70話 とんかつもどきをみんなで食べる
4時間目の授業が終わると
俺は美穂、未来、芽衣に念話を送る
「みほちゃん達 お昼 うちに来ない?」
「うん お母さんから聞いてる 暴れ大猪で
とんかつもどき?をおばさん作ったのね」
「まだまだ こっちの世界で揚げ物はないよね」
「天ぷらならあるようです わたくしは食べたことありますので」
「天ぷらはあるんだぁ」
「とんかつも天ぷらもどんなものかわからないけど
わたしもいいんですか?」
芽衣が遠慮しがちに言う
「もしかして 家で用意されてる?」
「帰宅したら作って貰うと言う感じなので…」
「それなら お昼 ぼくたちと食べるって伝えて」
「うん わかった」
「あ みくちゃん」
「うん?」
「栄さんとかゆかり様にまた何かいわれそう?」
「あ…ゆきくんちで食べるなんていったら
今度はなにをやらかすんだ?とお母様なら思いそうですね」
「ダンジョン行ったあとに お母さんに
とんかつもどきを10人分?でたりるのかな?
作ってて貰って…みくちゃんに渡して貰おう」
「美幸さんの手間にならないですか?」
「大丈夫だよ わたしのお母さんにも午後に手伝って貰うように頼むから」
「絵美にもですか ゆきくん みほさん ありがとうございます」
「「ううん」」
そうして俺たちは帰宅して
「ただいま」
「おかえり 幸正」
「あ お母さん とんかつ 皇室の人たちにも…」
「もしかして…未来様を呼んだら
ゆかり様達が察しちゃうから?」
「うん だから みくちゃんにお土産として」
「わかったわ あと パン屋さんにも食べさせに行く予定」
「パン粉の必要性ですよね」
「そう とんかつだけじゃないものね パン粉」
「コロッケとかも」
「色々あるよね」
「うん」
俺は手を洗って食卓に着くと
ミアさんたちもやってきた
「悠 とんかつ食べれるのね?」
「ミアさん嬉しそう」
「管理の仕事しつつ日本のこと眺めていても
日本の食べもの 口に出来ることなんてなかったもの」
「やっぱり3次元の世界に降りてくるのは希なの?」
「そうね だから楽しいわ 毎日」
絵美と宗人は母親と父親と会話しているみたいだから
俺は声をかけないでいた
そのあと美穂もやってきて未来と芽衣がやってきた
俺は芽衣に話しかける
「そういえば、ここに来たことなかったよね」
「うん それ 帰宅した後で気づいて
未来様が家に来てくれまして」
「ゆきくん 芽衣さん誘ったのに瞬間移動出来ない状況
頭からぬけていましたよね」
未来から突っ込まれてしまった
「ごめんなさい 芽衣さん みくちゃん ありがと」
「ううん」
「うん」
みんな揃ったのを見てから母親が
アイテムボックスに焼きたてのとんかつもどきを
皿に盛ってしまっていたようだから
それらを取りだしていき並べていく
絵美の方も持ってきたおにぎりをそれぞれ配っていき
母親と絵美が同時に口を開く
「「準備出来たよ 食べましょ」」
「「「「「「「いただきます」」」」」」」
母親達の声に一斉にいただきますの挨拶をして
各自思い思いに皿を見る
ミアさんはニコニコしながら
とんかつもどきの一切れを箸で掴んで口に運ぶ
「んぅぅぅぅぅぅぅ…お肉柔らかい」
父親と宗久もそんなミアさんを見て
はじめて食べる料理をがぶりとかぶつくと
お互いを見て
「「………これがとんかつもどき」」
一言呟いただけ
無言で口にとんかつもどきを運んでいく
美穂は…というと
「豚肉を使うのが日本のとんかつだけど
猪だし…もどきってしたのね おばさん」
「うん そう ちゃんと出来たかどうか…夫や宗人さんみたら
おいしいのは理解出来たわ」
そして美穂も口に運んでいき
「ん~ やわらかい 脂身もあって」
未来の方を見ると
箸できってから食べていた
母親が未来にも話しかけてきた
「未来様はどう?」
「はじめて食べます おいてしいです こういう作り方もあるんですね
揚げ物文化も広めたいですね」
「パン粉が普通に売られてないからパン屋さんに
頼んだの…」
「美幸 他にも揚げ物作る予定は?」
母親が少し考えるような仕草をして
「そうですね コロッケや海の幸 とれるなら
魚やえびのフライも作ってみたいですね」
「なるほど 海の幸ですか 魔物が普通にいるので
海のはなかなかうられてないですからね」
「はい 幸正がやらかすとは思いますけど」
そこで母親が俺を見て言う
「えっと…ダンジョンにも水系階層あるようだから
その階層に行けば色々取れそうな気がして」
「期待してますね」
「ゆきくん また お母様に大目玉食らいますけど?」
未来が呆れたように言う
「毎日のことだし」
「わたくしの身にもなってください」
未来にジト目されてしまう
未来から目をそらしつつ芽衣の方をみると
無言で黙々と食べていた
「芽衣さん?」
「うん? 幸正くん なぁに?」
俺の呼びかけに俺を見て反応する
「おいしい?」
「うん おいしい こんな料理 はじめてで
無心で食べちゃってる はぁ~ しあわせ」
「喜んで貰えてうれしい」
「うん ありがと 作り方とか覚えたいなぁ」
そこで母親が芽衣に
「じぉあ、日曜日とか遊びに来てもいいから」
「えっ? いいんですか ありがとうございます
作り方 わかれば わたしも作れるようになりたい」
芽衣は料理にも興味持ったようだった
俺も久しぶりのとんかつの味を堪能出来て
満足していた
「ごちそうさま 前世から数えて何年ぶりだろう 揚げ物
お母さん ありがとう」
「幸正 前世から数えてとか…普通いわないわよ」
「あはは 脂身も濃厚だったし とんかつは
ロースカツが1番好き あ とんかつソースとかあれば
もっとよかったかなぁ」
「とんかつソース…作り方 わかる?」
「ぼくにはわからない 日本に行ったときに
買ってきて研究して貰うのが1番かな」
母親の問いかけに俺が答えると
未来が
「ゆきくんってば そうやって他人に研究を丸投げする」
「そんなこと言っても 前世じゃ、なんも出来なかった人間だし?
知ってることなんて少ないよ?」
「もう…で、日本に行くって 今 さらっと言ったよね?
どういうことかな? わたくし聞いてませんよ?」
「えっ お金が貯まったら旅行でいけたらなって
お母さんやお父さんと話していただけ」
「ふーん みほさんたちも連れて行くんでしょ」
未来が美穂を見ながら言う
美穂も「しまった」と言う表情になる
「あの その 陛下達ふくめて皇室にいる人も一緒に?」
俺がそう言うと
未来はにっこりと微笑みながら
「楽しみにしてますね 旅行」
「はい」
俺は母親達に
「芽衣さんもふくめて大勢になるけど
お母さん達 いいよね?」
「「えぇ」」
「「あぁ」」
「あのぅ わたしもですか?」
芽衣が遠慮しがちに言うと
未来や美穂が言葉を強くして言う
「「芽衣さんも」」
「ありがとうございます」
こうして
お昼ご飯を食べ終えて
俺たちはダンジョンに出かける
出かける前に母親にお礼を言う
「ごちそうさま おいしかった」
「「おばさん ごちそうさまでした」」
「好評だったようでよかったわ 午後に大量に作らないとね」
母親も嬉しそうに返事をする
俺たちはそれを聞いてから瞬間移動でダンジョンに飛んだ