259話 あらためて感想を
母親達が買いものに行ってる間
俺は改めて健二とかおりに試食した感想をきいてみることにした
「大森さんと吉田さん ちょっといいですか?」
「「あ はい」」
不意に話しかけられてふたりとも俺を向いて
緊張してしまっている
「うどんとそば…とは違う麺を試食して貰ったのですが
どうでしたか?」
「そうですね まず、焼きうどんは…うちでも作れると思いました
その上で…うーん 醤油だけじゃなく…塩味もいいなと感じました
また、ナポリタンやラーメンは食べたことなかった麺でしたけど
どれもこれもおいしかったし…麺の作り方が気になりました」
「わたしも健二と同じでナポリタンやラーメンの麺の作り方を
知りたいと思いました
さすがに…うどん屋、そば屋という家業を
いきなり方向転換は難しいけれど
将来どうするかはわからないけれど
作り方は覚えたいと考えてます」
ふたりとも思うところはあったように
感想を俺に述べてくれた
「ナポリタンの麺とラーメンの麺を作りたい…
という意見 わかりました
作り方は調べることは出来ます」
「「そうなのです?」」
「ふたりとも指輪をはめているなら
ネットを検索してみるとわかると思います
ただ、ナポリタンの麺…パスタという名前だけど
使われている小麦粉がデュラムセモリナ粉という
種類の小麦粉です」
「デュラムセモリナ粉…」
「それって…月宮にはない種類でしょうか」
かおりが聞いてくる
「そこまではわかりません
向こうの世界のヨーロッパ方面に行けば
栽培しているような気がしますが
それは…おいておいて…代用するならば
強力粉を使うというのと
強力粉と薄力粉を1対1の割合で
配合したものを使うものがあります
デュラムセモリナ粉と比べて
捏ね方などを工夫が必要と言われてます」
「「なるほど」」
「それからラーメンの方の中華麺ですが
かん水…アルカリ性の水らしいけれど
それを必要とします」
「かん水?」
「それもこちらではあるのです?」
「アルカリ性にする方法さえ確立されれば出来ると思います
また…重曹を焼いて…それを水に溶かすというのも
一般家庭で作れるものと言われてます
詳しくは指輪をフル活用してください」
「あ…はい いただいた指輪なのに
活用してなかった」
「わたしも…」
「あと…お母さんに頼んだのは?」
俺は母親にどれを頼んだのか聞いてみることにした
「「醤油です」」
「あっさり系がふたりとも好きなのですね」
「悩みました 味噌もおいしかったですし」
「わたしも塩も気になりましたけど
両親に食べて貰うなら無難にあっさり系に」
「色々参考にしてください 両親と議論して」
「「はい」」
「ぼくは…あやこさん達の方にも用がありますので
この辺で」
「「はい 今日はありがとうございました」」
健二とかおりと会話を切り上げると
夢子とあやこのところに行く
「いい?」
「うん? 今 大森さんと吉田さんと話してたよね」
あやこが振り向いて聞いてくる
「うん 試食の感想を聞いてた」
「なるほどね」
「幸正くん おばさんにパスタ貰っちゃうけど
なんか悪い気がして」
夢子はパスタのこと気にしているみたいだった
「大丈夫だから 日本円も確保しているから」
「ありがとう…」
「それで…ふたりはどうだった?」
ふたりはお互いをみたあと
あやこが夢子に譲る
「夢子先輩から…どうぞ」
「えっと…そうですね どれも新鮮でした
うどん パスタ ラーメン 焼きそば
同じ小麦粉なのに…こうも食感が違う麺になるのは
興味深いです」
「作り方も使われてる小麦粉の種類も違うみたいですから」
「なるほど…それでパスタを選んだかたちだけど
ラーメンもおいしいと思うし…
日本にはいろいろな種類あるみたいですよね
ピザ屋さんのサイト 深愛様から見せて貰ったけれど
量も豊富で…すごいなぁって
さすがに全部食べたいというのは無理なので
一つ選びました」
「どれを選んだのです?」
「ペスカトーレ?というものを…
説明を読むと…エビとかイカとかのっているものみたいだったので
今後のことも考えて…」
「今後のことというのは…えびとか料理にどう使うかと言うこと?」
「そうですね 幸正くんはわたしたちにそれをして貰いたいんでしょ」
「うん そう」
「今日は地下室だけだけど
わたしも日本を見て回りたいというのはあるかも」
「わかりました 考えておきます あやこさんもだよね?」
「うん わたしも見て回りたいかも…
夢子先輩 終わりかな?」
「うん 言いたいことは言ったかな あやこさんの番ね」
「はい わたしもどれもおいしかったです
1番印象に残っちゃったのが最後に食べた塩焼きそばでした
あ…深愛様から貰ったのだけど作り方聞いてなくて
幸正くん 教えてくれない?」
「ちょっと待ってね」
「うん」
俺はミアさんと父親を呼ぶ