41話 芽衣との会話 2
俺がウインドウを空中に展開させると美穂が
俺を叩いてくる
「うぅ…また叩く」
涙目になりつつ美穂を見ながら言うと
「ウインドウサイズ変えれること わたしたちに教えてなかったよね」
「あ そうだった だからといって叩かないでよ」
「ふん」
「みくちゃん…」
未来に助けを求めてしまうと美穂がまた頭を叩いてくる
「おねえちゃんに助けを求めるなんて」
「もう みほさんもすぐ叩くのはだめだよ
そんなことばかりしていると ゆきくん わたくしだけのものにしちゃいますよ?」
「えっ? それは困る」
未来の言葉に美穂が慌てる
「あの わたしはどうすれば?」
一人蚊帳の外にいる芽衣が困惑気味に言うと
俺は芽衣に謝りつつ日本の洋服店のサイトを表示させる
「こんな感じで日本のものを見たり調べたり出来る機能も付けているんだけど
さすがにこれを芽衣さんに渡してしまうと
それを知った家の人たちやどこからか嗅ぎつけてきた悪党とかに
狙われるでしょ」
「あ 確かに それにしても洋服って色々あるんですね
わたしたちの技術でできるの? これ」
「ジッパーとかの仕組みを解析してからかなぁ 量産するのは」
「ジッパー?」
芽衣学費をかしげていると
美穂がアイテムボックスからジャージの上着をとりだして
芽衣にみせながら説明する
「これ 運動用の上着なんだけど前開きになってるよね」
「うん どうやって閉じるの? このギザギザのが関係してるのは
なんとなくわかるんだけど」
「こうやって…裾の方側に片方をはめて
はめたあとでこの部分が動くから上にあげていくと閉じるの」
「うーん 見ていても原理がわからない」
芽衣が首をかしげながら言う
「ですよね ぼくもわかってないから…頭のいい人に
分析して貰ってつくるしかないと思うけど」
「幸正くんもわからないんですか はぁ」
芽衣が俺をジト目で見てくる
「ぼく 前世 頭よくなかったし…売られているものを
つかっていただけだし」
いいわけを言ってしまうと
芽衣はあきれ顔になりつつ
「はぁ…専門家の人はお父様の人脈を頼るしかないですね
ジッパー以外ではどういうものがあるんです?」
芽衣が続けて問いかけてくると
美穂がアイテムボックスから色々とりだしてくる
「ボタンで留めるタイプは比較的簡単だから原理もわかるよね?」
「はい これならすぐにでも実用化出来ると思いますね
量産体制が…だけど これ プラスティックですよね」
「うん ボタンの素材はプラスティックでも金属でもなんでもいいと思う
ゆきくんが着ている学ランのボタンは金属製だし」
「なるほど…あの…試着してもいいです?」
「うん どれ着る?」
美穂が並べていく服を芽衣は色々見て行く
「あの 気になったんですが みほさんって 下に履いている
なんていうの? それ」
「スカート ブリーフスカートという種類」
「スカートも色々あるんですね
それで スカートの中は…着物だと…その…」
芽衣が俺を見ながら言いにくそうにする
「着物だと履いてないのが普通だもんね
だからわたしたちは革命起こしたいの
女の人も下着を着けることが当たり前になるように」
「あ…やっぱり そういう理由なんですね」
芽衣は納得した表情になる
「男の人はふんどしつけているのに
どうして…というのはいつも感じてましたし
あの 出来たら見せて貰えます?」
「それはいいんだけど ここじゃ…ゆきくんいるし」
美穂が俺を見ながら言うと
芽衣は「向こうの部屋で」という風に指を差す
「それで、芽衣さん どれ着る?」
「うん これ…かな」
「ワンピースね ゆきくん ワンピースだとTシャツとパンツでいいよね?」
「うん 下着はみほちゃんのアイテムボックスにあるよね」
「うん 7歳の姿用のは入れてある」
「7歳の姿用? どういうこと?」
美穂の言葉に首をかしげる芽衣
「わたしたち 14歳の姿にも変身出来るから」
「ほぇ? えっ? 変身?」
ますますパニックになって行く芽衣を
美穂が落ち着かせながら部屋を出て行くのだった
美穂と芽衣が部屋を出て行ったあと
俺と未来だけ残されたが俺は未来に話しかける
「みくちゃん 学校に飛行機というか空を飛ぼうとする変人とかいない?」
「いきなり なにを言ってくるんです」
ジト目になって俺を見る
「飛行機のことだけど」
「飛行機開発ですか…うーん 噂なら聞いたことあるような」
未来がなにかを思い出すように斜め上を見つめる
「変わった実験ばかりしている上級生がいるとかいないとか」
「実験ですか 気になりますね どんな実験してるのかな」
「詳しくはわからないので…帰ったら調べて貰うように手配しますね」
「うん ぼく 思うんだけど 魔法があるんだから
空を飛ぶことなんて前世よりは簡単なはずなのに
まだ その技術が確立されてないのが不思議で」
「言われてみれば…そうですよね 風魔法と土魔法
使えそうなものありそうだし」
「土魔法の重力コントロールで重力をなくせば浮かせることも出来るだろうから」
「確かに…そう言う発想 思いつかなかったです」
「あと 各属性の魔力を魔石化できないのかな」
「あ それ どこかで研究している人がいるとかいないとか
噂がありました」
「魔力を電力に変換する装置は出来てるなら
そこから発展させて魔石化させることが出来れば
自動車も自転車も船も電車も…いろいろと発展しそうだし
飛行機も」
俺は思ってることを未来に語っていると
未来はそんな俺を見てにっこり微笑んで
「ゆきくん たのしそうね」
「あ ごめんなさい」
「ううん そういうの考えるの好きなんだなぁって
みていて思っただけ」
「でも、頭悪いから発明まではいかないけど」
「それを現実にやれる人がいればいいよね」
「うん ぼくの能力なら出来るだろうけど能力でやったところで
科学の発展にならないもん」
「なるほど 確かに ゆきくんがいなくなれば…そこまでだもんね」
「だから魔法と科学の融合とか出来たらいいなぁって
ぼくの前世は魔法なんてない世界だったから」
「魔法がなくてもすごいものが出来ていてすごいなと思いますね わたくしは」
「だから 実験してる先輩がどんな人なのか興味ある」
「近いうちに調べておきますね」
「ありがと」
俺と未来がこんな会話をしていると
美穂達が戻ってくるのだった