73話 ギガントシルクワームの繭
芽衣視点です
わたしと深愛様は東に向かうと
ギガントシルクワームがうじゃうじゃといました
「あぅぅ…気持ち悪いよぉ」
わたしは思わず呟いてしまいます
「向こうに繭がありますね」
深愛さんが指を差しながらそう言ったのを聞いて
そちらの方に目を向けると
なんというか10メートルぐらいあると思われる
繭が点々と木に付けられていました
「これが全部かえったら?」
「魔物じゃないカイコなら害はなさそうですが
魔物の場合はどうでしょうか
これだけ 幼虫がいるとなると…」
「成虫もいそうですよね」
「そうですねぇ 幼虫は無視しましょ
繭を集めるのを最優先事項ですね」
「繭の中にいるカイコは始末していくことになりますね」
「そうですね」
わたしたちは幼虫を無視して
繭に近づいていき双剣で繭を切り裂いて
中身を引き剥がしながら深愛様が仕留めていきます
もう何も考えずに無心で作業をしていると
成虫のギガントシルクワームが数体飛んできました
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンという羽の音が近づいてきて
うるさいほどです
わたしは近づいてくる成虫にビットを飛ばしていき
片っ端から始末しつつ繭を集める作業に没頭していると
幸正くんがいつの間にかやってきてました
「芽衣さん 手伝うね」
「えっ? いつの間にいたんです?」
「いま 来たところ」
「そうなんですね 幸正くんはなにしていたんです?」
確か南東に行くと行ってましたが
キラービー…蜂がいるところだったと思いますが
「蜂の巣をとってきただけです」
「蜂の巣?」
「悠 蜂蜜目当てでしょ?」
「はい」
深愛様がそう突っ込み入れてきました
幸正くんは頷いて返答をしてます
「蜂の巣 数個ほど突っついて中にいる蜂を刺激して
上空まで誘導した後で一気にウインドシールドで蜂をまとめて囲んだ後
水魔法でそのシールド内を水に浸してその上に
雷魔法をぶち込んで終わらせました」
「あらあら 悠 そんなめんどくさい工程したの?」
「………幸正くん 蜂さんの方がかわいそうだよぉ」
滅茶苦茶な倒し方を聞いて
キラービーに同情してしまいます
「さすがに念じただけで殺す能力は使わないことにしてますから」
「そ、そんなのもあるの?」
わたしが驚いていると
「ぼくの能力は思い描いた能力が現実になる力なので
何でもありといえば何でもありなのです」
「なるほど」
「さすがに これは使わないことにしてますけど
もし みほちゃん みくちゃん 芽衣さんに
命に関わるような怪我を負わせようとしてくる連中がいるならば
ぼくは無条件で殺します」
「えっ? わたしも入ってるの?」
「芽衣さんもこちら側だし…それに…好きですよ?
みほちゃんにいわないでね 怒るから」
さらっと好きと言われて
顔を赤くしてしまう わたしですが
みほさんが怒る たしかにそうだよね
幸正くんが他の女の子を好きになるのは
みほさんが一番嫌がることだもの
「あ…うん みほさんにはいわない ありがとう」
「14歳の姿 かわいいし」
幸正くんはわたしの顔と胸元を見て言う
「もう えっち…」
「前世からえっちだったから…」
「そうなのね 前世じゃ…なにもしたことないの?」
「うん なかった 女の子といちゃいちゃなんて」
「そっかぁ だから今楽しいの?」
「うん 3人とも…かわいいし」
「ぽっ」
また赤くなってしまう わたし
深愛様はわたしたちの会話には入らずにいた
「深愛様は?」
「ミアさんは…恋愛対象には入れないようにはしているつもりだから」
「そうなのね」
「わたしは…そうね ただ傍にいるだけでいいって
言われたものね」
「はい」
そのあとも繭を黙々と集めていき
4時頃になると未来様から念話が届きました
「みくちゃんがなんて?」
「なんか レアな魔物が湧いたらしいの
弱点看破スキルで見てほしいって」
「レア どんなのだったの?」
「ダークアダマンタランチュラて蜘蛛だって」
「アダマン? 硬いのかなぁ」
「わからないけど 未来様達は大丈夫でしょう?」
「そうだね みくちゃんたち強いから」
「はい」
こうして
繭は結局…200個はアイテムボックスに入ってる気がします
わたしたちは階段のところに瞬間移動して
未来様達と合流しました
「「「「「お疲れ様」」」」」
みんなで挨拶をしたあと
みほさんが幸正くんを見て
「ねぇ? ゆきくん どうして 芽衣さんと一緒に移動なの?」
「一緒にいたから」
「むぅ わたしたちの方じゃなくて芽衣さん達の方に行ったのね」
みほさんが顔を膨らませて
幸正くんを叩いてます
「だから 叩かないで それに南東からだと芽衣さんの方が近かったんです」
「むぅ…」
「ゆきくん 距離的にはそうなのでしょうけど
わたくしもちょっと妬いてしまいます」
「みくちゃんまで」
未来様もみほさんもわたしのことも好きと言われたこと
しってしまわれたらもっとやきもち焼いてしまわれそうで
心配してしまいます
「さて 55階層に1度降りて52階層で
牛と猪を一人1頭ずつ狩って戻ろう?」
幸正くんがそう言うと
未来様達も頷いて下の階へむかいます
55階層がみえてきました
「海?」
「海ですね?」
「ひろいね」
わたしたちがそう呟いていると
深愛様だけが一人キラキラして違うことを呟いてます
「悠 刺身だよ 刺身 わぁ、楽しみだね」
「ゆきくん 刺身って?」
みほさんが首をかしげつつ幸正くんに聞くと
「魚を生で食べる料理なんだけど
寄生虫とかいるしこの世界だとまだ刺身は?」
「きいたことない」
「わたくしもないかも 海も魔物いるから漁に行く人いませんから」
「そうなのね なら この階層は ゆっくりする?
慌てて先に進まなくても良いだろうし」
「うん」
「「はい」」
「あ みほちゃん みくちゃん 浄化魔法を
明日はいっぱい頼むと思うから」
「「浄化魔法?」」
二人とも首をかしげていると深愛様が
「あ そうですね 取った魔物を浄化魔法にかけて
寄生虫を始末してからアイテムボックスですね」
「うん 刺身食べるなら そうするのが無難かなと」
「「「なるほど」」」
そのあと52階層で牛と猪を狩ってから帰宅します
わたしは繭も未来様に全部渡しました
お父様とお母様にわたしがしていることを
いってませんし
アイテムボックスだけ教えてるだけなので…
こうして家に戻りました