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異世界従魔具店へようこそ!〜私の外れスキルはモフモフと共にあり〜  作者: 渡琉兎


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第153話:まさかの完売

 商業ギルドから従魔具店に戻ってきた楓だったが、店内は客で溢れかえっております、何事かと慌てて裏で作業をしていたオルダナに声をかける。


「オ、オルダナさん!! これ、何事ですか!?」

「戻ったか、嬢ちゃん! そろそろ従魔大運動会が行われるだろう? それに備えて従魔持ちが押し寄せたんだよ!」

「そんなにすごいイベントなんだ、従魔大運動会って!?」


 答え合わせができたことで、楓もすぐに仕事の準備に取り掛かる。


「私は接客がいいですか? それとも追加で既製品を?」

「こっちを頼む! 予想以上に在庫が一気に売れてった! このタイミングで少しでも売り上げを作っておきたい!」

「分かりました!」


 それから楓は、オルダナと共に追加で既製品を作っていく。

 しかし、どれだけ作ってもどんどんと売れていき、在庫が増えるどころか減っていく一方だ。

 楓とオルダナは休憩もしなければならないし、材料にも限界がある。

 しかし客は一向に減る気配を見せず、在庫は刻一刻となくなっていった。


「く、首輪は売り切れました!」

「足輪も売り切れだああああ!」


 店頭からミリーとリディの悲鳴にも似た声が聞こえてきた。


「私、いったん店頭に出ます!」

「頼む!」


 売り切れで客からクレームが出ないよう、楓は声を掛けるため店頭へ向かう。

 するとそこには、ミリーとリディだけではない、見覚えのある顔が何人も手伝いをしてくれていた。


「……え? な、なんでアリスちゃんと鈴音ちゃんが? それに、ティアナさんにヴィオンさんまで!?」

「手伝いに来たよー!」

「忙しいだろうと思って、来ちゃいました」

「私たちも同じよ、カエデ!」

「男でも必要だと思ってな」


 アリス、鈴音、ティアナ、ヴィオンがそれぞれで答えてくれる。

 Sランク冒険者であるティアナとヴィオンがいてくれたおかげか、客も売り切れに対して文句を言うようなことはせず、仕方がないと店をあとにしてくれていた。

 残す在庫は腕輪だけだったのだが、こちらもしばらくすると売り切れてしまい、既製品の在庫はすっからかんになってしまった。


「へ、閉店で~す!」


 従魔具店の外にはこれから来店しようとしている客の姿も見えたが、楓がティアナと並んでそう口にすると、残念そうに去っていく。

 表の看板も『閉店』の札に変えて店を閉めると、楓とミリーとリディは大きく息を吐いた。


「「「つ、疲れたぁぁ~!」」」


 全く同時にそう口にした楓たちを見て、ティアナたちは笑みを浮かべる。


「あ! み、皆さん! お手伝いをしてくれて、本当にありがとうございました!」


 楓はティアナたちへのお礼がまだだと思い出し、慌てて立ち上がると頭を下げた。


「私たちが好きでやったことだし、気にしないで」

「そういうことだ」


 ティアナの言葉にヴィオンが大きく頷く。


「あーしも! それに、なんか楽しかったしー!」

「バイトで接客業をしたことがあったので、少しは役に立てたかな?」


 アリスと鈴音も笑いながらそう口にしてくれた。


「めちゃくちゃ助かった! いや、助かりました!」

「私一人だと、お客様を怒らせていたかもしれません! ありがとうございました!」


 リディとミリーも大きな声でお礼を口にしてくれた。


「がはははは! 今日の売り上げは過去最高だな!」


 そこへ裏で片づけをしていたオルダナが顔を出し、そんなことを口にした。


「オルダナさんもありがとうございました。でも……さっきは気にしてなかったんですけど、どうして今日は売り上げを作っておきたかったんですか? 書き入れ時だから?」


 楓がそう口にすると、オルダナは彼女の肩に乗ったままのピースに目を向ける。


「嬢ちゃんもピースと出るんだろう? 従魔大運動会」

「あ、はい。出ますけど?」

「出るとなれば、従魔を鍛えたり、身だしなみを整える時間が必要だろう。それに当日は店を閉めなきゃらん。それなら、店を閉めても問題ないくらいの売り上げを、作れるときに作っておかなきゃな」


 オルダナは楓とピースが従魔大運動会に出るだろうと予想して、売り上げを作っておこうと考えていた。

 そんなことなど考えていなかった楓は、オルダナの気遣いに感謝する。


「そこまで思い至りませんでした。ありがとうございます、オルダナさん」

「まあ、そもそもの売り上げがいいからな。ここまでやる必要はなかったんだが、経営者としては少しでも余裕を持っておきたいだろう?」


 楓が気にしないよう、最後の方は冗談交じりに答えたオルダナ。


「よーし! ここまでしてもらったんだから、かけっこ部門とかわいい部門は絶対に優勝してやるんだから!」

「キュキ、キキュキキャ!(おいら、頑張る!)」


 楓が決意を述べると、この場にいた全員が笑顔で頷く。


「それじゃあ私は、レクシアと一緒に中型部門で優勝してやるわ!」

「俺は大型部門だな。ライゴウにカエデさんの従魔具があれば、問題はないだろう」


 するとティアナ、ヴィオンも決意を口にして、本日は解散になったのだった。

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