248話 ゆめざくら
夢子視点です
幸正くんが、わたしの武器を作ろうとして
名前をどうしようか迷ったみたいで
わたしは…脳裏に浮かんだ単語を幸正くんに呟くように言いました
「ゆめざくら…」
「ひらがながいいですか? 漢字がいいですか?」
「うーん ひらがなで…」
漢字もよさそうだったと…一瞬思いましたが
ひらがなの方を選択することにしました
「わかりました 使わないときは…どうします?
髪留め ペンダント 腕輪 どの形態がいいです?」
「そうですね 髪留めで…」
わたしが答えると幸正くんが念じながら武器をイメージして行くみたいでした
待っていると作り終わったようで
何もない空間から鞘に納められている刀をとりだして
わたしに渡してきます
手渡された刀を見ていると
幸正くんが武器のステータスを表示してと言ってきましたので
ステータスを表示させてみると
ゆめざくら 攻撃力9500 魔法剣 剣術・剣技増強
チート攻撃無効 即死無効 自属性効果アップ
除菌 除毒 浄化
ゆめざくらの鞘 範囲防御結界
「攻撃力がとんでもないのですが?」
「それは気にしなくていいから あはは」
笑ってごまかしてくる幸正くんに
ちょっと呆れてしまいますが、気にしないことにして
じっくりとステータスを確認します
「浄化、除菌、除毒を組み込んでいるから使えるようになっているはずですし
使っているうちに聖魔法も習得すると思います」
「あ ありがとうございます
鞘の方は…結界?」
「広範囲に味方をガードする結界です
基本的に…家にいるときに家族等を守る手段にしてください」
「えっと…反月宮は壊滅していますし
わたしの家が襲われる確率ってあるのでしょうか?」
わたしは首をかしげながら聞き返してしまうと
幸正くんはわたしに答えます
「反月宮ではなく普通に強盗やらなにやら
やってくる可能性もありますから
あやこさんもそうですが接客業をしているわけなら
防衛処置は必要です」
「な、なるほど」
この子 わたしより小さいのに…そんなことまで
頭に入れているなんて…すごい
「武器も出来たことだし…
55階層と56階層どっちがいいです?」
幸正くんがわたしに問いかけてきました
「今からですか?」
「えっと…時間は…まだ4時半前だし
みほちゃんたち 10分あれば十分よね?」
幸正くんが時間を確認しつつ
みほさん達に確認をとるとみほさん達も
頷きながら了承してきました
「と言うことなので…
あ 更衣室 はい
また みほちゃんに叩かれるところだった」
そう言って…わたしに更衣室?
長方形の狭い部屋を渡してきました
幸正くんが言い終わるところで美穂さんが叩いています
「ど、どうしてたたくの?
更衣室 ちゃんとわたしたよ 今回は」
「わたしの名前出したから どうして叩かれるとか言うの?」
「たたいてるでしょ…」
「ゆきくんがわるい」
「そ、そんな…」
「二人とも…それくらいにしてダンジョンに向かいましょ」
「おねえちゃん」
「みくちゃん…わかった
で、夢子さんは大人に変身しなくてもよさそうだろうから
バトルジャケットだけ着替えて」
「着替えって…服は?」
わたしは戸惑いながら聞いてしまうと
美穂さんが答えてくれました
「イメージをして念じたら着替えること出来ます
そのとき 裸になっちゃうから…
そのときのための更衣室なの ゆきくんに裸みられたくないでしょ?」
「えっ? あ うん 裸 うん…」
美穂さんの言葉に思考が追いつかずに
裸になっちゃうことを考えたりして恥ずかしくなり
まともな返事が出来ませんでした
「それでイメージは…どういうのがいいの?」
「そこは夢子さんが着たい服装でいいので」
「そうなのですね あやこさんやさちこさんを参考にします」
わたしはふたりが身につけている鎧を参考に
イメージすることにしました
その前に更衣室の中に入らなきゃ…と入ります
鎧の色は…やはり桜をイメージすることにしました
薄めの桃色に…イメージを固めていき着替えるように念じます
すると着ていた着物が消えてイメージ通りの服装に着替えることが出来ました
