79話 美穂と陛下の会話
美穂視点です
わたし おねえちゃん 芽衣さんの3人で
西に向かうと巨大な深緑色をした蟹が3匹ほど
こちらに向かってきてるのがみえた
「あれかな? 3匹だけのようだけど」
「そうですね ギガントクラブ…と出てますね」
「お腹の中に魔石があるみたいです」
わたしとお姉ちゃんで反重力魔法をぶつけて
ギガントクラブを空中に浮かばせると
3人それぞれ蟹のお腹にある魔石めがけてビットを飛ばしていき
ねじ込ませたあと魔力操作で
魔力を糸状にして魔石に巻き付けると
一気に引き抜いて魔石を取り出す
とりだした魔石はそのままアイテムボックスにしまいこみ
蟹はぐるぐるまきにしてまとめたあと
その場で浄化と除菌を施したあとで瞬間移動して戻った
わたしたちが戻ってみると
ゆきくんが大きな鍋を作り出していて
鍋の下に台座があり木材が置かれていた
「みほちゃん みくちゃん 芽衣さん おかえりなさい
蟹 1匹 そのままこの鍋に入れて
残り2匹はみほちゃんたちがウォーターとファイアで
熱湯を作ったあとに1分ぐらい? ボイルして
そのあとアイスでボイルした蟹を冷やしたあとでアイテムボックスに入れて
解体させて」
「「わかった」」
わたしは蟹を1匹 そのまま鍋に入れたあと
残り2匹をウォーターとファイアで熱湯を作り出して
ボイルをしてからアイスで冷やす
この辺は日本よりも魔法があるこの世界だから
楽な部分だろうなと思ってしまう
ゆきくんの方は…お母さんやおばさんに
蟹鍋を頼んでいた
「蟹だけじゃ…なんなので
マグロの頭も一緒に鍋に入れて煮込みましょ」
「「えっ?」」
お母さんとおばさんが
なに言ってるの?という表情になる
「マグロのかぶと煮というのも日本にあるから
マグロの頭も煮込み料理になるんです
目玉はゼラチンが豊富みたいですし
ぼくは食べたことないけど…ホホ肉もおいしいらしいので」
「「そ、そうなのね」」
鍋に蟹とマグロの頭を1つずつ入れて
味噌 醤油 みりん等を入れて煮込んでいく
火はゆきくんがファイアで調整しているみたいだった
それらの様子を見ている
お爺様方は無言のまま
ゆきくんやわたしたちを見ていた
気になったので
わたしはお爺様に声をかけてみた
「あの お爺様 さっきから黙っているようですが」
「ん あ あぁ…美穂か
あまりにも目の前で繰り広げられている事態に
頭が追いついていかなくてな
美穂 未来 芽衣の3人で
あの10メートルはあるであろう蟹を
いとも簡単に…ダンジョンのはずが
危険なことも一切なしで
うまいものを食べることが出来る
信じられない光景なのだが」
お爺様がわたしたちを見てそう思ったみたいで
それを語ってくれた
「わたしたち4人が特殊なだけですから…」
「そうだな でも、もし冒険者が強くなれれば
海に行かなくても魚も捕れるようになる
そう考えると…冒険者育成も
力を入れたくなると言うものじゃ」
「マグロ丼はいかがでした?
わたしもはじめて食べましたけど
とてもおいしかったし…お刺身文化を
どうしたら広まってくれるのか
わからないけれど…」
「うむ うまかった
思わず 叫んだほどうまかった
生で食べるとなると浄化と除菌を使えるものが必要じゃな」
「聖職者の方も使えるのですよね?」
「うむ 神主 巫女と言った職業は
聖魔法も習得できるようだ」
「なるほど…それじゃあ、巫女さんなどの副職として
魚の浄化と除菌もして貰うのはどうなのです?
英雄さんの研究が進めば
除菌や浄化用の道具も開発されると思うのですが」
「む 明智にそのような研究を?」
「はい 術式を物質に組み込む研究なので」
「なるほど 海の階層は
5 15 25 35 45…となっておるが
こんな大きいマグロは…55階層がはじめてみたいじゃ」
「そうなのですね 小ぶりの魚は下の階層にも?」
「いるみたいだ
マグロも下位の魔物なら報告ある」
「なるほど 冒険者はとれないのですか?」
さすがにわたしたちのような規格外はいないだろうが
下の階層ならレベルもそんなに高くないはずだし
頑張れば魚も食文化になると思うのだけど
「この国の現状 高レベル冒険者は
皇室護衛や政治家の護衛等が主でダンジョンを
収入源にするような冒険者は
数として少ないのじゃ
美穂達みたいな罠も無視して
力でねじ伏せて進んでいくような人間は
ほとんどいないのが実情」
「そ、そうですか」
さすがにステータスドーピングを
一般化させるのはだめだろうし
経験値倍増だけ冒険者専門コースで
装備出来るようにするのがいいのかな
わたしがお爺様と話をしているうちに
鍋が完成したようでした
お母さんとおばさん 侍女さん達がおわんによせていき
みんなに配っていってます