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異世界従魔具店へようこそ!〜私の外れスキルはモフモフと共にあり〜  作者: 渡琉兎


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151/165

第151話:従魔大運動会とは?

「あれ? 楓さんは聞いていないんですか?」

「う、うん。初めて聞いた」


 鈴音が驚いたように声を掛けると、楓は困惑気味に頷いた。


「あーしたちも聞いただけなんだけどー、バルフェムの外に舞台を作ってー、従魔たちが運動会をするんだってー」

「レクシアさんやヴィオンさんも参加するみたいですよ?」

「そうなんだ。それって、小型従魔はないのかな?」


 ティアナの従魔であるレクシアが中型、ヴィオンの従魔であるライゴウは大型だ。

 楓の従魔であるピースは小型なので、小型も参加できるのかと気になってしまう。


「小型従魔の競技もあるみたいですよ?」

「そうなんだ!」

「キュギ?(どうしたの?)」


 嬉しそうに声を上げた楓に、ピースが口を開いた。


「従魔の大運動会があるんだって! ピースも参加……って、参加受付とかはどこでやるのかな?」


 どのような競技があるのか分からないが、せっかくのイベントなのだから、従魔と契約している以上は参加してみたい。

 何より、参加者の全員が従魔と契約をしている人たちなので、交流を深められたらいいなと楓は考えていた。


「冒険者ギルドと商業ギルドで受付しているみたいです」

「セリシャ様に聞けば分かるはずだしー!」

「そっか! それじゃあ明日は商業ギルドに顔を出して聞いてみなきゃ!」


 楽しそうな楓を見て、アリスと鈴音も嬉しそうに笑う。


「楓さんとピース君も参加するんですか?」

「参加できたらいいなーって思ってる」

「ピースは強いし、絶対優勝できるしー!」

「キ? キュギキリュキ?(ん? なんの話?)」

「同じ小型従魔と競えるんだって! 参加できたらいいね!」


 ピースだけはなんの話をしているのかはっきり理解できていない。

 しかし、楓が楽しそうなのは分かっているため、ピースはとりあえず頷いておくことにした。


「あら! 三人とも、おかえり!」


 ここで宿に到着した楓たち。

 宿に入るとすぐに女将から声を掛けられた。


「ただいまです、女将さん」

「女将さーん! 今度犬っちに台所貸してほしいでーす!」

「ちょっと、アリスちゃん! いきなり過ぎない!?」


 アリスは楓の料理が早く食べたくて仕方がなかった。

 とはいえ、今日はこのあと夕食時だ。女将も料理の下ごしらえを終えている。


「今日はさすがに無理だけど、予定を教えてくれたら貸してもいいわよ」

「マジで! やったー!」

「あたいもカエデさんの料理は気になるからね。ただし、レシピに関してはきちんと相談させてもらうわよ?」

「あはは。でも、特別な料理とかではないと思いますよ?」

「そう言ってー! きっとあたいの知らない料理が出てくるんでしょう?」


 サンドイッチは単純に、パンとパンの間に具材を挟んだ料理だ。

 それに楓は料理人ではなく、一人暮らしが長かった単なるOLだった。

 料理のレパートリーもそこまで多いわけではないので、あまり期待されても申し訳がない。


「でもまあ、カエデさんの料理はどれも美味しかったから、味見できるだけでも嬉しいんだけどね」

「女将さんにそう言ってもらえると、嬉しいです」


 笑顔の楓を見て、女将も笑う。


「さあさあ! 今日はあたいの料理で我慢しておくれよ!」

「女将さんの料理も全部美味しいし、嬉しいです!」

「あーしもー!」

「私もです。ありがとうございます」

「あらあら! 嬉しいことを言ってくれるねえ!」


 それから楓たちは部屋に戻って荷物を置き、三人で一緒に夕食を取った。

 世間話に花を咲かせ、楓もまさかこんな日が異世界で訪れることになろうとは、夢にも思わなかった。


(……私、この世界に来られて、本当によかったな)


 そんなことを考えながら、アリスや鈴音と一緒に美味しい料理に舌鼓を打つのだった。

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