421話 それぞれの家族の様子 9
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ことり視点です
次回は水曜日になります
───大空家
わたしの家は両親、祖父母と14歳の妹…ひよりと
9歳の三つ子の弟達…淳、良治、俊彦の9人家族になっている
お母さん達は…まだ荷物整理中なので
お昼ご飯は…わたしが作ってしまおうと思い
台所に移動していく
「うーん どうしようかな」
つい、独り言を口にしてしまうと
周りを見渡して誰もいないことにホッとする
考えてることを口に出すのは控えなきゃ…はずかしいし
大人数だし…簡単に出来るものにしようと
アイテムボックスを確認しつつ
電子レンジをとりだして空いてるスペースに設置する
掃除機だけじゃなくて電子レンジまで
配布して貰えるのはありがたいけれど
待遇の良さには困惑してしまう
「まだ見習いなのに…」
そう…わたしは見習い侍女2年目なのだけど
幸正様と関わるようになってから
色々と変わってしまった
料理作りの仕事を申しつけられて
それ自体は仕事だからと言う気持ちで
何も考えずに仕事をしていたのだけれど
料理作りをはじめてすぐの日曜日に
日本の美味しいものを食べさせて貰ったり
考えれば考えるほど待遇がよすぎていて
こんな待遇でいいのかなと思っちゃったりもします
挙げ句の果てには
句美子ちゃんや美海ちゃんがアイドルやりたいという話になって
侍女寮も大改造で練習場も出来て
くみこちゃん達の歌と踊りの練習を
時間つぶしと興味もあって見ていたら
わたし自身もやりたくなっちゃって…今にいたる
句美子ちゃんみたいにセンターを担当する度胸もないから
目立たない立ち位置を選んじゃったけど
考えてみたら…句美子ちゃんすごいなぁ
話の成り行きでセンターになったみたいだけど
昨日の番組製作もセンターとして
きちっと仕事をこなしていたもんね
「わたしも頑張らなきゃ…」
せっかくのアイドル活動だもん
わたし自身も輝きたい…そんな気持ちが少し芽生えてきていた
考え事をしつつアイテムボックスをみて
冷凍食品を選ぶことにして
人数分の冷凍パスタ…ミートソース、カルボナーラ、ペペロンチーノ
適当に選んでいき電子レンジでチンしていく
人数分温め終わってアイテムボックスにしまったあと
みんなを呼びに行く
各部屋をまわって呼んで居間に集めると
アイテムボックスから温めていたパスタを9つ並べていく
「姉ちゃん これ?」
「なにこれ?」
「みたことない」
弟たちがパスタを見ながら口にする
ひよりに至ってはパッケージを眺めてから
わたしに話しかけてくる
「おねえちゃん これ 番組にも出ていたナポリタンみたいなもの?」
「ひより うん 正解 ナポリタンはないけど
ミートソース カルボナーラ ペペロンチーノの3種類
あ ペペロンチーノは辛いらしいので
お父さんやおじいちゃん…食べてね?」
わたしは、お父さんとおじいちゃんに笑顔で圧をかけながら
ペペロンチーノをわたす
「あ、あぁ…辛いのか」
「それはいいのだが…うどんでもそばでもないのは
どんなものか楽しみだな 昨日の番組でも
ナポリタン美味そうじゃったしな」
お父さんは顔をひきつりつつ答える
おじいちゃんはと言うと…ナポリタンを思い出しつつ
パッケージを見ながら楽しみにしてるようだった
「各3つずつ用意してるから…あと一つのペペロンチーノ
どうします?」
わたしが食べるつもりでもあるけれど
一応確認してみると…お母さんが食べると言いだしてくれた
「わたしが頂くわ」
「お母さん 辛いの平気?」
「大丈夫でしょ 食べてみないとわからないけれど」
「じゃ、お母さんに」
お母さんにペペロンチーノを渡す
そのあとミートソースとカルボナーラの方をみる
「カルボナーラは甘い感じみたい
ミートソースもどっちか言えば甘い方だね
わたし、ミートソースなら食べたことあるから
おいしかったし…ミートというのは肉のことだけど
どうする?」
おばあちゃんや妹と弟たちを見る
「ぼく こっち」
淳がカルボナーラを指さす
「ぼくは…ミートソース」
良治はミートソースを選んだようだ
「ひよりはどうする?」
「わたし? どうしようかなぁ どっちもおいしそうだもん
おねえちゃんは?」
「わたしは残ったものでいいかな」
「そっかぁ じゃあ、わたしミートソースにするね」
ひよりはミートソースを選択したみたい
残った俊彦は…悩んでいるようだけど
悩んだ末にカルボナーラを選択したみたい
「おばあちゃんどうする?」
「そうだねぇ カルボナーラ選ぼうと思うわ」
「わかった わたしはミートソースね」
各自食べるものが決まったので蓋を開けて食べ始めると
お父さん達の様子を伺いながら聞いてみることにした
「ペペロンチーノどう?」
「うん 辛くはあるがうまいな これ」
「わしはたいして辛さは感じないな 麺は硬めのようだが
今まで食べたことのない味じゃし…うまいな うむ」
「わたしも食べれないほどの辛さではなかったから
普通においしいと感じるね
でも…これ どうやって作ってるの?
お昼 9人分用意するのも大変じゃなかった?」
どうやらおいしく食べてくれているみたいでよかった
それとお母さんは首をかしげながら聞いてきたので答える
「それ 冷凍食品で電子レンジにいれてチンするだけなの」
「「「「「冷凍食品?」」」」」
両親と祖父母と妹が口を揃えて復唱する
「凍らせている食品で電子レンジで温めるだけで良いもの」
「そんなものがあるのか」
「日本って…すごいなぁ」
「「ですねぇ」」
両親と祖父母がしみじみと呟いている
ひよりは…ミートソースを食べながらなにか考え込んでるみたい
「ひより どうしたの?」
「あ うん このパスタ? 普及させるんだよね?」
「そのつもり」
「じゃあ、ミートソースやカルボナーラやペペロンチーノの
作り方も覚えたいなと思った」
「どういうこと?」
ひよりを見ながら首をかしげて聞き返す
「パスタ専門店とか開けたらいいなって」
「あなた お店開きたいの?」
「「ひより?」」
わたしや両親がひよりを見て呟く
「だめかな?」
「ひよりだけだと大変だろうし
ことり どうしよう?」
お母さんが困ったように聞いてくる
「とりあえず…ひよりは拓郎さん達に預けるのがいいかも
日本にある料理の数々 覚えるのにはいい機会かなと」
「拓郎さんって居酒屋の人?」
ひよりが番組を思い出しながら聞いてくる
「うん そう」
「わかった このあと日本に行くんだよね?
挨拶 ちゃんとしなきゃ」
どうやら…ひよりは進路を決めたみたいだった
弟たちは大人しく食べているみたいで
3人ともおいしそうに食べていた
お昼ご飯を食べ終えて後片付けをしたあと
お父さんとおじいちゃんに弟たちと一緒に
体育館に行って貰うことにして
わたしたち女性陣は日本に向かうことにした
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