プロローグ
俺の名前は椛沢悠
生まれつき両手と口が利けないいわゆる障害者だった
もう歳も70超えていて、いつお迎えが来てもおかしくない状態
ここ20年ほどは寝たきり生活で自分では何も出来ず
生かされているだけの毎日になっている
こんな状態いつまで続くのだろう
そんなことを考えながらずっとベットの上に寝かされている
若かった頃も恋人なんて出来たこともなく
えっちすら未経験のまま身体が動かなくなり寝たきり
せめて経験したかった…と言う未練もあるが
もうどうにもならないから諦めてる
さっさと死にたい
そんなことばかり考えている毎日
そんな70を超えたある日
やっと天からお迎えが来たようだった
これで空しい人生も終わりだと思うと気持ち的にホッとする
命の灯火が消え意識が遠のいていく
…
……
………
次に意識がはっきりすると
そこは真っ白の空間の中だった
「む? ここは? あの世か」
辺りを見回しても何もない白い空間
「あれっ? 普通に喋れてる」
意識してなかったが普通に喋れてることに驚きを隠せない
自分の身体を見て手を動かしてみるとちゃんと動く
「手も動いてくれてるのか…ふぅ」
今更だなと言う気持ちしかない
あの世に来てから五体満足になっても意味ないなと思う
そんなことを考えていると
どこからともなく声が聞こえてきた
「聞こえますか?」
「えっ? はい 聞こえます」
辺りをキョロキョロと見回しても誰もいない
首をかしげながら返答する
「わたしは死と転生を管理する管理者です」
「自分が死んだのは理解出来ますがここはあの世でしょうか?」
「そうですね あなたたち人間から見れば
あの世とよばれるところです」
「そうですか…」
あの世がこんな真っ白な空間だったとは
ちょっと意外だと思う
「それで…これからどうなるのでしょうか」
管理者と名乗る女性ぽい声に尋ねると管理者は答えてくる
「次の人生に転生を行います」
「はぁ…転生ですか 記憶もすべてなしになるんですよね?」
「通常はそうなりますが…あなたはわたしたち管理者に対して
恨みなど持ってますよね」
あぁ、管理者にはすべてお見通しみたいだな
俺が神に対して恨みがあること
神に会えるなら一発ぶん殴りたかったこと
「えっと…わかるんです?」
「わかります 今もあなたの心を読んでますからね」
「ぎくっ」
「殴りたかったんですね? 神と呼ばれる存在を」
「えっと…それは…その」
心読まれているわけだから
隠していても仕方ないだろうし開き直ることにしよう
「開き直ろうとしてますね」
「はい もう 心読まれるのであれば隠しても無意味かと思うので」
「そうですね 時間も限られていますから無駄なことはしない方がよいでしょう」
「はい 俺はこの人生 つまらなかったです」
「障害者だったからですか?」
「はい 神なんて存在しないと思ってましたし
神がいたならば一発ぶん殴りたかったと言うのは本当です」
「はぁ…確かに両手が使えない 言語障害もある
健常者に比べてものすごいハンディになっている人生だものね」
「それでいて神を信じれば救われるとかくだらないと感じてましたし」
「まぁ、人間の世界に干渉はほとんどしませんから
わたしたちに救いを求められても…ですしね」
やはり人間の世界へ干渉はしてないのか
こういう管理者…超次元の人たちは
「わたしたちを超次元の人だと思います?」
「え そうですね 俺たちの次元の上位の次元にいる人たちなんだろうなと」
「確かに魂の輪廻等を管理しているわけですし
あなたたちからみれば神様になるでしょうし」
「はぁ…あなたが俺の今世を管理したわけじゃないんですよね」
「えぇ…それはもちろん わたしは管理してません
それにあなたが障害者になった事は未熟児で生まれたことなどが
影響されているわけで…そこにわたしたちが干渉している訳ではないので」
「そうですか」
この人達を恨んでも無意味だと思い始める
人と言っていいかどうかあやしいが知的生命体なのは確実なのだから
「それで時間もないから用件を語らせて貰っても?」
「はい」
「あなたの人生は…わたしも確認はしてましたし」
「えっ?」
「干渉はしてませんでしたがモニター越しでみてました」
この人達ってそんなことも出来るのか
「あ 誤解ないように言うとですね
