278話 今日の報告
未来視点です
毎日のように未来は夕飯時に報告等を行う担当になってますね
とても7歳の子とは思えないほど
しっかりしすぎています
いつも通りに夕ご飯の席に着くと
さくら達を見て合図を送る
わたくしの合図を受けると、さくら達はアイテムボックスから
餃子の大皿とナポリタンの大皿を机の上に置いていき
各自に小分けして配っていく
お爺様達は黙って配り終えるのを見ているようです
さくら達が配り終えて、お爺様達に一礼をしてから
壁際に下がるのを見て、わたくしは説明を始めます
「予定通りナポリタンをさくら、かえで、ぼたんが作りました
それと…餃子ですが…昨日の野菜餃子は日本のお店から買ったものですが
今日のはわたくしたちが作ったものになります」
「幸正や美穂も作ったのか?」
「はい いつもの面々にくわえて、相馬家と桜庭の職人も参加してます
指導を担当したのはひまりさんです
詳しくは動画をご覧下さい」
わたくしはウインドウを空中に展開させると
餃子作りをしている様子を録画して置いた動画を早送り再生させる
しばらく、お爺様達が黙って動画を見ています
お爺様が、見終わったあとでわたくしに問いかけてきました
「この…ひまりという少女も幸正に色々作り出させているな
サランラップ? ブレス機と包み機 そしてホットプレート…」
「はい そうですね サランラップは…
検索して見ると…うーん…ポリ塩化ビニリデン製と書かれてます
わたくしには詳しいことはよくわかりませんが」
「ふむ…雅仁 この辺は研究機関に」
「はい」
「ブレス機と包み機…原理的には単純なものにみえる」
「はい たいらにする道具と包み込むための道具ですので」
「でも、それをわざわざ幸正に作り出して貰うと言うのは
日本においては餃子作りの時に当たり前にある道具なんでしょうね」
お母様がそう呟きます
「そうじゃな そして…焼き作業で使われているホットプレート
これはフライパンとコンロを一体型にしたものじゃな?」
「そんな感じに見えますね 確かに」
お爺様とお母様がホットプレートの方に注目して語り合ってます
「ホットプレートは原理的にも至ってシンプルだと思いますし
どこかの会社からもすぐにでも作れるのではないでしょうか?」
「「確かに」」
わたくしがそう言うと…お爺様達は頷く
「今日は以上です」
「未来よ 報告ご苦労 さて、食すとしよう いただきます」
わたくしが報告を済ませると
お爺様が労いの言葉を、わたくしに投げかけてくれました
そのあとで手を合わせながら「いただきます」を口にしました
それに合わせて、わたくしたちも「いただきます」をし食べ始めます
「トマトという割には…酸っぱくないな むしろ甘い方じゃな」
「確かに酸っぱさは感じませんね」
「麺は固めですね うどんに比べると細いようですね」
「そばとも違うな 麺は」
お爺様 お婆様 お母様 お父様と順に感想を口にしてます
そこで壁際に待機していた、ぼたんが手をあげます
「陛下 よろしいでしょうか?」
「うむ 許可する」
「はい こちらにタバスコも用意しています
非情に辛いのでかけるのは多くても3滴までが
適量だと思いますが…お好みでご使用ください」
ぼたんがタバスコを机の上に置きながら進言すると
お爺様が机の上に置かれたタバスコの瓶を取り
蓋を開けて2滴ほどナポリタンの上にかけたあと口にする
「………っ うむ 確かに辛い…が
これはこれで…うまく感じる味じゃな」
「お父様 瓶を」
お父様がお爺様からタバスコの瓶を受け取ると
同じように数滴ほどナポリタンにかけたあとで食べ始める
「うむ 俺も辛い方がおいしく感じるが
カレーの辛さとは比較にならない辛さなので
女性陣には向いてないように思える」
「なるほど それほどまで辛いのですね」
「それでしたら…わたくしは遠慮します」
お婆様 お母様が、お父様の言葉を聞いて遠慮するみたいでした
「具材の方も玉ねぎ、ピーマン…これは…ソーセージか
ソーセージでよいのか? 肉じゃなさそうなのじゃが」
お爺様がソーセージを食べて首をかしげながら呟いていると
ぼたんが説明を始めます
「よろしいでしょうか?」
「うむ」
「そのソーセージは魚肉ソーセージというものです
肉ではなく魚を使っているものです
ナポリタンは日本では魚肉ソーセージを使うのが
一般的でしたので…それを使いました」
「なるほど 魚か 肉ではないが…これはこれでうまい」
「「えぇ…」」
「次は餃子も口にするとしよう」
お爺様が餃子を箸で持ち醤油をつけて食べ始めます
「昨日の野菜餃子とは違うのぅ」
「「そうですね」」
「肉が主役だからか…満足感があるな」
お爺様は野菜餃子と違うことを感じていて
お父様は満足みたいでした
「未来 ならびに…ぼたん、かえで、さくら
今日の夕ご飯は実にうまかった」
「「「「ありがとうございます」」」」
「さて、どうしたものか
来月の食の祭典に餃子などは難しいのか?」
お爺様がそう口にしてしまうと
お母様が困ったように答えます
「現状、唐揚げ とんかつ ハンバーグ 焼き鳥 プリン マグロ丼と
作っていますので…これ以上は難しいと思います」
「そうか そうじゃな 残念だが…」
それを聞いて、わたくしは一つ提案することにしました
「ひまりさんの両親や桜庭、相馬食堂が
開催期間中に会場に屋台を開いて数量限定でなら
可能だと思います
それと…おそらくですが…餃子に関しては
相馬食堂と桜庭料亭でも…お品書きとして
追加されると思いますので問題はありません」
「「なるほど」」
「ゆかりよ 会場に…彼らの店を頼むぞ」
「はい かしこまりました」
こうして今日の夕ご飯時の報告が終わり
わたくしは部屋に戻るのでした
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