下着も身についてる感覚があります
胸の辺りも…なにか締め付けられてるみたいです
着替えが終わり更衣室から出て
わたしはさちこさんとひまりさんをちょっと呼びました
小さい声で
「あの…胸の辺りが?」
「あ…ブラジャーも自動的についちゃうから
はじめてだと違和感あるね」
さちこさんがそう答えます
「ブラジャーですか…そういえば
紺菱呉服店が発売するとか…聞いた覚えが」
「夢子さんはまだ膨らみ掛けの段階だから
そんなに締め付けがきつくないとは思うよ?」
「言われてみれば…」
「違和感あるなら外しましょうか?」
さちこさんが提案してきましたが
わたしは慣れることを優先することにして
「慣れるのを優先にします」
「「はい」」
さちこさんたちと話が終わると
幸正くん達の元に行き
「お待たせしました」
「はい どちらかいいです? 海か空」
幸正くんがそう聞いてきました
海が55階層 空が56階層だと思うので
海を選ぶことにします
「海…55階層にします」
「わかりました 手をつないでください」
幸正くんがそう言うのでわたしは手をつなぐと
幸正くん達が一斉に55階層へ瞬間移動しました
目の前が一瞬暗くなり景色が変わると
辺りに海が広がってました
「わぁ…」
わたし自身、まだ10階層にも到達してない状態で
5階層は…こんな広い海ではなくて
川や沼と言った場所だったから
こんなに広い海をみて驚いてます
驚いているわたしをよそに美穂さん達は空を飛びながら
狩りはじめていました
数秒後には頭の中にファンファーレが
連続して鳴り響いてきて頭が痛くなってしまいました
ステータスを確認してみると
18だったレベルもあれよあれよと
40代を超えていてステータスもおかしいことになっていて
これが…美穂さん達の強さなの
納得してしまってしまいます
数分も経ってない中で美穂さん達が戻ってくると
「だいぶ、レベル上がったはずだと思いますので
夢子さんに倒して貰います」
未来様がわたしに言ってきました
「はい…えっと…普通に飛べるのです?」
わたしが首をかしげて問いかけると
幸正くんが
「飛べます 背中に翼を生やすイメージを」
「はい…」
目の前にいる美穂さん達の翼を見ながらイメージをして
背中に翼を生やしていき飛ぶようにイメージをしてみたところ
浮かんでくれました
「浮かびました 浮かびました」
「確か 夢子さんは土魔法でしたよね」
はしゃいでしまっているわたしに
冷静に問いかけてくる幸正くん
「はい」
「それじゃ、こういうのはどうでしょうか?」
幸正くんに言われたとおり
ギガントロブスターがいる海域に行き
海面に向かって…ゆめざくらで斬撃を繰り出して
衝撃波で海面を割った後
海の中にいたギガントロブスターを
土魔法を使い反重力で浮かべさせた後で
芽衣さんが弱点看破スキルを発動してくれていたので
その弱点に向けてニードルビットを
コントロールして攻撃をして魔石を引き剥がして
仕留めます
「ふぅ…ニードルビットをコントロールするのが大変です」
「慣れないと難しいものだからね」
わたしの呟きにひまりさんが反応しました
「仕留めた後は…浄化、除菌、除毒忘れずに…ね」
美穂さんがすかさず言ってきます
「あ はい 忘れてました 浄化、除菌、除毒…発動」
ギガントロブスターに
浄化、除菌、除毒を施した後
自分のアイテムボックスへ回収します
「「「「「「「お疲れ様」」」」」」」
「ありがとうございます」
「家に戻りましょうか?」
幸正くんがそう言うとみんな頷いて
幸正君の家に戻ることになりました
ビット操作は慣れが必要です
それに浄化、除菌、除毒も海の魔物相手だと
心がけるようにしないとです
まだまだですね わたし
あやこさんのつよさをみて羨ましくて
幸正くんに頼んだことですが
この力を自分のものにするまで慣れが必要で
頑張らなきゃと思ってしまいます
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