81話 皇室の一室にて
陛下視点です
皇室に帰宅して
わしらはすぐ大部屋に集まった
「侍女、護衛の諸君 ご苦労であった」
わしの言葉に一同が一礼をする
「4時間弱であったが幸正たちの強さも
実際に確認することも出来た
未来も美穂も報告で聞いただけに比べて
スクリーンをみた方が強さが実感させられた」
「そうですね 幸正 未来 美穂 芽衣の4人の強さは
驚くだけでした」
ゆかりもそう呟く
わしは護衛の方を見る
「護衛任務の諸君らが決して弱いわけではない
そこは間違えないように」
「はっ 未来様方が強すぎるだけというのは
承知しております」
「美穂とも話をしたのだが冒険者の質を向上出来ぬものかと
考えてしまう」
「お義父様 その話 わたくしも幸正から聞いてます」
「幸正は何と答えた?」
「ダンジョンの入口に経験値倍増付与ゲートを設置するという
案も出てました 付与は時間で効果が切れるようにするのが
無難でしょう 問題はレベルアップして強くなった人間の
人間性ですね 悪党が強くなられても困ります」
「そうじゃな その辺はどう考えていた?」
「殺人 窃盗 詐欺などの犯罪ステータスをチェックして
それらがあるものはレベルアップどころか
レベル1 ステータス1に強制的に落とすなどを
提案してました」
「あれは…極端というかなんというか…」
幸正の提案に呆れるが
それでも犯罪者には容赦なしというのは
確かに必要かもしれぬ
「経験値倍増付与ゲートはすぐ出来るものなのか?」
そこで未来が口を開く
「幸正くんの能力ならすぐ出来ると思いますが
国内にあるダンジョンすべてに設置するとなると
何個いるのでしょう?」
「確か…50はあったと思うが
50個作り出すのはどうなのじゃ?」
「作る分にはすぐ終わると思いますが
各地に設置するのは時間かかるかと思います」
「ふむ 作る分には問題なしなのか
国で管理してゲート使用料の何割かは加賀家に
渡すようにするのが無難か?」
「そうですね 加賀家は表向き農家ですが
農業しなくても暮らせるお金が入りますね」
「そうだな」
「あ お爺様 忘れてました」
未来が思い出したように口を開く
「幸正くんのお母様 美幸さんと絵美で
とんかつなどの屋台を出せないかと話してました」
「屋台…とんかつだけじゃなく
先ほど食べたマグロカツなどもメニューにあると
魚も冒険者から買い取れるようにできるな」
「そうですね 魚の需要も増えれば
捕ってこようとするものも増えるでしょうからね
美幸と絵美には後日 わたくしに面談して貰うことにします
屋台をするにしても許可証も必要ですし
出来るなら美幸達だけというより
全国で食べれるようにしたいものですし
栄たちも作り方は覚えましたよね?」
「はい ゆかり様 さきほど
美幸様の元で色々教えて貰いましたので
それに幸正様からわたくしたちにも刺身包丁をいただいてまして
なんと言ったらいいのか」
「あー 栄 刺身包丁は大事に使ってあげれば問題ないと思います」
「かしこまりました」
「未来 明日も55階層なのか?」
わしは未来に聞いてみた
「はい 明日は56階層に降りるまでいきますので
道中にいる魔物は狩ると思いますので
マグロ等は沢山取れると予想されます」
「そうか 侍女達 刺身は時々よろしく頼むぞ」
「「「はい かしこまりました」」」
マグロ丼はまことにうまかった
赤身のさっぱりした感
中トロ 大トロの脂も口の中でとろけるほどだった
蟹鍋もそうじゃ
あのようなかたちで鍋というのははじめてじゃった
幸正には色々とうまいもの食べさせて貰っていて
借りが増えていくばかりじゃな
「雅仁はどうだった?」
「はい マグロ丼も蟹鍋もうまかったです
蟹は未来が瞬殺していたのには驚きましたし
わが娘なのに遠い存在に感じられてしまうほどで」
「そうじゃな 未来の強さは…言葉にすらできなかったな」
「幸正くんがドーピング施してくれたおかげですけど」
「それでもだ…」
「とりあえず、雅仁は冒険者協会に話を通してくれ」
「はい」
「ゆかりは美幸と絵美に」
「はい」
刺身や揚げ物文化を広めるべく
わしは色々と動こうと思うのだった