83話 聖なる結界 全力全開!!
今回も色々と視点が変わります
「お待ちください 未来様」
3人組の一人が未来を呼び止める
未来はそれでも聞こえないふりして外に出ていく
慌てて3人組はそのあとを追いかける
俺たちは念話で会話していた
「こいつら なに?」
「ゆきくん 口悪いよ…」
「この方々は…財閥の御曹司達ですね」
「なるほど ぼくは関わりたくないので…」
「ちょっ、ゆきくん 酷いです わたくしをおいて行かれるのですか?」
「う…」
「おねえちゃんもずるい 言い方」
3人組の一人がなおも未来に話しかけてくる
「未来様っ」
未来は嫌そうに彼らを見る
「なんでしょうか? わたくし 帰宅しようと思うのですが」
「このあと ご予定は?」
「帰宅して…お昼をいただいて…とくには」
「それならば ぼくたちとお昼は如何でしょうか?
お父様が援助している料亭にでも」
彼らがそんなことを言い出している
未来はめんどくさそうな顔をしつつ
「わたくしとあなたたちと接点ございますか?」
「「「それは…その…」」」
「お家の方なら時々 利用はさせて貰っていますが
わたくしとあなたたちとは何の接点もありませんよね?」
未来がきつめに彼らに問いかけるのを後ろで見ながら念話で
「みくちゃん きつめに言ってるの はじめてみた」
「おねえちゃん はっきり言うのね」
「未来様 こういう一面あったの…」
そんなことを言っていると未来が俺たちを
一瞬みて
「それでは…用件は終わりましたよね」
「「「………っ」」」
未来が校門に歩いて行くのを俺たちもついて行くと
後ろから立ち尽くしていた3人組が
「なぜ そこの男と連んでいるんです?」
「平民ですよね 彼」
「なぜですか?」
そんなことを叫んできた
それを聞いた未来は振り返ると
「それくらいにした方がいいですよ?
そうじゃないと…そこにいるわたくしの妹が
なにしでかすかわかりませんよ?」
そんなことを口にする未来を見て美穂は
念話の方で
「おねえちゃん!!」
「みほさん 間違ってないですよね?」
「それは うん そうだけど…殴りつけたくなったし」
「あ みほちゃん それはだめだからね?
ぼくだからいいけど
ぼく以外を殴ったら相手が怪我するよ?」
「むぅ わかってますよぉ わたしのステータス
一般人相手に殴っちゃダメなのは」
「よかった…」
「ゆきくん わたしも考えてるんだからね」
3人組は美穂の方を見る
美穂も3人組を睨み付けていた
「妹さんですか なら、妹さんもご一緒に」
「「どうでしょうか?」」
それを見た美穂と未来は
やれやれという感じになる
「「ゆきくん 芽衣さん 校門まで全力疾走しましょ」」
「「うん」」
校門まではまだ距離がある
彼らは未来達の言葉に油断しているみたいだ
全力疾走したところで
たかだか7歳の子どもの足とでも思っていたのだろう
俺たちはそんな彼らを無視して
全力を出す
一瞬のうちにその場から移動して校門の外まで行く
彼らの目には俺たちが消えたように映っただろう
辺りをキョロキョロしているだけだった
俺たちはそのまま移動すると
俺は未来と美穂に
「この国の中心ってこの街だよね?」
「うん そうですが」
「ゆきくん 結界張るの?」
「いい?」
「「うん」」
俺たちは上空に飛んでいき
美穂と未来は杖を取りだしてお互いに向かい合う
俺と芽衣は美穂と未来の双方の杖を掴んで魔力を渡す
「「ゆきくん 準備いい?」」
「うん 芽衣さんは?」
「わたしもいいよ」
「「行くね 聖なる結界 全力全開!!」」
すると五芒星の杖の星と三日月の杖の月から天高く
虹色の光が伸びていき半透明な膜になりながら広がっていく
西は魔の森の結界から数キロ離れたところまで広がり
