魔界の転職とは?
スラ「魔王様。お願いです、転職させてください。」
俺はスライム!魔王軍の4番隊隊長。名前からして弱そうに思えるが、相手の型を取ることで擬態できる技術を持っているぞ!今日も誇りを持って魔界の警備だ!
スラ「って、最初は喜んでましたが、今は全然です。」
魔王「何がダメなんだ?」
スラ「全てですよ!まず、給料が安すぎる!1日十六時間働いてるのに給料はたったの三万ルマンド!少ないのにも程があります!ス○ッチ2さえも買えません!」
魔王「あぁ、人間界のゲームのことか…俺は持ってるぞ?あれのゲームはどれも最高で…」
スラ「だ・か・ら・それができないって、いってるんでしょうがーー!!!」
仮にも魔王に対して、敬語もなしに文句を言い続けるスライムの姿はまさに勇者であった。
スラ「次に職場環境!トイレも汚い。住み込みのベットも汚い。ましてやマグマで熱い!」
魔王「ベットはお前の使い方だよな?」
スラ「知ったもんですか!?てか、来るかもわからない勇者相手に三十万の兵を警備の置くのはバカでしょ!!」
魔王「そんな言わんでくれ…こっちだってな……」
スラ「ハーー!スイ○チ2で楽しく遊んでる人の言うことは聞きたくありません!」
魔王「お前まだ転職してないんだよな?」
あまりにも不満をぶつけるスライムに対して、魔王は逆に心配の目を向けた。
スラ「…てことで今日限りでこの仕事は辞めさせていただきます。」
魔王「いや、全然ダメだけど……」
その言葉を聞いた瞬間にスライムの顔はめっちゃ苦い顔をした。
魔王「スライムよ。お前も知ってるだろ?3番隊長が勇者に倒されたのを…。今勇者は勢力をあげて、魔王に挑もうとしてる……。そんな中お前がいなかったら、魔界は壊滅だ。お前が必要なんだ…頼む!」
少し間が空き、スライムが口を開けると
スラ「もー!しょうがないですね!転職の件はなしにしてあげてもいいですよ!!!」
チョロい。圧倒的にチョロい。そして、そこにいた魔王とその警備は「「「チョッロ」」」と喉のところまで出かけたのであった。
まぁ、誰も言わないけど。
【一ヶ月後】
スラ「魔王様転職させてください。」
魔王「またお前か…どうしたんだ?」
スラ「以前出張で人間界まで行って、勇者の仲間になりそうだった剣豪に奇襲をかけて倒し、2番体調にまだなったじゃないですか?」
魔王「あぁ、そうだな。あの件では大変いい結果を残してくれた。」
スラ「そしたら、勇者がまたいい人探すために旅が延長してしまったじゃないですか。」
魔王「勇者は今カジノシティにいるな。そこでまたいい人でも探すんだろう。勇者はまだ来ないだろうな。」
スラ「…はい。勇者はまだ来ない……!」
スラ「いつになったら来るんじゃゴラーー!」
あまりの大声で周りの寝てた警備は飛び起き、起きていた警備は槍を構えた。
スラ「お願いします!魔王様!他の魔王軍の仕事に就かせてください!コロシアムの管理者とか…。魔獣狩りとか」
魔王「だが、今お前以上に強い奴は少な」
スラ「少なくないでしょ!こんなに来ないなら、みんなめっちゃ鍛錬できる期間あったでしょ!まずまず、私は人や岩などに擬態して戦う奇襲型・暗殺型です。3番隊長見てください!でっかい山一撃で破壊できるんですよ?そもそもスライムが隊長なんて」
魔王「まてまて落ち着け。」
スライムを一旦落ち着かせ、魔王はこう言った。
魔王「確かに火力ではアイツらのほうが上だ。だが、経験の差や基礎技能の差でお前の方が勝ってるんだ。」
スラ「へー!そうですか!そんなに言うなら残ってあげてもいいでしょう!」
めっちゃすんなり転職を諦め、また「チョロ」と思うしかなかった。
スラ「いい加減転職します。」
スライムは怒った様子で、魔王に転職を突きつけてきた。
魔王「理由はわかるが…一応聞こうか」
スラ「!!勇者いつ来るねん!!」
魔王「いや〜、それはそうなんよな。何も言えないんじゃ。魔王なってから早20年。勇者と戦ったのはたったの3回。」
スラ「勇者このままやったら寿命で死にますよ!?」
魔王「まぁまぁ、そう言ってもいつか来るはずだ。魔王軍は迎え撃つのみだ。」
スラ「はーー。勇者来ないかな〜。」
そして、スライムは転職せずに勇者を待ったが勇者が来たのは80年後であり、4回の世代交代が行われた。
その間、スライムは転職できなかったとさ。
転職代行サービス魔界にもあったら親近感湧くね。