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221話 バイトの後

由美視点です

レジでバイトをしながら入口をみると

外に設置してあるベンチにずっと座っている

おじさんが気になってしまう


(4時から5時間近く あそこで座ってるようだけど

 なにかあったのかな あの人)


バイトの勤務時間も終わり

帰り支度をして裏口から外に出て

表のベンチに近づいていくと

おじさんがわたしをちらっと見るだけで

すぐに、ぼーっと遠くを眺めてしまうのでした


「あの…寒くないですか?」


気になって声をかけてみると

覇気のない声で「あぁ…」だけ返ってくる

わたしは店の中に一度行き

ホットコーヒーを購入して再び

おじさんの前にやってくてコーヒーを手渡す


「よかったら…どうぞ」


おじさんは手渡されたコーヒーの紙コップと

わたしの顔を相互にみながら

どうしたらいいのか迷っている様子だった


「よかったら…話お聞きしても?」

「いまどき 若いのに…店員さんのような子もいるのには

 びっくりしてしまうんだが」

「確かに…そうですね 他人に首突っ込むような

 若い子も少なくなってますからね」


わたしも余裕がなくてすべて無関心だったからなぁ

半年以上…ううん お父さん達が生きていたときも

他人のことには興味はなかったのに

わたしも…かわっちゃったな

そんなことを考えていると…おじさんがぽつりと言う


「店員さん…わし…

 居酒屋を開きたくて会社を辞めた退職金を

 資金にしてお店を開こうとしていたんだが

 相談して貰っていた相手に騙されて

 資金を持ち逃げされてしまって」


そこまで言うと悔しそうに

うつむきながら震えている

わたしは…念話を使って幸正くんに連絡をする


「バイト終わったところですが

 店の外で気になる人いて…話を聞いていて

 詐欺に遭った人みたいで…」

「詐欺…ぼく そっちに向かいます」

「えっ?」


幸正くん…なにやらかすつもり?


「そうですか…借金は?」

「店を購入まではしてないから借金はないですが

 会社辞めて…家族になんて言ったらいいのか」

「難しいですね」

「はい…」


おじさんと会話をしていると

幸正くんがやってきて


「おねえちゃん 来たよ」

「うん なにやらかすの?」


わたしは心配そうに幸正くんを見つめる


「おじさん ちょっといいです?」

「ん? こんな夜に…こんな子どもが?」

「あ ぼくは大丈夫だから…その辺の心配はしないでいいです

 それよりも…おじさんを騙した詐欺師のゴミを

 思い浮かべてください」

「えっ? あ…あいつの顔を殴りたくなる」

「ありがとうございます 把握しましたので

 ちょっと そのゴミを痛めつけてきますね

 ついでにだまし取った資金も取り返してきます」

「えっ? どういうこと?」


幸正くんの言葉に目を丸くしながら

おじさんが聞き返している


「うーん そうですね

 ウォーターで顔を覆って30秒間

 それを5分間ほど続けたり

 逆さづりにして頭の方にファイアを使って

 焼かれたくないなら腹筋でもしたらいいですよね」

「ちょっ そ、そんなこと 出来るのですか?」


慌ててしまうおじさんに

幸正くんは右手の人差し指を立てて

ウォーターボールやファイアボールを

指先に作り出す


「いったい 何者なのでしょうか」

「ここの人間ではないことは確かですね」


わたしは頭痛くなってきたので

幸正くんに突っ込みをすることにしました


「幸正くん 詐欺師をいたぶるのはいいけど

 そういう詐欺師って…だまし取ったお金なんて

 とっくに使ってしまってるでしょ?」

「言われてみれば…そうかもしれないか…」

「でしょ いたぶるのは…まぁ、いいけど

 お金は戻らないと思うからどうするの?」

「おじさん…居酒屋ってどれくらいのお金 必要なのです?」


幸正くんがおじさんに聞いてくる


「わしの退職金…6000万ぐらいだったが

 お店を買ったり改装したり借金する予定だった」

「家族の人は?」

「まだ高校生の娘がいるから学費も」

「そうですか…お姉ちゃん

 金の塊50キロぐらいあればいいんじゃない?」


幸正くんがわたしの方にそう言う


「50キロで6億になるよ?」

「そうだね それくらいあればたりるんじゃないの?

 娘さんの学費やお店の資金」

「そうかもしれないけど…おじさん

 もし 金の塊 あげると言ったら受け取りますか?」

「えっ? 6億も? 受け取るのは無理です」


意味わからないという感じで拒否をするおじさん


「ただであげると言わなければどうします?」

「わしになにをさせたいのですか?」

「居酒屋を始めると言っていますから

 唐揚げとか焼き鳥とかとんかつとか…料理は?」

「それはもちろん出来る 料理が好きで居酒屋をやりたくて

 会社を辞めたのだから」

「それじゃあ、とりあえずは来月までの1ヶ月の間

 唐揚げとか焼き鳥とかとんかつとか

 大量生産して貰えます?」

「作るのはいいのだが…置き場はどうするんだ?」

「出来上がったものはパックに入れて

 アイテムボックス…四次元空間みたいな場所に

 収納して貰います

 時間経過もない場所なので作りたてのまま

 保存出来ます」

「はぁ…」

「とりあえず、信じて貰うために見せます

 お姉ちゃん 家につれていこう」

「うん」


わたしたちはおじさんを連れて

家に連れて行くことにしました

ここまで読んでいただいた方ありがとうございます

面白いと思っていただいたら

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