272話 プレス機と包み機
桜庭料亭の料理人 太一視点です
寝かせ終えた生地を取り出すと
ひまりさんが等間隔に分割していくのを見ながら
お嬢様と一緒に同じように作業をしながら
いろんなことを考えてしまっていた
「お嬢様 ひまりさんの手際もいいですね」
「はい そうですね はじめて見ますが…料理慣れしているようにみえますね」
「教え方もわかりやすいです」
「しかも…幸正くんに、その時々で道具などを作って貰うと言うのも
頭の回転がすごいですよね」
「えぇ…さっき作って貰ったブレス機などは特にそうですね」
「餃子の皮を作ったり包んだりするときに便利だからと言う理由で
作って貰うと言うのも…わたしたちよりも魔法の使い方を
理解している感じに見えるね」
「確かに…幸正くんもそうですが…皆さんすごいと思います」
お嬢様と会話をしながら作業を進めていき
生地は切り分けが終わったようだった
ひまりさんも俺らの作業を確認していき
あらかた終わったのを見てからブレス機を手にする
「切り分けた生地を…このブレス機で薄く円盤になるようにのばします」
ひまりさんが説明をしながら実演してます
それをウインドウで確認しつつ自分も作業を進めていく
なんというか…このブレス機というものも
構造的には至って単純な作りみたいですが
これを使わないで伸ばす場合は手のひらで押し広げたり
硬い棒で伸ばすというのは予想出来るわけだから
こういう機材は便利だなと感じてしまう
「お嬢様 こういう機材は便利ですね」
「そうですね 日本はいろいろなものがあるからなのでしょうか?
料理をするときでもいろんな道具を使ってますよね」
「はい この地下室の設備にしてもそうですね
これが急造したなんて信じられません」
俺がそう言うと…お嬢様が苦笑いをしながら
幸正くんを見つめて…ぽつりと呟いてました
「彼は…ほんとにとんでもないですね」
「はい…」
生地を平らに引き延ばし作業をして餃子の皮を
40枚ほど作り終えると次の工程に移るようです
「こちらの包み機…と言っていいのか?
ちょっとわからないけど…これを使って
餃子の中身の具を包んでいきます
こんな風に皮を台に置きます
皮の上に具を置いて…二つの台のがある真ん中に
レバーがあるので…このレバーを押すと
台が折り畳まれます
それによって皮も折り畳まれて
具が包み込まれていくと言う仕組みです」
ひまりさんが実演しながら説明をしているのを見つつ
自分たちも同じように作業をして行く
「これまた…便利なものですよね」
「そうですね 皮をおいて具を乗せた後にレバーを押していくだけで
包んでくれるんですもの すごいですね」
「はい 手作業で作るとしたら…慣れないと大変そうです」
「えぇ…」
俺は周りを見てみると…さちこさんも簡単にしているみたいですし
幸正くんの父親の正太さん達も作業に加わっているし
普段、料理が苦手な人たちも気楽に作れるのは良いなと感じた
「皆さん楽しそうですね」
「ですね 太一さんはどうしますか?
餃子も…うちの店で扱うことは?」
お嬢様が真剣な表情で俺に問いかけてきたので
俺もきちんと答えることにした
「作り方も意外と簡単でしたので調理場の料理人達には
教えることは出来ると思います
出来ることなら…これらの機材をもう少し貰えるなら
お品書きにも追加出来るかと」
「なるほど ブレス機と包み機…確かにそうですね
あとで…幸正くんに聞いてみることにします」
「はい」
こうして包み作業を進めていき一人40個
お嬢様とあわせると80個ほど
作り終えると…ひまりさんが次の工程に移るみたいです
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