291話 移動 お寿司組(陛下達)
未来視点です
わたくしと芽衣さん、ゆみおねえちゃんで…お爺様と、お婆様の元に戻ると
由美お姉ちゃんが最初に口を開きます
「あらためまして…月皇陛下、美穂子皇后様
椛沢由美と申します 今日は私も同席いたしますので
よろしくお願いします」
「「由美さん」」
「堅苦しいことは今日は一切不要じゃ
普段と同じようにしてよい 不敬罪とか考えずともよい」
お爺様とお婆様が由美お姉ちゃんの名前を呼び
お爺様が続けて語りかけました
そう言われて由美お姉ちゃんが少し表情を緩めます
「とは言うものも…日本人の立場で言うと
月皇陛下は天皇陛下と同列の立場におられる方なので
一般人としては雲の上にいる御方という印象が強くて」
「そうか…未来とはくだけているじゃろ?」
「はい」
「由美さん わたくしたちも今日は
孫娘についてきた祖父母という立場で大丈夫だから」
お婆様も由美お姉ちゃんに優しく言葉をかけました
「………そうですね 普通に話させて貰います」
「うむ」
「えぇ」
「さて、陛下と皇后様 お寿司は…はじめてでしょうか?」
「はじめてじゃ 幸正がマグロ丼などを美幸達に作って貰ったときに
食したのが生の魚のはじめてじゃったからな」
「わたくしもそうですね」
「ゆみおねえちゃん わたくしもそうですし芽衣さんもですよね?」
「はい」
「みなさん はじめてということなので
おいしい…お寿司屋さんの方が良さそうですね
わたしみたいに一般人は高くて食べに行けないような場所を選びますが
よろしいでしょうか?」
「一般人の場合はどういう場所を選ぶのじゃ?」
由美お姉ちゃんの説明を聞いて、お爺様が気になったようで聞き返しました
「わたしの場合は回転寿司に行くことが多いですね
回転寿司というのは…」
そこでウインドウを開いて回転寿司の内容を
わたくしたちに見せてきました
「寿司を注文すると移動してまわってくると言うのか
面白い仕組みじゃ」
「こんな仕組みのお店って…泥棒などは?」
「悪さをする人もいそう」
わたくしと芽衣さんが立て続けに呟いてしまってます
「はい 社会問題になったこともありますね
教育の低下 日本人のモラルの低下で
お寿司に悪さをするバカもいましたし」
「「「やはり…」」」
「ですので…回転寿司は候補から外します」
「心遣い感謝だが…実際に観てみたい気もするのじゃが…うぅ…む」
お爺様が残念そうに唸ってます
「あなた 由美さんを困らせたらダメです」
「そうじゃな…」
「それで…宮城県内のお寿司屋さんにしますか?
それとも…よその県に向かいますか?」
「この地下室がある場所が宮城県なのじゃな」
「はい」
「宮城でもおいしい場所があるなら…そこで頼む」
「かしこまりました」
お爺様の言葉を受けて由美お姉ちゃんはネット検索を始めました
「うーん 一人10000円以上のお店…この辺かな? 青葉区だね」
由美お姉ちゃんが検索しつつ独り言を呟いてます
「陛下 ここは如何でしょうか?」
「由美さんが選んだ場所だから反対はせぬ」
「みくちゃん めいちゃんもいい?」
「はい なんというか 写真を見ると…みたことのないきいろいの?が」
「それも気になるけど…エビだよね これ
生のエビは55階層で食べてるけれどこっちのエビはどうなのかな」
「それはウニというものです
濃厚な味になってます 好き嫌いが分かれるようですが
そしてエビはそうですね こんなに大きいのを
お寿司で食べるのは…わたしも未経験なので
楽しみかも」
由美お姉ちゃんが写真を見ながら声を弾ませていました
よっぽど高級なのでしょう
先ほど見せて貰った回転寿司の方とは比べものにならないほど
「場所も決まりましたので移動します
全員で手をつないでください」
「うむ」
「「「はい」」」
わたくしたち全員が手をつないだのを確認した後で
由美さんが瞬間移動を発動しました
飛んだ先を見て…高い建物がずらり
お爺様とお婆様は目を丸くしてました
「これがビルというものか」
「高いですね 倒れたりしないのでしょうか」
「高層ビルは地震対策も施されていますので
倒れるほどの地震が起きなければ大丈夫です」
「そ、そうなのね」
「我が国もいずれはこうなることを」
お爺様は日本の町並みを観て思うことがあったようでした