417話 それぞれの家族の様子 5
あい視点です
見習いの侍女のなかで…ここまで目立つことのなかった子の一人です
虹色少女隊と宝石少女隊の11人以外にもスポットを身当てたいと思いまして書きました
次回は月曜日になります
───宮野家
家族が荷物整理をしている中
わたしは台所に立って、お昼ご飯の準備を始めることにした
アイテムボックスには色々入っているから
材料には困らない
さすがに手間のかかる料理はやめておこうと思い
袋麺を使ってラーメンでいいかなと…とりかかる
そのまま作るのもなんなので
ペットボトルに昆布と水をいれて漬けていた
昆布出汁もあるし、ひな達がダンスや歌の練習しているとき
わたしだけ特になにもすることなくて
一人で部屋に籠もりながら料理配信などを
ネットで色々みていたのでアレンジ料理も色々出来るようにはなっている
わたしは他の子たちより影も薄いし
ひなやくみこちゃん達みたいなことも出来ないし
響子みたいに、その場で主張も出来てないから
幸正様にも名前すら覚えて貰っていないかもしれない
「…ふぅ」
ため息ついてしまいながら
人数分の塩野菜ラーメンを作っていく
しばらくすると、お母さんが慌てるように台所にやってくる
「もう…お昼になっちゃってて…お昼ご飯作らなきゃ…あら…あい?」
お母さんがわたしの姿を見て驚いて、わたしの名前を呼ぶ
「お昼 あと少しで出来るから…お父さん達呼んできて」
「助かるわ それで…これはなにを作ってるの? 麺にみえるけど
うどんでもそばでもないし…」
「うん ラーメンという麺だけど…今回使ってるのは
即席麺の方…アレンジなしなら10分もかからないで出来るから」
「即席麺? すぐ作れるから即席なの?」
「うん そう 日本で売られているもの
ぼたん先輩に頼んで買ってきて貰ってたのを
アイテムボックスに入っていたから簡単に作れるもので
これを選んだ」
「すごいわねぇ じゃあ、みんな呼んでくるわね」
お母さんが台所から出て行くのを見送りつつ
ラーメン作りを進めていき人数分出来たので
アイテムボックスに仕舞い込みながら居間に向かう
居間の机には両親と妹二人がすでに座っている状態だった
「おまたせ 配っていくから」
わたしは、そう断りを入れて丼をそれぞれに配っていき
配り終えたあとに空いてるところに自分も座る
「あい これは?」
「「おねえちゃん うどんでもそばでもないよね?」」
「うん 今回は塩野菜ラーメンにしてる」
「「「ラーメン?」」」
3人とも首をかしげながら聞き返してくる
「うどんも小麦粉で出来てるけど…ラーメンの麺も小麦粉なのだけど
作り方が違うの」
「なるほど」
「あなた それと…のあ、ちはやも…それくらいにして食べましょ」
お母さんが時間を見つつ…お父さん達に言う
「「「「「いただきます」」」」」
全員でいただきますをしてから食べ始めると
お父さんが麺をすすったあとに、わたしの方を見る
「麺もうどんとは違うがうまいなぁ これ」
「あら 汁もおいしいわよ あい これどういう汁なの?」
お母さんがスープを飲みながらきいてくる
「それは袋麺の粉末スープだけじゃなくて
昆布をつけていた水も使っているの」
「昆布??」
お母さんが頭に???浮かべながら聞き返してくるので
昆布そのものをアイテムボックスから取り出す
「これが昆布 海の中に生えている海草」
「海の中? 魔物がいるのにどうやって?」
お母さんが信じられないような顔をして、わたしを見る
「この昆布はダンジョン55階層の海の中でとってきてるけど
わたしも含めて侍女は全員 滅茶苦茶な強さになってるから その…」
「「………」」
沈黙してしまう両親に苦笑いをしてしまいながら
ラーメンを食べていると、乃愛と千早が話しかけてくる
「そう言えば…おねえちゃん ラーメンの他にも麺あるよね?」
「番組で拓郎さんでしたっけ? 作っていたもの あれは?」
