36話 とある呉服店の親子の会話
芽衣視点です
そして…奥さんとなっていたところをお母様に変更しました 2025/05/25
もうすっかり暗くなった頃
店の前に車が止まるのを部屋の奥から眺めていると
一人の小太りな男性…お父様が従業員を連れて店に戻ってくると
困惑した表情を浮かべながら腰を下ろしていた
わたしとお母様はそんなお父様の様子に慌てて
飛び出していき声をかける
「あなた おかえりなさい 顔色優れないようですが
お妃様と皇女様のところでなにか?」
「お父様 だいじょうぶ?」
お父様の顔色が相当悪いみたいで心配です
「ただいま ちょっとな 色々と仕事が増えてしまいそうで」
「そうですか お妃様になにか不敬を働いたわけではないのですね」
「な、おまえ そんなこと 俺がしでかすと思ったのか」
「冗談ですよ」
ニコッと笑うお母様に対してなにもいえなくなるお父様
「お前 ちょっと冷たい水くれないか?」
「はいはい」
お母様が台所に水をくみに行く
その間 わたしはお父様から話しかけられていた
お母様は台所に水をくみに行かれてしまって
「芽衣 たしか 学校で皇女様と同じクラスだったよな」
「あ…はい あまり声をおかけには出来てないですが」
首をかしげつつ答えてしまう
「そっか…これから先 この国で革命を色々起きると思うから
芽衣は皇女様に気に入って貰うようにな
決して あの方達と敵対するのは避けるようにな」
「お父様 それはどういう…」
革命だの敵対だの物騒なことを言う父親に対して
困惑して顔に出しつつ聞き返す
「今日 お妃様と皇女様に呼ばれたのは知ってるよな」
「はい お仕事の関係でしょうか」
お妃様達が着物を購入されたのではと
当初はわたしは思ってました
「そうだな 俺の仕事は芽衣もわかるよな」
「はい 呉服店です 着物など取り扱ってるお店」
「うん そう 大きく分類するなら服を扱っている店になるな」
「はい」
「着物だけじゃなくまったく新しい服は芽衣はどう思う?」
「新しい服 想像が出来なくてわからないです」
想像しようにも想像出来ずに首をかしげてしまう
新しい服と言われてもどういうものなのでしょう
着物しかみたことのないわたしにはまったく想像出来ません
「そっか 今日 お妃様達に仕事として云いつかわされたのは
その新しい服のことなんだ 国中の呉服店すべてと
連携して研究開発しろと命じられたんだよ」
「えっ? そんな大きな規模なのですか…」と
心の中で叫んでしまいました
「それは 難しいことになりますよね 新しい服と言われても
想像が出来なければ」
想像出来なければ作ろうにも
何をどうすればいいのかわからないですし
大変なことを…と思ってしまいます
「あぁ、そうだな でもな サンプルとして用意されていたんだよ
俺が今まで見たことのないような服が色々と」
まさかの試作品が存在しているのですか
誰がそんなものを作ったのでしょう
それが気になります
「えっ? サンプルがあるのにどうしてお父様に開発を?」
「手渡されたサンプルはあくまでもサンプル」
「はい」
「大勢に売るのには大量生産が必要だ」
「はい それが出来るようにと?」
確かに試作品は試作品
お店で売るためには大量生産が必要になってきます
それを考えての研究なのですね
未来様は…どういうお考えでこれを?
「そうだ うまく行けばお金も沢山儲かる」
「そうですね お父様どうなされるの?」
「もちろん 頑張るつもりだ」
そこに台所から水を持ってきたお母様から水を貰い
お父様は水を一気に飲み干した後で
強くわたしたちに決意表明を話されました
「お前 芽衣 これから忙しくなるから頑張るからな」
「体に気をつけてくださいな」
「わかってる 芽衣 お前は皇女様と仲良くなってくれ
あの方からサンプルとしては貰っているが
芽衣も使用感ためして貰いたいから
出来るなら頼む」
無茶苦茶な頼み事をお父様から言われて
心の中では「むりむりむりむり」と叫んじゃってます
未来様と会話したことないのに
「はい ただ、会話すらしたことないから友達になるところからになりますけど」
「それでいい とにかく嫌われないことが一番だからな」
「はい…」
お父様との会話を終えてわたしは部屋に戻ると
ため息をついた後 首をかしげてしまってます
未来様…なにをお父様に依頼されたのでしょう
そういえば二人ほど編入する人がいるとか
噂で聞いたけどそちらの方も気になります
月曜日には来るのでしょうか
楽しみでなりません
新しい服…いったいどういったものなのでしょう
書いていた当初
第三者視点で書いていたのですが書き直して
娘の芽衣視点にしました