247話 わたしも…その力欲しい
前半が夢子視点、後半から幸正視点です
わたしが好奇心で…あやこさんの強さを知りたいと
言ったばかりに後悔してしまうことになりました
目の前に繰り広げられている模擬戦
目で追うのが難しいほどの速度で
未来様 美穂さん 芽衣さん
そして向こうの世界のさちこさんにくわえて
あやこさんも4人と遜色ない動きをしていることに
驚愕を覚えてしまい…つい口に出してしまいました
「………なんなのです? これは」
幸正くんはわたしの方をみると口にします
「見ての通りです あやこさんの強さは
レベル30制限で…あれくらいです」
レベル30制限?
今の彼女たちは一体どれくらいのレベルなのです?
わたしも授業でダンジョンに行けることがあり
最近は経験値倍増付与ゲートというのが
入口に設置されたようでして
レベルは20近くにはなっていますが
レベル以上に…彼女たちの強さって
「未来様達はわかりますけど…こんなに強くなるのですか
羨ましく感じてしまいます」
羨ましい ほんと そう感じてしまいました
つい 口にしてしまったことには
わたしって…嫌な子だなと感じてしまいます
「レベル上げ時に成長倍増スキルの10倍というものを
付与しているからステータスがおかしくなるのです」
成長倍増スキル? それの10倍?
…レベルアップすると色々上がるのです?
そういえば…細かいステータスみたことなかった
「はぁ…わたし…ここまでだとは思わなかったから」
普通にレベル上げしたときより
上がる能力が10倍だとしたら…
わたしのレベル20近くは彼女たちの場合の
レベル2くらいになるの?
なんというか…わからなくなってくる
「どうします? 55階層や56階層に行けた方が
唐揚げ用の肉やエビを確保しやすいと思うのだけど」
わたしがそんなことを考えていると
幸正くんが提案してきた
確かに唐揚げ用の雷鳥やコカトリス
えびやマグロをとりにいける力があるなら
お店の役に立てると思うし
そういう力はほしくなる
わたしは数分…黙り込んで考えてしまっていた
幸正くんもひまりさんも
そんなわたしに何も言わずにただ黙って待ってくれていた
…
……
………
数分後、わたしは幸正くんの顔を見る
「わたしも…その力欲しい」
───幸正視点
夢子が数分間考え込んだあと
俺を見て…そう呟いた
いつも通りのニードルビットとビットホルダーは
すぐ出来たので…それを先に渡す
「えっと…これは?」
夢子が首をかしげつつ受け取ったのを見て
ひまりが模擬戦の方を指を差しながら
「みんなのまわりに飛んでるでしょ?」
「えっと…目で追えなくて…わからないの」
夢子が申し訳なさそうにいうと
逆にひまりが申し訳なさそうに謝る
「ごめんなさい ちょっと待ってね」
謝ったひまりは立ち上がり
自分のニードルビットを太ももから取り出して
空中に浮かべる
「こんな感じ コントロールは自分の思考で動かしているから
慣れるまでは大変だと思う」
「これを動かしながら…あの動き?」
「うん」
「………思ったよりすごい」
「ちなみに…わたしは炎と雷が適正だったの」
「雷も?」
「うん レベル20で覚醒したみたい」
「そうなのね それで…ひまりさんの武器はそれだけ?」
「ううん」
ひまりは念じると髪飾りが光って手元に移動しつつ
大型ライフルへ変化していく
「わたしの武器はこれ
遠距離砲撃型ライフル」
「こんな武器が………」
「うん 驚くのは仕方ないよ 無茶苦茶だもん」
ひまりが俺を見て言う
「とりあえず、夢子さんの今のステータスは?」
俺は武器を作ろうにも夢子のステータスみないと
前衛か後衛かわからないから聞いてみた
「あ うん どうすればいいの?」
「ステータス表示とか念じてくれればいいから」
「わかった ステータス表示」
桜庭夢子 女 12歳
レベル 18
HP 227/227 MP 132/132
力 78
体力 62
素早さ 75
器用さ 54
知力 54
精神 54
運 12
土魔法 料理
夢子が表示してくれたステータスをひまりと一緒にみる
「力と素早さが高くて…それでいて知力もあるのね」
ひまりがステータス見ながら言うと
夢子は自分のステータスみて難しい顔になる
「ステータスがこんな細かくみるのも新鮮だけど
わたしって…どうなの?」
「前衛寄りで魔法もそこそこってところかな?