二人が宣伝番組を思い返しながら聞いてくる
「ナポリタンね パスタ料理だけど…あれも小麦粉で出来ている麺なの」
「「食べてみたいなぁ」」
「夜にでも作ろうか?」
「「いいの?」」
「うん いいよ パスタもアイテムボックスにあるから」
「「やったぁ」」
乃愛と千早がわくわくしながら喜んでいるのを見ると
わたしも嬉しくなる
そこで突然、お父さんが声を上げる
「よし 決めた」
「あなた なんですか? いきなり」
隣にいた、お母さんが睨み付けながらお父さんに問いかける
「会社辞めて…ラーメン屋したい」
「「「「は?」」」」
あまりにも唐突すぎて…わたしたちはぽかーんとしてしまうのをよそに
お父さんが話を続ける
「あい 麺の作り方も教えてほしいが…他にもラーメンのこと
詳しく知りたい」
「お父さん いきなりなにを?」
会社やめてラーメン屋やるのは…まぁ、生活自体は
わたしたちが働いているから問題はないでしょうけど
それにしたって唐突すぎて…頭抱えてしまう
「こんな美味いもの…広めないともったいないだろ」
「それはそうですが ラーメンやパスタは殿下が小麦粉の配合を
買い取られていましたからどこかでは作るようには
手配はしているとは思います」
「殿下? 雅仁様が?」
「はい こないだ…大森さんと吉田さんの息子さんと娘さんが
麺作りした時に殿下が試食してました」
「そ、そうなのか…うどん屋とそば屋だよな そこ」
「はい なので…他のところに作って貰いたいと言うことで
小麦粉の配合割合を殿下に渡していました」
「なるほど 俺が作るのは無理なのか?」
「あなた?」
「生活自体は…少なくても来年いっぱいはここで過ごすことになると思いますし
お父さんが会社やめても支障はないと思います」
「あい…そっか なぁ…やりたいんだけどダメか?」
お父さんがお母さんを見ながら訴えかけると
お母さんは…ため息をついた後、言葉にする
「仕方ありませんね 働くのは…わたしたちがいるから
しばらくは大丈夫でしょうし…確かにラーメンはおいしいですし
お店としてやるならがんばってください」
「ありがとう」
「あ お父さん 日本で売られているラーメン色々買ってきて貰うから
それらを試食して研究からはじめてね」
「わかった 買ってきて貰うのはいいのだが…お金は?」
「お金は…わたしが60階層でゴールドゴーレム倒してきますから
それを渡します」
「あい…ほんとに強くなってるんだなぁ」
「ほんとにそんな強く」
両親がわたしを見ながら遠い目になってしまうのには
心の中で「わたしはそんなに強くないのに」と言いたくなります
実際、ひなたちやくみこちゃん達の方が強いから
「ねぇ おねえちゃん わたしたちもラーメン屋の手伝いが無難かな?」
乃愛がそうわたしに呟いてきました
「お父さん一人では大変だろうし…乃愛達が
お店に入ってくれるなら助かるかも
状況次第では…わたしも侍女やめて…お店に入るよ?」
「「えっ?」」
「「あい いいのか?」」
「それもありかなと思ってしまう 他の見習いの子達も
それぞれ違う道を選びそうな感じだから」
「そっか 皇室としては大丈夫なのか?」
お父さんが心配そうに言う
「今のところは正規の侍女も多いし大丈夫だろうけど
わたしたちより若い世代は足りなくなりそうかも」
「むぅ あいがやりたいようにやったらいい」
お父さんが申し訳なさそうに言う
「うん どうするかは自分で決めるね」
「あぁ」
こんな会話をしながら食べ終えて後片付けをすませた後
お父さんも料理場についてくるみたいでした
「俺も料理場を見学させて貰うわ」
「それじゃ、桜木家の裏庭の地下室7階層に」
わたしがそう言った後、みんな頷きながら移動をはじめるのでした
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