506話 食の祭典 1日目 7
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開会まで残りわずかになったのを見て
俺は玄関ホールで作業をしている侍女達を見つつ
響子を捜して声をかけた
「響子さん ちょっといいです?」
「はい? なんでしょうか?」
響子は俺が話しかけると振り返り首をかしげてくる
「そろそろ時間になるし陛下達も来ると思うし
報道陣もたくさんいるとは思うのだけれど
お昼の時間帯にあわせて映像投影でニュース番組として
流せないかなって…どうかな?」
「なるほど その撮影と編集をわたしにですか?」
「うん ナレーションも含めて? できます?」
「はい ナレーションは自信はありませんが
やってみます」
「ありがとうございます
それじゃ、一応…外に移動で?」
「はい」
俺と響子は外に出ていく
外には大勢の報道陣が集まっていて俺たちが出てきたのをみて
一斉に…こちらを向いてきたが話しかけてくる人はいないようだ
ほどなくして黒塗りの高級車が数台
門から入ってくると報道陣が一斉にカメラを構えながら
スタンバイをはじめたようだった
カメラもまだまだ大きいカメラでビデオカメラは
それこそ大がかりの機材になっているようで
カメラマンの人たちも大変みたいだった
最初の黒塗りの高級車からは政府関係者だろうか?
内閣総理大臣をはじめとした面々が降りてきて
そのあと数台を経て…陛下達皇室関係者も降りてきたようだった
陛下達を見て報道陣も緊張の面持ちで陛下達に
注目している様子だった
そして玄関前まで政府関係者、皇室関係者が
到着すると政府関係者にむけて
報道陣の一人がマイクを向けながら話しかけてくる
それをみて響子も撮影を開始を始める
「総理大臣にお伺いよろしいでしょうか?」
総理が頷きながら記者を見る
「いよいよ食の祭典が今日から始まりましたが
今の心境などをお聞かせいただけませんか」
「そうですね 急ピッチで進めたので
国としては…食材の購入費やこの会場の手配ぐらいしか
行っておらず…月皇陛下やゆかり皇太子妃殿下に
お任せしてしまっていまして心苦しい限りなのですが
私ども政府としても…幸正様が放送している
宣伝番組でしか料理を確認したことありませんので
どのようなものになるのか…期待と不安がおり混ざっております
報道関係者の方もそうじゃないでしょうか?」
総理が報道陣に向けて問いかけると
報道陣も頷きながら食べもののことを色々と思いすべている様子だった
「ありがとうございます
えっと…次に月皇陛下 お言葉をいただけると幸いです」
記者が陛下に恐る恐ると話しかける
「うむ 本来ならば国ですべて行うべきものなのだが
今回は時間も限られていたため
皇室に勤務する侍女達ならびに
加賀、樹の関係者でほぼすべて行うことになってしまったことは
政府機関としては遺憾なものかもしれぬ」
そこまで言うと陛下が総理を見る
すると総理は首を振りつつ「いえいえ と、とんでもございません」と答えていた
この総理…小心者みたいだなと俺は思ってしまうが
口に出さずにみていることにした
「また、来年の夏に開催予定の大規模な祭典だが
そちらの方は国で会場建設や交通整理も進めているようだ
今回の3日間に会場に訪れる者達の中には
料理人も多数混ざっているだろうと期待もしている
其方達、料理人がさらなる工夫をしてくれれば
来年夏の方は…我々、皇室関係者だけでなく
其方達中心の祭典になるであろうと期待もしている
料理に対する情熱と工夫を…わしは期待しておる
うまいものがこれから先…この国で広まることを切に願うぞ」
陛下が言い終えると記者が「ありがとうございます」と一礼をする
そのあと総理が記者達を誘導して屋敷の中へひきつれていく
俺は響子もついていくことにした
いつの間にか俺の隣に未来もやってきたようだった
「ゆきくん いま 撮影してるのです?」
「うん 響子さんに任せてますが」
「撮影したものはどうする予定なのです?」
「お昼頃に全国民に映像投影してニュース番組にでも」
「なるほど 報道関係者もこれだけいるのに
ゆきくんがやるというのは…信用してないからですか?」
「うーん マスコミ不信はあるけれど
今回はどちらかと言えば…テレビ技術がまだ未発達の
この国だからニュースとかも遅れちゃうだろうし
そもそもテレビがある家庭もすくないわけで」
「言われてみれば確かに…そうでしたね」
「今 陛下も全国の料理人に向けて語られていたし
やっぱり映像投影が1番確実かなと」
「そうですね 来年の夏は…わたくしたちだけじゃなく
全国各地の料理人達がお店を開いてくれれば
食の祭典も盛り上がりますよね」
「うん そうなってほしいね ぼくとしても」
未来と会話をしている間に
玄関ホールで試食の引換券を一人一人
その場に集まった報道陣や政府関係者が受け取って行ってるようだ
受け取り終わると渡り廊下へ移動して行くみたいで
美穂も加わりつつ会場に俺たちも移動することにした
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