3話 変身
「うーん? どうしようかな?」
俺が首をかしげて悩んでいると美穂は
なにかひらめいたように話しかけてくる
「ゆきくんの能力なら何でも出来るんだよね」
「うん ぼくの頭の中で思い描けることなら実現出来るから」
「じゃあ 痛くないように…とか毒とか受けないように出来る服は?」
「あ、あぁ…それいいかも」
美穂が言ったことで前世の記憶にある
魔法少女アニメや戦隊もの特撮が脳裏に浮かんだ
俺は美穂に右手の指輪を見せてくれるように言う
「これでいい?」
「うん じゃあ、指輪の機能にバトルジャケット装着機能付けるね」
美穂の指輪に念じると指輪が一瞬光る
「わっ…光った 変更したのね」
「うん 念じて見て」
「どう念じるの?」
首をかしげて俺を見る美穂に
しまった…いくらテレビが存在してるとは言え
俺と美穂の家にはテレビなんてないし
魔法少女のことなんて美穂にはみたことないんだから発想がない
「変身だけでもいいけど…みほちゃん思いつく?」
「そうだなぁ…うーん 浮かばないかも」
悩んでみても浮かんでこなくて涙目になる美穂
そんな美穂の表情がかわいく思ってしまう
「マジカル美穂へホーリーアップ…とかは?」
「え? マジカル美穂って…」
「魔法のことをマジックというのは教えたよね」
「うん 覚えてる 英語…だったよね
ゆきくん この世界じゃなくて…ゆきくんが生まれる前
前世と言ったっけ? その記憶の方の世界の話だよね」
「うん ぼく お父さんやお母さんの子どもとして生まれてくる前
ここじゃない世界で70年以上生きていたから」
「でも、両手が使えなかったんだよね」
俺はこの2年間、美穂と二人でいるときに
前世のこと色々話していた
障害者だったということ何も出来なかったことなどなど
「だから…今こうやって五体満足で過ごせることは幸せだなと思うし
前世では女の子とずっと一緒なんて…なかったから」
「前世の記憶 あまり引きずったりしないでね わたしが居るんだからね」
「うん それで…」
俺は自分の指輪に念じてウインドウを表示させる
そのあと前世の記憶の中にある魔法少女などのキャラ絵を表示させていく
「みんな可愛い服だね こういうのイメージすればいいのかな?」
「うん そう 出来る?」
「やってみるね」
美穂は目を閉じて胸の近くで祈るように手を組み念じながら
イメージを固めていく
「光り輝く聖なる翼よ その力をわたしに 今 マジカル美穂へホーリーアップ」
美穂がイメージと同時に言葉を口にすると
背中に真っ白な天使の翼が生えていき着ていた服が消え
美穂の身体も14歳前後へと成長しつつバトルジャケット風の
薄めのピンクのジャケットとミニスカート そしてくるぶし付近に
羽が生えたブースが美穂の身体に装着していく
「わ、わわ…ゆきくん これ…」
驚いてパニックになる美穂の姿を見つつ赤くなる俺
「みほちゃん かわいくなってる…」
「えっ?」
俺は赤くなりながらウインドウを鏡に変えて
美穂の目の前に持って行く
「わぁ…これがわたし? スカート…短いよぉ
あ…ゆきくん だから赤くなってるのね」
「う…」
ますます赤くなる俺を見て美穂は微笑みながら
顔を近づけてくる
「わたしのスカート姿みて赤くなっちゃうのね うれしい」
「み、みほちゃん…」
「それにしても…わたし成長するとこんな感じになるんだね
何年後の姿なの?」
「あ…たぶん 中学生ぐらい…この国だと義務教育まだだったね 14歳前後」
「そういえば…そうだよね 学校とかお金持ちの人だけだもん 14歳かぁ
あと7年後にはこんな感じになるのね わたし」
「ほんとにかわいい…」
「ありがと ゆきくんのほうは?」
美穂に言われて俺もバトルスーツを装着する
美穂と同じく14歳前後の姿で黒をベースとしたスーツ
顔を隠すためのマスクを装着させてる
美穂の方には仮面を付けて貰ってる
一応認識妨害機能を変身時には付与されるように設定している
「これで準備終わり この服を着ている限り
物理ダメージ 魔法ダメージ 状態異常 すべて無効にできるから」
「それって魔物から攻撃されてもまったく痛くないと言うことだね」
「うん あ…それから 魔物倒すなら成長倍増スキルを10倍辺りに変更する?」
「あー それいいかも さすがに経験値倍増をあげすぎると
レベルが滅茶苦茶になるからそれは控えて」
「だよね さすがにこの歳でレベルが20も30もあったらダメだろう」
この国の平民はいくら高くてもレベルが10そこそこだ
ダンジョンに潜る職業に就いてる人間ですら
高くても50そこそこだと言われている
魔の森にいる魔物はそれ以上のレベルになっているため
なかなか魔の森を行き来する人間がいないのはこのためである
「わたしたちが高レベルになったら国から目をつけられちゃうもんね」
「そうだね めんどくさいことになるし
みほちゃんと一生暮らせるなら大人しくした方がいいのかな」
「もう…わたしのこと一生って…信じていいんだよね?」
「むしろ ぼくのほうこそ ずっと傍にいてほしいと思ってるから」
「ありがと 前世の話きいてると
やっぱり…えっちなこととかもしたいんだよね?」
「それは…その…うん 大きくなったら」
「わたし以外に好きな子作ったら怒るからね」
「うん…」
14歳前後になったら前世の世界
日本にも行き来してみようかな
空想が実現出来るなら世界間転移も出来るだろうし
あとミアさんどうしてるのかな
あとで交信してみよう
「さて、街の外に行って見よう?」
「うん 翼もあるから飛べるよね」
「そうだね 飛行能力も実装されているから うん」
俺と美穂は手をつなぎながら空を飛んで街の外に出ていく
美穂のバトルジャケットのイメージとしては
プ○コネのユイのプリンセスフォーム辺りをイメージしてます