78話 マグロ丼
美幸 陛下 未来 幸正と視点が変わっていきます
息子と芽衣ちゃんが南の方へ飛んで行ったあと
深愛様が展開させてくれたスクリーンを見ながら
どんぶりにご飯をよそう作業をしていた
しばらくすると幸正達がその場で停止して下を見るなり
幸正が杖を下に向けて魔法を発動させていた
「実際 あの子の戦い方
こうやってちゃんと見るのははじめてだったけど…はぁ」
「幸正がこんな無茶苦茶な戦い方をしているとは」
「あなた わたしたちの子どもなんだよね あの子」
「そうだろ 美幸が産んだんだぞ」
「そうですね」
わたしと夫がそんな会話をしている中
辺りからは信じられないものを見ているような
沈黙に陥っていた
陛下も言うに及ばず…だった
そしてしばらくして幸正と芽衣ちゃんが戻ってきて
みほちゃんと未来様が
今度は浄化と除菌を施していた
なんというか…魔物と言うより食べ物とみているようだった
わたしは幸正からマグロのブロックを渡された
1本当たりですら10キロはありそうな大きさだったが
この人数を考えると3本3種類は
確かに妥当なところかなとは思ってしまう
説明を聞き終えたあと
幸正は刺身包丁も作り出してくれたようだった
わたしも事前に刺身の切り方などを
サイトで確認しておいたので
刺身包丁を作り出してくれたのには助かると思った
「幸正 刺身包丁ありがとね ある方が助かるわ」
「うん まず、1人分作って…ミアさんが待ちきれない様子だから」
「あ…そ、そうね 急いで作るね 絵美さん
侍女さん達もわたしの作り方を見ててください」
「「「「「「はい」」」」」」
わたしは急いで赤身、中トロ、大トロと切り分けていき
各10切れずつ切ったあと
どんぶりの上にきれいに並べていく
そのあと真ん中にわさびを載せて醤油をかけていく
「完成です ギガントトゥーナスの3色マグロ丼
深愛様 どうぞ」
「美幸 ありがとうございます いただきます」
深愛様はどんぶりを手に持つと箸で
ご飯と一緒に大トロの部分を掴んで口に運ぶ
「んんぅぅぅっ…大トロがとろとろしてて口の中で溶ける感じ
この世界に具現化して…刺身が食べること出来るなんて
考えてなかったわ おいしいぃぃぃぃぃぃぃ」
あまりにも深愛様がおいしそうに食べてるのを見て
わたしたち全員が生唾を飲み込んでしまうほどでした
「絵美さん 急いで作りましょ」
「はい お腹もだいぶ減ってますからね みなさん」
わたしと絵美さん
侍女さん達は急いでマグロ丼を作っていき
配り終えると
陛下が口を開く
「美幸 そして絵美 侍女達 ご苦労であった
早速 いただくとしよう 生ものであるが
美穂と未来の浄化と除菌をみたであろう
心配はないと確信した わしは食べることにする」
「孫娘二人の力を信じなきゃ…ですね」
「そうだね 娘の力を信じなきゃ」
「えぇ」
そう言葉にすると一斉に口に運んでいくのでした
───月皇陛下視点
まずは赤い身から…口に入れていく
生の魚ははじめて食したが思ったよりも生臭さがなかった
醤油とわさびのアクセントもすばらしい
わさびが鼻に来るが…
次は深愛様がおいしそうに食べていた
白みがかかった桃色の身
「………っ、うまい うまい うまいぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
赤身はさっぱりした後味だが
こちらは濃厚な脂身になっており
口に入れたら溶けていくほどだ
これほどまでうまいとは…刺身というものは
この国で広めることは出来ぬものだろうか?
「実にうまかった」
わしがそう呟くと傍にいた侍女が
「おかわり おもちいたしましょうか?」
聞いてくる
わしは思わず…もう一杯いただくことにした
───未来視点
お爺様方が食べ始めたのを見て
ホッとしました
わたくしはゆっくりと自分のどんぶりを見ながら
箸を入れる
どれから食べましょうか…3種類の味が楽しめるというのも
迷ってしまいます
「おねえちゃん まだたべないの?」
「あ みほさん どれから食べようか迷いまして」
「もう…どれもおいしいよ 刺身なんて
ネットでしか今まで見てなかったから
こんなにおいしいなんて…これもダンジョン様々だよね」
そこに芽衣さんか
「そうだよね ダンジョンに潜れるようになって
色々美味しいものとれるものね」
「ねー」
二人とも無邪気に言う
わたくしは…ダンジョンの存在意義がなんなのか
あらためて疑問に感じてしまいます
余計なことを考えるのはやめにして
トロを食べることにしました
「あ…むっ…んんんぅぅ…んぅぅぅ」
とろけるような食感
こんなにおいしいの?
次は赤身
赤身はトロと違ってさっぱりした味でした
これはこれで飽きない味になっていて
食べやすいと思いました
───幸正視点
俺は母親から受け取ったマグロ丼を手に持ち
まずは赤身から食べていく
「はぁ…いつ以来だろう 刺身を食べたの」
「幸正 あなた また前世から数えてるでしょ」
母親が突っ込んでくる
「うん ずいぶん食べてなかったからね
年老いてからは施設暮らしだったし
施設でなんて滅多に刺身なんて出されなかったからねぇ」
「そうなんだね 亡くなった時は家じゃなかったの?」
「うん 施設だった」
「そう…久しぶりなんだからいっぱい食べなさいね」
「うん ありがと」
母親の優しさに感謝しつつ
マグロ丼を食べていく
マグロ丼を食べているとミアさんが俺の近くにやってきて
「悠 ここに近づいてくる蟹がいますよ」
「蟹?」
「そうですね 大型みたいです 1匹当たり10メートルはありそうですね」
俺はどんぶりをその場におくと
飛び上がり
「どっちから?」
「西の方からですね」
そこに美穂と未来が飛び上がると
「「ゆきくん 今度はわたし(わたくし)たちにやらせて」」
「未来様 みほさん わたしもついて行きます 弱点看破スキルありますし」
「「芽衣さん」」
「あ 魔石を取り除いたらまとめてしまって
浄化と除菌して1匹はそのまま水魔法と火魔法
あと塩を入れて塩ゆでにしてくれる?」
「うん わかった 蟹は足がおいしいんだよね」
「そうみたいですね あと甲羅の中にある味噌も
おいしいと言われてますよね
茹でたあとで味噌汁作って貰うのは?」
未来がそう提案してくると
母親を見る
「わかったわ 蟹汁作るね」
「お母さん ありがとう」
「「「じゃあ、いってくるね」」」
3人とも西の方に飛んで行くのだった
陛下のセリフは
ミ○タ○味○子の味皇の爺さんをイメージしてます
声もあの声をイメージしてます
飯テロ展開まで長かったと思いますが
当初から書きたかった展開でした
今日2話目の投稿に変えました
明日も朝6時と夕方5時半に1話ずつ予約設定にしてます