192話 アップルパイ作り
俺たちがダンジョンから戻ってみると
母親達はりんご煮詰めを終えていて
カスタードクリーム作りの最中だった
白井さんの奥さんは真剣にメモをとっている様子で
俺はしばらく黙って様子を眺めていることにした
眺めながら待ってると
たけしが話しかけてくる
「幸正くん なにからなにまで…ありがとうございます」
「あ いえいえ 他にも飲食店や料理屋の友達はいませんか?」
「うーん 直接の友達というわけではないけれど
何人かは心当たりはあります」
「紹介していただいても?」
「はい もしかして…うちの店同様に色々して貰うつもりで?」
「お母さんや侍女さん達だけじゃ…足りないと思いますし
いろんな食べものを広めるためにも
作れる人を増やしていかないとと思ってます」
「日本のパンはおいしかったですし
こういうパンをお店で提供出来たら…と
ぼくも思います」
「ですね 今 カスタードクリームを作ってるみたいなので
クリームパンも作れると思います」
「りんごジャムのパン 桃のジャムパン クリームパン
揚げたあんパン…あの黒いクリーム チョコレート?が
やっぱりほしいと思ってしまいます」
「そうですね チョコレートがあると
お菓子も幅が広がりますからね
最悪 ぼくが魔の森を越えて向こうの方に行ってくるしかなさそうかなと」
「こないだの…邪神教教団のあれをみていて
魔の森を越えること自体は幸正くん達なら簡単なのだろうと
感じちゃいますけど…」
「あはは あの時はやり過ぎですか」
「あれを見て大半の人は怖がると思います
あの魔物…あそこにいる さちこさんが一人で倒しちゃってるのも
すごいと思いましたし」
「さちこおねえちゃんだけじゃなく
みほちゃんたちもそうだし…侍女さん4人もそう」
「みなさん すごいというのは…わかります」
「ぼくたちは基本的に国を支配するつもりはないですし
色々と発展させたいだけなので」
「はい もう 月宮に楯突こうとする人たちも
いないと思いますよ」
「そうだといいのですけどね」
俺たちがこんな会話をしているうちに
カスタードクリームも作り終えたらしく
白井さんがパン生地を持って来て
クリームパンを数個作ってみるところだった
カスタードクリームを包んだパン生地をしばらく寝かせるみたいだ
そうこうしているうちに2時間が経過すると
冷蔵庫からパイ生地を各自とりだして
平に伸ばしていき折り畳んで
また平らに伸ばしていくという繰り返し作業をして
パイ生地を作り終えたようだ
「さて、パイ生地を長方形に切り分けていきます
あと、カスタードクリームのほうのアップルパイは
長方形にしなくてもいいので適当に生地を残しておいて使います」
由美がそう言いながら動画を見つつ説明する
各自、動画の通り作業を始める
長方形のパイ生地に煮詰めたりんごを載せていき
その上にかぶせるパイ生地は横に切れ目を3箇所入れて
かぶせたあと周りを下の生地とくっつけるように
押さえつけていく
そのあと溶いた卵黄を表面にぬっていく
その作業が終わると由美が再び動画を検索して
カスタードクリームの方のを表示させると
俺に話しかけてきた
「容器 3つほど作って貰える?」
「うん」
俺は円形で周りがギザギザになっている容器を
3つ4つほど作って由美に渡す
「ありがと」
由美が受け取るとそれぞれに渡していき
まず、パイ生地を引き延ばして
容器の上にかぶせながら容器に入れて
はみ出した部分を切り外していく
そのあとでカスタードクリームを
パイ生地の上にまんべんなく敷き詰めてから
煮詰めたりんごをその上に敷き詰める
そのあとで細長いパイ生地を
縦横にクロスになるように編みながら並べていき
溶いた卵黄を塗る
「ふぅ…あとはオーブンで焼くだけ」
「ゆみちゃん お疲れ様」
「うん 指示しながら作るのは大変だね」
母親の言葉にそういう由美
2種類のアップルパイをオーブンで焼いていき
焼き上がるまで待つことにするのだった
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