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異世界従魔具店へようこそ!〜私の外れスキルはモフモフと共にあり〜  作者: 渡琉兎


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第185話:アッシュの証言

「正直なところ、俺の記憶はある一定のところからおぼろげなのだ。ケイルはどうだ?」


 アッシュの発言を受けて、ケイルは思案顔を浮かべたあと、口を開く。


「……そう言われてみると、そうかもしれません」

「おそらくだが、エレーナとの外交……という名の雑談が始まって間もなくといったタイミングだと思う」


 おぼろげな記憶を繋ぎ合わせながら、アッシュはゆっくりと語っていく。

 初めて雑談を行った日のことは覚えているのだが、二回目、三回目になっていくと徐々に記憶がおぼろげとなり、気づけば次の日程が決まっていた、なんてこともあった。

 自分でも頻繁にエレーナと会っているという自覚はあったが、その時には既に次の日程が決まっており、それを拒否することができない日々が続いていた。


「こちらから誘っておいて、理由もなく断るのは国同士のかかわりに問題が起きる可能性があったからな」

「もしかすると、その考えを狙われたのかもしれませんね」

「あぁ。だが、分からないこともある」

「分からないことですか?」


 レイスの言葉に頷きながら、アッシュは疑問に思っていたことを口にしていく。


「どうして俺に……いいや、フォルブラウン王国に取り入ろうとしたのかが分からない。外交を始めた時はまだ、勇者召喚を行っていなかっただろう?」

「……言われてみれば、確かにその通りですね」

「エレーナはミチナガ様と共に姿を消した。もしも狙いが召喚者であれば、俺たちが勇者召喚を行おうとしていたという情報を、どこで手に入れたのだ?」


 アッシュの言葉に、レイスの中で不安が広がっていく。


「……本当に召喚者が狙いだったんだろうか?」


 そこへ口を開いたのは、ヴィオンだった。


「どういうことでしょうか、ヴィオンさん?」

「狙いが分からない以上、エレーナの狙いを広く見るべきだと思ったのです」

「広く見るか……それは、ミチナガ様がたまたまエレーナの狙いに合っていた、ということか?」

「その可能性もあるのではないかと」


 レイスの問い掛けに答えたヴィオン。

 続けてアッシュが彼の意図を汲み口を開くと、ヴィオンは大きく頷いた。


「ミチナガ様がエレーナの狙いに合っていたか……確かに、そう考えると合点はいくな。そもそも、勇者召喚に関しては俺とレイスの独断のような部分が強かった。だからこそ、信頼できる者にしか情報は与えていなかった」

「そうですね。勇者召喚の情報が漏れた可能性は限りなく低いですし、そう考えるのが妥当かと」

「ならば、いったいエレーナは何を狙っていた? ミチナガ様が持っていて、狙われそうなもの……」


 それからしばらく、アッシュもレイスも考え込んでしまう。


「……EXスキル?」


 ここでポツリと、ミリアが呟いた。

 その呟きを聞いたアッシュとレイスはハッとした表情となり、視線を楓に向ける。


「……え? わ、私が何か?」


 突然の出来事に楓は困惑顔を浮かべ、自分を指さしながら首を傾げる。


「いいや、違う。エレーナはおそらく、ミチナガ様がEXスキルを持っている、もしくはEXスキルレベルに到達できると踏んだかもしれない」

「そうなると、エレーナの本来の狙いはカエデ様だった?」

「いいや、そうではないだろう。EXスキルを持つ者は召喚者しか記録に残っていないが、先ほど言っただろう。勇者召喚の情報が漏れる可能性は限りなく低いと」


 エレーナの狙いが徐々に絞り込めてきたアッシュ。

 彼は確信を突くように、はっきりと言葉を続ける。


「フォルブラウン王国の実力者を引き抜く、これが目的だったのではないか? そこへ現れたミチナガ様を見て、狙われたというわけだ」

「実力者……もしかして、最初に狙われていたのは、ケイル?」


 アッシュの言葉を聞いたレイスが、そう口にしてケイルを見た。


「おそらくな。ラカーシャ王国はエレーナだけではなく、女性の王族を他国に嫁がせようと躍起になっていたはずだ。その全てが実力者を引き抜くことが目的だったのであれば……」

「……まさか、ラカーシャ王国は――戦争をしようと考えている?」


 最悪の予想を口にしたレイスに、アッシュは小さく頷いた。


「最悪を想定するならば、そうなる」

「……え? ミッチー、戦争に使われる?」

「……道長君」


 道長が戦争の道具に使われるかもしれない。

 その事実を聞いたアリスと鈴音は、心配そうに呟いた。


「アリス様、スズネ様。我らフォルブラウン王国は、全力でミチナガ様を助け出すことをここに誓おう」


 するとアッシュが、力強い言葉でそう口にした。

 その横でレイスも大きく頷いている。


「皇太子殿下を危険な目に遭わせたというだけで、交渉の余地は十分にありますからね」

「あちらは戦争をするつもりかもしれないが、こちらはそのつもりはない。民の命を無駄に消費させてはならないからな」


 ――コンコンコン。


 そこまで話をしたところで、部屋の扉がノックされた。


『――皇太子殿下、レイス様。陛下がカエデ様方をお呼びでございます』


 すると部屋の外から、驚きの内容がもたらされた。

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