228話 模擬戦
冒頭 さちこ視点 そのあと幸正視点です
───さちこ視点
おねえちゃんとの剣道
ずいぶん久しぶり…中学から剣道から離れたわけだから
4年以上になるのかな
高校では部活もしないで帰宅部を選んでいたり
こんな状況のわたしを見ていて
おねえちゃんどう思っていたのだろう
わたしは下段に竹刀を構えて
相手の出方をうかがう
おねえちゃんは中段に構えてる
剣道自体はしばらくしてないけれど
わたしだって…みんなと模擬戦しているし
あんな高速に飛び回っているビットにも
対応も出来ている
大丈夫 大丈夫 大丈夫…
わたしは…余計なことを考えるのをやめて
おねえちゃんの動きだけに集中することにした
お互いに向き合い…しばらく経過する
──幸正視点
「どちらも動かないね」
隣で見ていた美穂が呟く
「ぼくも剣道のことは知らないけど
どちらも殺気は放っているようだよね」
「うん 実際に殺そうとはしないだろうけど」
俺と美穂が二人を見ながら会話していると
あやこが小さく呟いた
「動く」
あやこの呟きに反応するかのように
葵さんが先に動いたようだ
右足を前に踏み込みながら
さちこの胴へ竹刀を繰り出そうとしていた
これが真剣なら刀でガードするとは思うが
さちこは葵さんの繰り出す竹刀を竹刀で受けて
くるりと相手の竹刀を弾こうとする
葵さんも弾かれた竹刀にあわせて
回転しながら逆方向へ身体を移動していた
さちこはそれを読んでいたかのように
動きに合わせて篭手を狙っていく
「さちこ 読んでましたね?」
「動きもみえていたから
やっぱり、動体視力等 上がっている感じがする」
「なるほどです」
葵さんは後ろに下がると竹刀を下ろした
「おねえちゃん どういうこと?」
「あなたの今の実力も測ること出来ましたし
別に勝ち負けを決めることではないでしょ?」
「それはそうだけど」
「わたしの動きがちゃんとみえているということは
わたしより高速に動いているものと模擬戦しているわけでしょ」
「剣道というか…魔法もありでの模擬戦だったりするけど」
さちこの言葉を聞いて
葵さんは俺たちの方に歩み寄ってきて
「本気の模擬戦 見学してもよろしいでしょうか?」
「構いませんけど…ひまりさんもみる?」
「わたし? えっと…興味あります 出来たら強くなりたいです」
ひまりの予想外の言葉に由美とさちこが
「ひまりちゃんもこっち側に来たいって?」
「かなり化け物になるけど…それでもいいの?」
こんなことを言う
「ばけもの…そんなにですか」
「さちこちゃん とりあえず、見せよう」
「うん あやこちゃんたちもいい?」
「「「「うん」」」」
俺は見学することにして
6人がそれぞれ変身をすませてスタンバイする
横で葵さんが俺に聞いてくる
「変身ありなんだね
ゆみちゃんのはチアガール…あーいうの好きなのかな?」
含み笑いをしながら言ってくる
「えっと…すき」
「素直でよろしい うん 妹のは漫画のものかなぁ
わたしは漫画とか詳しくないから
元ネタはわからないけれど」
「うん」
ひまりの方も美穂達の衣装を見て
瞳を輝かせさていた
「みんな かわいい」
俺たちが気楽に会話していると
美穂が俺に向かって叫んでくる
「ゆきくーん レベル制限おねがい」
美穂の言葉に俺はレベル30制限にして
「レベル30制限にしておいた」
「「「「「「わかった」」」」」」
6人がビットを飛ばして模擬戦が始まる
「これ 1対1じゃないのね」
「うん バトルロイヤル形式でしているから」
「理由としては?」
「1対1だと…不測の事態に対応する能力が
養わないし…ダンジョンでも魔物が弱すぎて
ぼくたちの練習にならないから…こういう形式に」
「実力が拮抗している状況の方が
鍛錬になるということですね」
「うん」
葵さんとひまりは模擬戦の方に集中すると
二人とも驚愕の表情を浮かべてしまう
「目で追うのも出来ないほどの速さ」
「ゆみちゃんたち こんな速度でしているの?」
「しかも…小さいビット? 飛び回っているようだけど
それぞれがあれをコントロールしていて
相手の死角から魔法を撃っている」
「それでも…みんなよけていますよね」
「えぇ…妹がわたしの動きをみえていたというのは
こんな速度で模擬戦しているからだったのね
はぁ…これじゃ…常人レベルの速度なんて
遅く感じるようなものでしょ」
二人ともお互いに感想を語りながら
模擬戦を観戦して…10分ぐらい経過すると
6人とも汗びっしょりとなって模擬戦を終了するのだった
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