215話 天丼食べながら母親と会話
お昼になり学校が終わると
俺と美穂は一緒に帰宅
芽衣、未来、あやこはそれぞれ一度帰宅するようだ
休み時間に夢子達がやってくるのかと思いきや
そんなこともなく…ちょっとだけ予想外だなと思ったりもした
美穂と一緒に家に帰り玄関で挨拶をすると
母親達が顔を出してくる
「おかえり 桜庭の料理人さんが
えび天作って持ってきてくれたわよ」
「あ それじゃ、食べる」
「みほちゃんも それでいい?」
「うん」
俺たちは居間に行き
昼ご飯を母親から受け取る
「エビ天丼にしてみたから」
「ありがとう 白いご飯きらいだから助かる」
「ゆきまさぁ…」
俺の本音ポロリに母親が俺を睨み付けてくる
「なにかかけていたら食べるんだから…怒らないで」
「まったく…一応、天つゆをコンビニから買ってきて使ってるけど
味はどう?」
「うん ちょうどいい」
「わたしもちょうどいい えびフライもいいけど
えび天もおいしいね」
美穂がえび天を食べながら感想を述べる
「お母さん 料理教えは順調?」
「えぇ…桜庭の料理人さんは揚げ物はだいたい出来るようになってたわ
江藤さんと相馬さんも牛丼とマグロ丼
どちらも簡単でしょうからすぐ覚えてくれたみたい」
「よかった うどん屋さんとかは?」
「うどん屋さんとそば屋さんは…今日は来てなかったわ」
母親が残念そうに言う
「そうですか…あとは和菓子屋さんは?」
「あ うん 和菓子屋さんの職人さんも
アイス作りを侍女さん達に教わっていて
真剣な顔になっていたわね
あと…牛丼の作り方も真剣に教わっていたみたいだから
もしかしたら…牛肉まん…つくってくれるかも?」
「牛肉まん…たのしみです」
「牛丼の具をまんじゅうの皮で包むの? おいしそうね」
美穂も聞きながらおいしそうって呟いていた
「ミアさん にこにこしてたでしょ?」
「そうそう えび天 いっぱい食べていたわね」
「やっぱり…」
「それで…学校の方ではどうだったの?」
母親が俺を見ながら問いかけてくる
「あやこさんだけ…かな クラスメイトだし
顔あわせるんだから話しかけてくるもんね」
「それ以外の子は…来なかったのね」
「うん 5年生6年生でしょうし
指輪があるなら…後は好きにダンジョンに入れば
強くなるでしょ」
「言われてみれば そうよね
わたしたちもやろうと思えばレベル上げ出来るだろうけど
わたし そこまでする気なかったから」
母親がそんなことを呟く
「お母さんは…他にして欲しいこと色々あるし」
「うん 色々 やっているからダンジョンに行くなんて
暇もないからね」
「いろいろ ありがとう」
俺は母親をまっすぐ見ながら頭を下げて感謝の意を示す
「ううん わたしも楽しんで料理しているから大丈夫
あとね 親孝行したいときには親がいない
そう思っているよね? 幸正」
「それは うん そう」
「わたしも…まだ30代なんだから
まだまだ元気だからね あんまり考えないこと」
「うん おねえちゃんも交通事故って言ってたし
いつなにが起きるかわからないから」
「そうね ゆみちゃん 突然だったようだし
大変だっただろうに…ほんとの両親じゃないけれど
わたしは…あの子も娘だと思っているから」
「ありがと…」
俺と母親の会話を横で黙って聞いている美穂は
泣きそうになっていた
「「みほちゃん?」」
「ううん 話を聞いていて…ジーンときちゃっただけ」
「そう…みほちゃんも この子のこと いつもありがとうね」
「あ うん…」
美穂は母親の言葉に頷く
そんなやりとりをしているうちに
未来達がやってきて…あやこを含めた6人で
55階層へ向かうのだった
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