52話 陛下と深愛
俺は未来から念話を受けた後
両親の元にむかう
「お母さん お父さん いい?」
「なにかやらかし?」
「今度はなにをやったの? 1日も大人しくしてないよね」
両親から酷い言われようだが
やらかしまくってるのは自覚してあるから反論も出来ない
「えっと 今 みくちゃんから陛下がさっさと来るようにとのことでした」
「ぶふぉっ…げほっげほっ」
父親がお茶を吹き出してむせてしまう
母親はそれをふきながら呆れながら俺を見る
「召集の理由は?」
「はい ミアさんのことだと思います」
「一昨日 具現化させたという神様?」
「はい みくちゃんが陛下達にさっき伝えたみたい」
「二日も経ってるから陛下が驚いたということね」
「うん みほちゃんの方にも念話はいってるから
向こうも出かける準備してると思う」
「はぁ…わかったわ あなた 着替えましょ」
「あ…あぁ 美幸はなぜ冷静なの?」
「この子のやらかしに毎回付き合っているのです 慣れてきます」
「そ、そう」
俺たちは着替えを済ませる
俺はいつも通り学ラン 両親もスーツ姿というかたちで
着替えを終えた後
皇宮の玄関に瞬間移動で移動する
玄関には栄を筆頭に侍女さん達がずらりと待機していた
「お待ちしておりました 幸正様 正太様 美幸様」
「「おじゃまします」」
「このたびは緊急で手土産もなしになりまして…その」
母親が栄にそう言うと栄は
「手土産は必要ありませんので…大丈夫です」
「はぁ…ありがとうございます」
「さ、陛下達がお待ちしておりますので…」
俺たちは栄の案内でプライベートルームにむかう
部屋に入ると…陛下夫妻、皇太子殿下夫妻、未来が待機していた
「幸正 正太 美幸 待っておった」
陛下がそう言うと
俺たちはその場で膝をつく
「公式の場でおらぬ 楽にせよ」
「「は、はい」」
両親は相変わらず緊張している様子だった
俺はというと美穂達がまだ着てないみたいだなと
辺りを見回していると陛下が俺に
「幸正 輪廻の管理者様の件なのじゃが…」
「はい 美穂様がまだみたいですね」
「そうか 具現化は…いつしたのじゃ?」
「一昨日です」
「連絡がさっきというのは…困ったぞ」
「も、申し訳ございません」
陛下が頭痛そうにすると
俺もいたたまらない気持ちになる
そこに美穂達が到着したようで部屋にやってくると
一斉に陛下達は美穂達の方を見る
───月皇陛下視点
わしは幸正と会話をして
こやつが連絡を怠ったことに頭を抱えてしまっていると
ふすまが開き美穂達がやってくるのに気づき
視線をそちらへ向ける
美穂 宗人 絵美と入ってきて最後に見慣れない女性が
遠慮しがちに入ってきた
幸正が美幸や絵美に渡していたスーツと同様
スーツ姿で髪を後ろでまとめてめがねをかけていた
美穂達がわしのもとにやってきて
「お爺様 遅くなりました」
「緊急で呼んだのはわしの方じゃから気にせんでいい」
「ありがとうございます それで
こちらが輪廻の管理者様で深愛さんです」
「はじめまして えっと…神様じゃないので
そんなにわたしに畏まらなくてもいいですから」
「はじめまして 管理者様 この国の皇族の長
月宮玄仁と申す者じゃが…」
「はい この世界のことも上位次元から観覧してましたので
ある程度は把握しています
悠…こちらでは幸正のことだけど
彼が色々とやらかしているようで」
深愛様が幸正を見ながら微笑んでいる
「それで 深愛様はこの世界には干渉は?」
「わたしのことは「様」付けしなくても大丈夫ですよ
それで具現化はしましたがなにをするわけでもないし
ただ、悠の傍で彼の人生を見ているだけに留めますし
心配しなくても大丈夫です」
「そうですか…一つお聞きしても?」
「はい 答えられることならば」
「えっと 月宮の始祖 転生者様は深愛様の管轄でしょうか?」
「その人については…わたしの管轄ではありません
わたしが転生させたのは悠一人ですので」
「そうなのですね」
「悠が転生するとき たまたま
転生したい異世界の条件に似合う世界がこちらだったのです」
深愛様がそう仰られて
わしは疑問に思って首をかしげながら聞き返す
「と…いいますと?」
「彼は転生に魔法がある世界 そして近代日本に近い文化レベルを
希望したので調べてみると この世界でした」
「なるほど この国の文明はそれほどまで日本に?」
「そうですね 100年 いや 悠のやらかしで
急激に文明レベルが発展すると思いますね」
「ふむぅ わしらはどうすれば?」
「どうもしなくてもいいんじゃないですか?」
「えっ?」
「ほっといても科学の発展は出来る世界だから
遅かれ早かれ文化革命は起きていたと思います」
「なるほど」
「ただ、服に関しては…着物のままだったのかもしれないですね」
「国交がないからですか?」
「そうですね 魔の森を越えてくる人間も…でしょうし
他の大陸から海を渡るのも何十年先になるかもしれないですしね」
「なるほど 色々情報ありがとうございます」
「いえいえ」
「今夜は皇族一同 深愛様を歓迎させていただこうと思いますので
お口に召しますかどうかわかりませんが」
「ありがとうございます こちらの世界の食べもの
まだ数日ですがおいしくいただいてますから」
「それはそれは よかったです」
わしは深愛様と会話を済ませると
自分の席に戻るのだった