230話 地下室作り
前半が幸正視点、後半がひまり視点です
───幸正視点
向こうの世界 桜木家の裏庭に
やってきた俺たちをミアさんが待っていて
「工場の動画は撮っておきました
ただ、全自動化は難しいようですね
ハンバーグもプリンも部分部分で手作業が必要です」
「ミアさん ありがとうございます」
俺は動画を確認しながら
裏庭に地下室を6階層ほど作り各階層へいく
エレベーターをプレハブの中から繋がるように設定し
各階層毎に共通アイテムボックスを設定
このアイテムボックスと各個人へのアクセス権は限定する
階層ごとに料理に特化した機材を設置していき
すべて魔力電源に設定する
通気口や換気口、空調設備やトイレなども設定
共通アイテムボックス内には
パックやプリン用のカップ
牛丼用の鍋などを大量に作って入れておく
食品工場などで工場員が着る衛生用服、手袋
アルコール消毒液なども各階層にセットする
思いつく限りの設定をし終えると
俺はみんなに地下室を見て貰うことにする
「だいたいは大丈夫だね」
葵さんがそう答える
由美はなにかに気づいたようで
「火災などの時の消火対策は?」
「あ…うん」
由美に言われたので各階層に対策を施す
「あとは…向こうの世界のゲートも」
「7階層に設定してそこから各階層へ移動出来るようにする方がいい?」
「そうね 各階層に作るより…その方がよさそう」
由美が言う
俺は7階層を作って…
俺の家、月宮の裏庭をまずゲートを作る
そのあと…ひまりに声をかける
「ひまりさんの家で目立たないところにゲート作りたいから
お父さん迎えに行くついでにゲート作り」
「はい」
俺とひまりは佐々木家の玄関に移動する
ひまりが扉を開けて「ただいま」というと
中から拓郎さんがやってきて
「おかえり それと…坊主 お待ちしておりました」
「遅くなりました それで…この家のどこかに
桜木家の裏庭の地下室へ繋ぐゲートを作りたいのですが
どこがよろしいでしょうか?」
俺は拓郎さんに尋ねると
少し考え込んだ後、奥の物置部屋に案内されて
「ここなら…誰も来ないと思いますから」
「はい それでは繋げます」
ゲートを繋げた後、そのままゲートを通って
地下7階層へ移動すると
美穂達も集まっていて色々チェックし終えた様子だった
戻ってきた俺を見て美穂達が気になった点を再び話してくる
「各階層にある機械などの操作説明とか
料理の工程説明も表示した方がいいんじゃない?」
美穂が俺にそう言ってきたので
「うん そうだね バイトとか雇うにしても
まったく知らない人たちだろうから
その辺の説明も表示しておいた方がいいね」
俺は各階層にいきながら壁にスクリーンを設置して
階層ごとに説明を表示させるように作業をして行く
───ひまり視点
幸正くんと一緒に家から7階層へやってきて
幸正くんが各階層へみほちゃんたちから
指摘されたことの手直しを進めている中
わたしは、お父さんに話しかけていた
「お父さん ちょっといいかな?」
「うん? ひまり お前 幸正くんと一緒に来たから
驚いたのだが…」
「学校で…由美ちゃんに声をかけて
わたしも向こうの世界に行ってみたんだけど」
「そうだったのか…」
「それで…驚かないで聞いてくれる?」
「これ以上 驚くことあるのか?」
お父さんが周りを見ながら…そう言う
「わたしも…あちら側に加わることにした」
「えっ? どういう意味?」
わたしはお父さんに右手を見せる
「指輪?」
「うん 便利機能満載の指輪」
「………」
「アイテムボックスも使えるようになってるから
さっきダンジョンでゴールドゴーレム倒してきて
その…」
「金の塊 もしかして?」
「うん そう アイテムボックスに1体分の金の塊があるから
お店の資金とか学費とか足りなくなったら」
「ひまり…ありがとうな
娘にこんな心配されるなんて…親として
情けないけれど…昨日 彼から貰った分だけでも
かなりの金額だから
間に合うと思うが…足りなくなったら」
「うん 多分 これからも沢山狩るだろうから
たまりすぎていくとは思うけど
必要になったらいってね」
「そのときは…頼らせて貰うよ」
「うん」
わたしがお父さんと会話をしているうちに
幸正くんは作業を終えたようで
さちこちゃんのお兄さんと会談を始めるようだった
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