答えていくやり取りだが、その中でアッシュは小さく息を吐く。


「そうか。……母上は、持ちこたえられそうか?」

「侍医が見ているので、今のところは……ですが、そう長くは……」

「……ふぅ。さて、どうするか」


 アッシュが勇者召喚を行ったのは、病で臥せっている、母親である王妃を助けるためだ。

 病を治すには厳しい環境の中で育つ薬草が必要であり、そこには凶暴な魔獣の縄張りにもなっている。

 故に、特別なスキルを持つとされる異世界の勇者を召喚し、助けてもらおうと考えた。


(母上には時間がない。しかし、こちらの都合で異世界から召喚したのだから、さらに都合を押し付けるわけにはいかない。ミチナガたちを鍛え、十分な実力をつけさせてから、薬草を取りに行くしかない)


 しかし、それまで王妃が持ってくれるのか、それが問題だ。

 王妃が持たなければ、勇者召喚をした意味もなくなってしまう。


(それに、過去に行われた勇者召喚について記されている書物には、勇者の中にはEXのスキルレベルを持つ者が現れると書かれていた。……どうして今回の勇者たちの中には、EXのスキルレベルを持った者がいないのだ?)


 アッシュの悩みは、道長たちのスキルやそのレベルにも至っていた。

 だが、このアッシュの知識には間違いが含まれている。

 彼が読んだ書物には「三人の勇者」について記されていたのだが、これは絶対ではない。

 実際には一人だったり、五人だったり、人数は勇者召喚を行ったその時々で違っていたのだ。

 故に、彼は気づかなかった。

 今回の勇者召喚は「四人の勇者」が正しかっただったことに。


「……まさか、一人で城を出て行ったカエデ・イヌヤマがEXスキルレベルだったのか?」


 そう考えたことも、一度や二度ではない。


「ですか彼女のスキルは〈従魔具職人〉ですよ? 仮に〈従魔具職人〉がレベルEXだったとして、どのような力になれるというのですか?」

「……そこなんだ。強い従魔へ従魔具を与えられれば強力な戦力になるだろうが、そうでなければ……」


 結局のところ、外れスキルと呼ばれている〈従魔具職人〉が二人の中で引っ掛かってしまい、楓がEXスキルレベル持ちだという考えには蓋がされてしまった。


「そういえば、バルフェムで面白い噂を耳にしました」

「聞こう」


 するとここでケイルが噂話について口を開く。


「バルフェムを治めているボルト・アマニール子爵が契約している老ドラゴンに、新たな翼が与えられたそうです」

「ほほう? それは吉報ではないか!」

「はい。そして、その従魔具職人を紹介したのが、商業ギルドのギルドマスター、セリシャだとか」

「従魔都市と言われているバルフェムだ。やはり、凄腕の従魔具職人がいるということだな」


 アッシュが満足気に頷くが、ケイルの表情はやや曇っている。


「……どうした? 何かあるのか?」

「……実は、老ドラゴンが両翼を失ったあと、しばらくの間で新たな翼は与えられなかったのです」

「従魔具を作る材料が足りていなかったのではないか? そして今回、材料が揃ったから与えられたのではないか?」


 実際は楓が規格外な〈従魔具職人EX〉を使って、老ドラゴンのカリーナへ新たな翼を与えたのだが、アッシュにはその発想が浮かんでこなかった。


「……そうかもしれませんね。ですが、念のため追加で調査を行っていこうと思います」

「必要ないかとは思うが……分かった。その件はケイルに任せる」

「かしこまりました。それでは、報告は以上となります」


 話し合いが終わると、アッシュは再び息を吐く。


「ふぅ。……願わくば、ミチナガたちの誰かがEXのスキルレベルに目覚めてくれれば、すぐにでも母上のために薬草を採りに行けるんだがな」


 アッシュはそう呟くが、彼の願いが叶うことはない。

 何故ならEXのスキルレベルは過去、同時期に現れたことはなく、EXスキルレベルを所持しているのは城を出て行った楓なのだから。


(……もしもミチナガたちがEXスキルレベルに目覚めなければ、その時は……その時は……)


 そこまで考えたアッシュは、何もない天井を見つめながら、大きく息を吐き出すのだった。

【皆様へのお願い】


「面白そう」

「続きが気になる」

「更新応援しています」


少しでもそう思っていただけましたら、ブックマーク登録や、下にある「☆☆☆☆☆」にて評価していただけると大変励みになります!

「★★★★★」の星五つだと、さらに励みになります!


評価してもらえることで、モチベが最高に上がるので、ぜひともよろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