202話 相馬食堂
4時間目の授業が終わり帰り支度をして
あやこを含めて5人で校門に向かう
校門に向かいながらあやこに家の場所を確認する
「家ってどの辺?」
「商店街だから…ここから歩いて…30分以上かな?」
「ゆきくん 面倒だと思ってない?」
美穂が俺の顔を見ながら突っ込んでくる
「うん あやこさんの記憶を覗かせて貰って場所特定した方が
手っ取り早いなと」
「あやこちゃん それでいい?」
美穂があやこをみて尋ねる
「それって…30分も歩かなくてすむってこと?」
「うん そう 瞬間移動で…」
「そうなんだぁ うん いいよ」
「決まりね 校門に着いたら…江藤さんを待ってから
移動しましょ」
美穂が俺に言ってきたので頷く
校門に着いて…しばらく待っていると
一馬が俺たちを見て慌てて校門に駆け寄ってくる
「お待たせしました…」
「「「「「いえいえ」」」」」
「そういえば…あやこちゃん 江藤さんの定食屋とは
距離的にはどうなの?」
美穂があやこに確認する
「えっと…わたしのところと逆方向だから
同じ商店街でも距離は離れてると思います」
あやこの言葉に一馬も
「もしかして…相馬さんの定食屋でしょうか?」
「はい 相馬あやこと言います」
「はじめまして 江藤一馬です
相馬さんのところとは確かに距離は離れてましたね」
「それで…一馬くん あやこさん どちらから先に帰ります?」
俺がふたりにそう確認すると
一馬があやこの方を見て
「相馬さんの方からでいいです」
「あ ありがとうございます 幸正くん 家を思い浮かべればいいのかな?」
「うん 店の入り口を思い浮かべて貰えれば」
「はい」
あやこが自分の家の入り口を思い浮かべる
俺はあやこの額に手を当てて記憶を見る
そして美穂達はそれぞれ手をつないでいき
美穂が一馬に声をかける
「江藤さん手を繋いでいい?」
「あ はい」
未来は俺の肩に空いてる手を乗せる
俺は全員が繋がっていることを確認してから
あやこの家の前へ瞬間移動をする
「うわ」
「わぁ」
一馬とあやこが目の前の風景が一瞬で切り替わったことに
驚きの声を上げる
「幸正くん やっぱりすごいねぇ
魔法の授業とかも滅茶苦茶だけど…あらためて思っちゃった」
「あはは…」
「あの これ 瞬間移動ですか?」
「そうです」
「あわわ…」
あやこのほうは驚きはしたものも
普段から俺たちの様子を見ているだけに理解は早かった
一方の一馬は…オロオロしている様子だった
そんな一馬をよそにあやこが家の中に入り
「ただいま」
「おかえり あれっ? 早すぎない? 早退でもしたの?」
あやこの声にあやこの母親が近づいてきて
心配そうに話してくる
「ううん 幸正くん達と一緒だから瞬間移動で帰ってきたの」
「えっ???」
あやこが店に入ってから少し遅れて
俺たちも店の中に入ると
あやこの母親や店にいた食事中のお客さんが
一斉に俺たちの方を見て…固まってしまっている
しばらく待っていると
あやこの母親が気を取り直しつつ
俺たちを見て話しかけてくる
「えっと…未来様、幸正様、美穂様…どのような用件で?」
恐る恐る俺たちに尋ねてくる
あやこの母親に未来が説明をする
お客さん達も聞く耳立てて未来の言葉を聞いている様子だった
「食の祭典…ですか」
「「「うまいもの食べれるのかな?」」」
「お母さん 引き受けないの?」
あやこが母親に心配そうに聞くと
あやこの母親はあやこをみながら
「お父さん呼んでくるね」
「うん」
あやこの母親が慌てながら
店の奥にある厨房に向かいながら
「あなたぁ ちょっとこっちに来て
未来様達が来ているから」
「ん? 騒がしいと思ったら…未来様だと?
今 いくから…」
厨房からあやこの父親もやってきて
俺たちの前に来て頭を下げてしまっている
未来が「頭を上げてください」と言い
再び説明を繰り返し行う
「なるほど…あやこからは
とんかつもどきのことは話には聞いていたけど
作り方まではわからなかったわけで
気にはなっていました」
「それで3時過ぎに協力してくれる方々に
実際の料理を試食して貰う予定なのですが
時間ありますか?」
俺がそう言うと
あやこの両親は頷く
店の中にいたお客さんの一人が俺に聞いてくる
「あのぉ…おれらは食べることは来月までお預けなのですか?」
「うーん 店主さんが作り方を覚えて
お品書きに追加されたら食べれると思いますけど
そこは…ぼくから言うことではないので」
俺はそう答えると
あやこの父親が頷きながら
「材料の調達とか…お店で出すことが可能なら
追加したいと思いますので…お待ちください」
「「「「おぉ…たのしみ」」」」
あやこの父親の言葉にお客さん達も歓喜の声を上げる
俺たちは説明も終わったことなので
「それでは わたくしたちは…もう一箇所向かうところありますし
お昼時で忙しいと思いますので…お暇します」
「「あ はい」」
「未来様 3時過ぎにお待ちしてます」
最後にあやこが未来にそう言うと
未来は微笑みながら「はい」と言う
俺たちもそれぞれ挨拶をしたあと店の外に出て
一馬の方に声をかける
「あやこさんのときと同じように
家を思い浮かべてください」
「あ はい」
あやこの時と同じやり方で
一馬の家の前に瞬間移動をすると
こちらでも未来が説明をしつつ先ほどの
相馬定食店と同じようなやりとりが行われ
こちらでも3時過ぎに試食に参加してくれる約束を
取り交わして貰えたので話が終わると
未来と芽衣はその場でそれぞれの家に瞬間移動をして帰宅
俺と美穂は俺の家に帰宅するのだった
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