17話 これからのこと
両親たち4人と栄と呼ばれた侍女、鑑定士が
部屋に戻ってくると栄が未来を見るなり声をかけてくる
「姫様 楽しかったようで何よりでございます」
「栄! わかるんですか?」
慌てるように未来が栄に言う
「えぇ、もちろんでございます 表情もよくなってます」
栄のその言葉に未来は両手を自分の頬にあてて
はっとした表情になる
「して…姫様 その髪飾りは?」
栄が未来の髪飾りを見ながら尋ねてくる
「これは…幸正からの頂き物で…武器になります」
「それはそれは…」
そこに両親達が俺を睨み付けてくる
「えっと…栄さん」
「はい、なんでございましょう? 幸正様」
「えっ? どうして様?」
「あなた様と美穂様は結界強化をしていただいた方です
丁重に扱わないといけないものなので問題ございませんよね?」
「は、はい」
やらかしてしまってるから仕方ないとは言え
むず痒い気持ちになってしまう
「それでみく様に献上した武器ですが
みほちゃんが持っている五芒星の杖と同様なものです」
「これまた…とんでもないものを」
栄が頭痛そうにする
「みほちゃんの五芒星の杖 みく様の三日月の杖
どちらも専用武器ですので他人が奪うことも出来ません
奪っても自動的に二人の手元に戻ってきます」
「そんな武器を姫様に…ですか
姫様の安全を考えての処置ですね?」
「はい」
栄はよくわかっているようだ
「さて、幸正様と美穂様 その後両親とともに
月宮の敷地内に御引っ越ししていただくことになりますが
お二人には未来様とご一緒に学校にも通って貰うことになります」
それを聞いた俺と美穂は顔をひきつってしまう
「美穂様も幸正様も読み書きや加法、滅法、乗法、除法…
足し算、引き算、かけ算、割り算とお出来になられてますよね?」
「「一応は…」」
「なら、問題ございません 未来様も同じ程度ですので」
「「はぁ…」」
俺と美穂がため息をつくと未来がジト目で
「わたくしと一緒に学ぶことがいやなんでしょうか?」
「「いえ、滅相もございません」」
「そうですか これからもよろしくお願いしますね」
未来がニコッと笑いながら言う
「あのぅ…学費は?」
俺は両親を見つつそう栄に尋ねてみると
「学費に関しても心配ございません
皇室から学費が支払われると思います」
それを聞いた両親が青ざめてしまいながら
「そこまでは…」
「わたしたちどうしたらいいのでしょう」
青ざめる二人を栄は見ながら
「お二人には敷地内で農作物を作って貰うつもりです」
「「えっ?」」
「農業をおやりになられてますから品種改良など
手がけて貰えたらと思います」
「「はぁ…頑張らせて貰います」」
栄がテキパキと動き
2週間ほどで俺たちは月宮の敷地内に引っ越しを完了するのだった