東の海のほうも数千キロまで広がっていく
光が収まり俺たち4人の魔力がごっそりと消費されると
4人とも倦怠感に襲われてしまうのだった
「「ふぅ」」
「一昨日の結界より規模も大きいし
二人とも大丈夫?」
「うん MP消費が相当だけど…へいき」
「わたくしも大丈夫です」
俺たちが一呼吸おいたとき
俺たちに怒鳴りつけてくる念話が脳内に響く
「「ゆきまさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ さっさと来なさい」」
「未来 美穂 それと芽衣もですよ? いいわね?」
「おかあさんにゆかり様?」
「「お母様?」」
「おばさま ゆかり様」
俺たちは全員その声の主に反応してしまう
「「とにかく皇室に来なさい」」
「「「「はい」」」」
───人々の反応
「なんだぁ? 空が虹色に?」
「わぁ きれい おかあさん きてきて 空がきれい」
「どうして虹色になってるの?」
「不吉な前触れ?」
「おーい カメラまわせ」
「緊急ニュース速報です 皆様 空をご覧になられましたでしょうか
首都の中心に位置する上空から虹色の柱が立ち上ると
半透明な膜のようなものが広がっていくのが目撃されました
なにが起きているのでしょうか」
各地で空を見ていた国民達は
虹色になって行く空を見上げて
あるものは驚き
あるものはきれいだと感動し
あるものは悪魔の仕業かと畏れ嘆いていた
もちろん各地のテレビやマスコミは
大慌てで空にカメラをまわして一斉に緊急ニュース特番を流し始めるのだった
───月皇陛下視点
時刻がお昼時であったため
食事をしているところだった
今日もマグロ丼を侍女に作らせて食べている
そんな中
窓からみえる空が虹色に変わっていくのを見て
思わずむせ込んでしまった
「げほっ、げほげほけほっ」
傍にいた護衛と侍女も慌ててわしを見る
「大丈夫じゃ 空を見てむせただけじゃ」
わしは…ゆかりと美幸と絵美に念話を送った
「空をみたか?」
「はい また 幸正が」
「あの子達は 昨日は大人しかったと思ったら…」
「今すぐ呼び寄せますので」
「わしは政府機関やマスコミの対応をする
幸正達への対応は任せたぞ」
「はい」
「はい」
「はい」
おそらく…未来と美穂が聖なる結界を発動させたのだろう
規模としてはわからぬが
以前、幸正が語っておったな
国を覆う結界 海もふくめてと
それをやらかしたんだろう
「はぁ…毎度 驚かせてくれるわ」
わしは大急ぎで電話を内閣府にかけ
総理を呼びつけることにした
───ゆかり妃殿下視点
窓から空をみて頭が痛くなりました
昨日は何事もなく過ごしてくれていたのに
またやらかしですか
あの子達は
お爺様からの念話を受けると
わたくしは美幸、絵美をこちらに呼び寄せた後
3人揃って
幸正 美穂 未来 芽衣へ念話で怒鳴りつけました
「あの子達 すぐここに来ると思います
美幸 絵美も苦労かけますね」
「いえいえ そもそもが…わたしの息子がやらかすのが原因ですから
ゆかり様にはいつもご迷惑をおかけして…」
「今回のは美穂だと思うのですが…」
「そうですね 空の現象をみる限りだと
美穂と未来が発動させたとは思います
聖なる結界 理由も一昨日の幸正の話を聞いた限り
予想は出来ます」
「「お魚ですね」」
「そうだと思います 海にいる魔物をどうにか出来たら
普通に海で魚捕りも出来るようになりますからね」
「「はい」」
「意図は分かりますが…はぁ」
「「はぁ」」
3人とも頭を抑えながらため息をつくのだった
予想は出来た人もいらっしゃるとは思います
母親達は毎回、大変ですね
幸正は自分のやらかし自体は自覚している方ですが