205話 試食 とんかつもどき えびフライ いかフライ まぐろカツ チキンカツ
ゆかり様の合図により
母親達6人が試食品の準備に取りかかる
まず、母親がアイテムボックスから
とんかつもどきを3枚ほど机に出しながら説明を始める
「まずは、とんかつもどき もどきと言っているのは
本来は豚肉を使った料理ですが
こちらは暴れ大猪の肩ロースと同じくヒレ肉を使った
2種類です 肩ロースは脂身もあり
男性の方には好まれる味となってます
一方のヒレ肉は脂身がない肉ですので
脂身が好きじゃない方にお勧めです」
母親がこう説明すると
それぞれ一切れずつ手元にある皿によそっていく
「醤油と…お好みで…からしをどうぞ」
絵美が醤油とからしを用意する
それぞれ醤油をつけながら食べ始めている
からしを付けた人も男性陣にちらほらいる
「厚みがあるのに噛みきれるほどの柔らかさ」
「外側のきつね色のものはサクサクしてますけど
これは…天ぷらとは違いますよね」
衣のことを指摘してきたのは
桜庭の人だった
「はい 揚げ物としては…天ぷらもありますが
こちらはパン粉…パンを乾燥させた上で粉末状にしたものを
肉に溶き卵をつけたあとでまぶしたのち
油で揚げたものです」
母親が桜庭の人の問いかけに答える
俺は桜庭の人をむいて一つ質問してみる
「天ぷらを料亭でお出しになられてるのですか?」
「あ はい 出してます」
「もし、可能でしたら…エビやイカなども
天ぷらにして貰えませんか?
あ エビやイカのフライもあります お母さん」
「幸正 あなたね 突発的にそんな話をふらないの」
母親が俺を見て小言を言ってくる
そこで…ぼたんがアイテムボックスから
えびフライ いかフライ マグロカツ チキンカツ
と言った…揚げ物類を多数とりだしてきた
「ぼたんちゃん…準備すごいわね 助かったわ ありがとう」
母親がぼたんにお礼を言う
「あ いえいえ 幸正様の行動を考えたら
えびフライなどもいるだろうと予想してましたし
それに…暇なときに個人的に作り置きしてましたから」
「ぼたんさん…ぼくからも…ありがとう
つい…えび天とか浮かんじゃったので」
「天ぷらの話だもんね」
「うん それで…桜庭さん こちらがえびフライ等です
みなさんも食べてみてください」
俺の言葉にそれぞれ「いただきます」を言いながら食べ始める
「ぷりぷりしてる」
あやこが呟く
「そうだね これがえびなのね」
夢子もあやこに続いて感想を言う
「それで…これはどこでとれるのです?」
桜庭の人が聞いてきたので
俺が答える
「それ自体は55階層にいるエビの魔物ですが
普通のエビは海にいます」
「海ですか…」
「海での漁もどうにかしようとは考えてますので
いずれは普通のエビも流通されるようにはなります」
「なるほど それで天ぷらにしてほしいと?」
「はい えび天が出来るようになれば
そちらの…うどん屋さんと、そば屋さんにも
天ぷらうどんや、天ぷらそばも作れるようになると思いますし」
「「おれらにも天ぷら?」」
「はい」
えび天を食べたあと、続いてイカ天を試食する面々
「こちらは歯ごたえがすごいですね」
「うん 噛まないと飲み込みにくいですね」
たけしと健二が呟く
「これも魔物でしょうか?」
そば屋の店主が聞いてきたので答える
「それも55階層にいます ダイオウイカです
イカも海にいます あと…そちらのマグロカツも同じく55階層で」
「なるほど…」
マグロカツを試食したあやこが次に呟いてきた
「前に食べた…マグロ丼の時とカツにしたときと
食感が変わるのね マグロ丼の方が…わたしは好きかも」
「火を通すともさもさ感が出ちゃいますからね」
あやこの呟きにぼたんが答える
「最後はチキンカツですが…とんかつが豚だったのに対して
鳥を使ってます 今回使ったのは56階層にいる火の鳥です」
ぼたんが続けて説明すると
それぞれ食べ始める
「ヒレカツみたいな淡泊さなんですね?」
桜庭の人がそう言うと
ぼたんが受け答えをする
「はい 火の鳥自体が脂身が少ない鳥でしたので
ジューシーさを求めるならば雷鳥やコカトリスの肉を使った方が
肉汁もあって…おいしいかもしれないです」
「「「なるほど」」」
桜庭の人やうどん屋の店主、そば屋の店主が呟いた
一通り揚げ物が終わると
母親達は次に牛丼、カツ丼、マグロ丼を机の上に並べていくのだった
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