さすがに全員は把握してませんよ わたしたちも」
「それでは…なぜ 俺を?」
「うーん? 理由は特にないですが…気になってしまって」
管理者から見ても俺の人生って不憫に思われたのだろうか
「あの 管理者様にお願いとかは無理なのでしょうか」
「わたしに「様」なんてつけなくてもよろしいですよ」
「そうですか どうお呼びしたら?」
敬語になってしまってるが
相手の方が立場が上なわけだから仕方ない
「そうですね それでは わたしのことはミアでお願いはしますね」
「はい ミアさんに頼み事よろしいですか」
「わたしが出来ることであれば…その前にわたしから先に
話をさせて貰いますが?」
「はい」
「あなたの人生をみて…干渉も出来なかった訳なので
せめて最後に干渉したいなと思いました」
ミアさんから見ても俺の人生って酷かったのか
(はぁ…)
「ため息つかなくても…それで…来世への干渉をしたいのですが
あなたはそれを受けますか?」
来世…転生したあとのことか
可能なら五体満足で人生送りたい
「いただけるならば…お受けしたいです
そして俺からのお願いもそれにかんしてでした」
「なるほど 来世に対してのお願いなんですね」
「可能でしょうか?」
「うーん 話してみて貰わないとなんとも言えないですが…」
ミアさんは少し考え込みながら答える
話してみるだけ話してみよう
「地球じゃない世界に転生したい
魔法とかある世界 もちろん五体満足で
今世の記憶も出来るならば遺した状態で
出来ますでしょうか?」
俺はミアさんにそう伺ってみた
「魔法がある世界ですね それだと
地球より危険な世界になるけど大丈夫?」
「魔物がいる世界になるんです?」
「えぇ…そうですね 文明レベルも地球より落ちますし」
「文明レベル…地球の21世紀レベルで魔法世界は
存在しないんです?」
「ちょっと待ってくださいね」
ミアさんは俺にそう言うとしばらく黙り込む
しばらく待ってると声が聞こえてくる
「お待たせしました えっとですね
21世紀レベルはないようですが20世紀初期レベルなら
存在しますね」
「そうすると…車や電車はすでに存在している世界でしょうか」
「そうですね ガソリンを使ったものではなく
魔力を電気エネルギーへ変換する装置が開発されている世界ですね」
「なるほど…わかりました
紙や車などが存在しているならば…ラノベでよくある
異世界が中世ヨーロッパレベルの文明ばかりの世界でもなさそうで」
「そうですねぇ あのレベルの文明が多いですが
希に魔法と科学が発展する世界も存在してますので」
「その世界でOKです」
「わかりました 他には注文ありますか?」
「あると言えばありますけど…言っても大丈夫ですか?」
「えぇ…可能かどうかは聞いてみないとわかりませんが…」
「もし可能でしたら…空想…自分が思い描いた能力が発動出来る力が欲しいです
たとえば…時間経過無効のアイテムボックスや
指輪なり腕輪なりで身につけている状態で
人や魔物などのステータス表示等が出来る装置とか
スキル等も自分が考えたものが作れるとかそういう能力があればと」
「いわゆるチート能力が欲しいと言うことですね」
「ミアさん 地球を見ているからライトノベル等も色々読んでいるんですか?」
「あは 管理者と言ってもそんなに忙しい訳でもないですから
仕事が終わったら読書等をしてるだけです
チート能力に関しては特別にあげちゃいますね」
「ありがとうございます」
「それでは次の人生はよい人生を歩んでくださいね」
「はい ミアさんはもう会うことはないのでしょうか」
「うーん あなたのチート能力を使えば
わたしとも交信も可能ですよ? そういう能力でしょ 欲しい能力は」
「はい 思い描いた能力 次の人生で時々交信してもよろしいでしょうか?」
「どうぞ あまり他人にバレないようにしてくださいね わたしという存在を」
「はい」
ミアとの会話が終了すると
俺の意識は遠のいていくのだった
遠のく意識の中 管理者のミアは悠に語りかけながら転生させていく
「次の人生 あなたにとってよい人生になることを…
でも……の能力なら……」
普段は読み専門で全くの素人です
はじめて異世界ものを書いている次第です
慣れてないですし拙い文章になりますが温かい目で見て貰えると嬉しい限りです