覚えている魔法が土属性みたいだけど
武器に聖属性組み込むことにするから…必要でしょ?」
俺がそう答えると夢子が頭に??を浮かべながら
俺を見てくる
「聖属性? どういうこと?」
「海の魔物 エビ型とか蟹型とかイカ型とか魚型
あの辺とるわけだから…浄化、除菌、除毒などの
聖魔法が使えないと一人で獲っても
浄化、除菌、除毒を使える人に頼まなきゃダメじゃない?」
「あ…生で食べるため?」
「うん そう」
「なるほど そっか…」
「それで…武器どうする?」
「うーん 武器…いつもは小刀使ってました」
「刀がいいの?」
「うーん ステータス見て…どうなの?」
「力と素早さだから…一刀流でも二刀流でも可能じゃないかなぁ」
「そうなのね じゃあ…一本だけで」
「わかった…」
俺は模擬戦の方を向いて叫ぶ
「あやこさーん さちこおねえちゃーん ちょっと来てーーーーーーーーーー」
俺の声に反応して模擬戦を中断して5人ともやってくる
「ゆきくん どうして あやこさんとさちこおねえちゃんだけなの?」
案の定、美穂が俺にそう言って頬を膨らませてくる
「ふたりが剣と刀を使っているから
あ めいちゃんは二刀流だから今回は一刀流の方なの」
「わたしは特に気にしてないから…そこで
わたしの名前を出さなくても大丈夫だよ」
芽衣は優しく俺に言う
「めいちゃん…」
俺が芽衣を見ながら呟くと美穂が俺の頭を叩いてくる
「うぅ…また叩く」
「ふん」
「美穂さんもいつも言ってますが叩いてばかりいると
ほんとにゆきくんがめいさんにとられちゃいますよ?」
「それはやだ」
「み、未来様」
美穂がやだといい
芽衣は未来の方を見ておどおどする
「そ、それで…みんなの武器 せっかくだからみせてあげて」
俺は話を戻そうと…みんなに言うと
それぞれ武器を出していく
「未来様と美穂さんは杖なんですね」
「うん ほとんど杖で使ってなくてビットモードだけどね」
夢子の言葉に美穂が答えると未来もうなずき
ビットを自分の周りに浮かべる
「芽衣さんもビット?」
「はい メイン武器はビットでサブに双剣です」
「双剣がサブだったんですか メインだと思ってました」
「この双剣はダンジョンから出たものです」
「ダンジョンで?」
「はい シャドーウルフが宝箱出してくれました」
「そうなのですね 宝箱って…出やすいのです?」
「ううん 滅多に出ないです
ただ、レアモンスターの時は出やすいかも」
芽衣がそう答えると興味を持ったように
前のめりになる夢子
「レアモンスター? なんなのです?」
「あ 英語で言っちゃった ごめんなさい
希少な魔物 滅多にみることがない魔物です
56階層の七色鶏とか…」
「七色鶏? 七色の鳥?」
「そんな感じです 大きかったよ
みほさん 未来様 幸正くん それぞれ
そのとき、宝箱から出た武器持ってるから」
芽衣にそう言われると俺たちは
夢子に各種武器を見せる
「ダンジョンで…こう言うものも手に入るなんて…」
「七色鶏がいる56階層は普通の冒険者では無理です」
俺は56階層の説明をする
「そ、そんな滅茶苦茶な場所なの?
石化してくるコカトリスが大量にいたり
雷や炎………普通の冒険者では無理というのも
納得出来そう」
次にさちことあやこが自分たちの武器を見せる
「「夢子さん これ」」
「さちこさん あやこさん ありがとうございます
あやこさんのは刀…でも…刀身は細いのね」
「はい さちこおねえちゃんのレイピアだと
なんか違うなって思いましたので…刀にして貰いました」
「そちらがレイピアなのですね」
「日本刀 月宮刀とは異なる形状なのはおわかりですよね?」
さちこはSAKURAを夢子に見せながら言う
「はい こういう形状の剣も存在するんですね」
「それで…夢子さん どうします?
SUIKAを元にしますか?」
俺は夢子にあやこのSUIKAを指しながら
問いかける
「そうですね 色はさちこさんのような桜色で
刀身はもう少し太めに…お願いします」
「わかりました さくらかぁ…名前どうしよう」
俺がつぶやきながら悩んでいると
夢子が俺に呟くように言ってきた
お陰様で累計PVも5万PV超えました
見ていただいて貰えるのは嬉しいですしモチベーション維持にもなります
ありがとうございます
感想等もお待ちしてます