189話 将来のこと
由美視点です
「ゆみちゃん 今日はバイトだったよね」
「うん 今から向かうところ
さちこちゃんは…今日は?」
「わたしは…どうしようかなぁ
宿題もあるから大人しく家に帰って宿題するかな」
「ここんところ 遊んでばかりだもんね」
「うん 毎日新鮮だもんね」
「だね わたしは高校卒業したら
向こうに移住でいいかなぁって」
「あー ゆみちゃんずるい」
「さちこちゃんはどうする予定?」
「うーん まだ決めてないかなぁ
旅館はおねえちゃん達が跡継ぎでしょうし?」
「そっかぁ」
「わたしも下手にこの国にいるより
向こうの世界の方がぼろが出ないだろうし
安全かなと思っちゃう」
さちこちゃんの言葉を聞いて
わたしも確かにと感じてしまう
わたしたちの力なんて隠さないと騒ぎになるのね
「だよね でも、困ってる人がいて
救える力がある状況だと無意識で動きそう」
「うん ゆみちゃんは回復魔法もあるから
やっぱり動きそうよね」
「うん それじゃ…バイトに向かうね」
「うん なにかあれば念話で」
「わかった また明日」
「明日」
さちこちゃんと別れてバイトに向かい
特に何事もなくバイトをこなして帰る時間になる
「椛沢さん お疲れ様」
「お疲れ様です あの 店長 お話があります」
わたしは店長にバイトをやめることを話そうとしました
店長はわたしの様子を見て姿勢を正すと
話を聞く態勢になってくれたので話し始めます
「11月いっぱいでバイトをやめようと考えているのですが…」
「あら…椛沢さん しっかりしていて業務も安心して
任せられていたのだけど…」
「そういう評価していただいていたんですね」
「そうですよ それに…お客さんからも評判いいみたいですし」
「そこまでは気づいていませんでした」
そんなところまで気を向けている余裕もなかったし
お客さんのことまで気にしてられなかったもん
「こちらとしては抜けられてしまうのは困るけど
椛沢さんの事情もありますからね」
「申し訳ありません」
わたしは店長に頭を下げて謝る
店長は慌てて頭を上げるようにわたしにいい
「頭を上げて…11月いっぱいまでまだありますし
よろしくお願いしますね」
「はい」
店長と会話を終えて店を出て
周りに人がいないことを確認してから
自宅へ瞬間移動して向こうの世界へ帰宅するのでした
「ただいま」
「ゆみちゃん おかえりなさい」
わたしが帰宅して挨拶をすると
おばさんが返事を返してくれた
「夕ご飯は?」
「今日は…まだ食べてなかったからいただきます」
「今 用意するわね カレーでいい?」
「はい」
「中辛がいいよね? 辛口?」
「あ 中辛で」
「わかったわ」
わたしは居間に行き席に座ると
おばさんがすぐに用意をしてくれた
アイテムボックスに入れてあるようだから
温かいままでもあるし準備も簡単みたい
目の前においてくれる皿を見て
おばさんに聞いてみることにした
「ハンバーグも作ったんですね」
「えぇ…幸正が食べたいと言うから作ってみたの」
「おばさん いいお母さんですよね」
「わたし 30近くで産んだ子どもですし
あの子が大切だから」
「こっちの世界だと…まだ10代後半で
産む人が多いのです?」
「そうねぇ 10代後半から20代なりかけが
多いわねぇ そういう点だと…侍女さんたち4人は
めずらしいという感じだよね」
「すみれさんたちって21から19でしたよね?」
「そうみたいね 恋人とかいないのかしら?」
「問題はステータスがおかしくなっているから
結婚とかも色々と」
わたしがそう話したのを見て
おはさんも頷いてしまっている
「そうよねぇ
みほちゃんと未来様は皇女だからともかくとして
めいちゃんも問題だよね
ゆみちゃんは…どうするの?」
「わたしですか? 向こうには好きな人もいませんし
高校卒業したら…こっちで働こうかなと」
「あら そうなのね ゆみちゃんさえよかったらだけどね」
「うん?」
わたしさえよかったら?
なにを提案するのだろう おばさん
「わたしと正太の娘として戸籍作らない?」
「えっ? あ うん そうか
わたし こっちの国では戸籍もないわけだもんね」
「うん そう ゆみちゃん16歳でしょ?」
「はい」
「わたしが20で産んだ娘として戸籍を作るのが
よさそうかなと…ゆかり様からも提案されていて」
「なるほど おばさんとおじさんが…よかったら
わたし この家の娘になりたい」
「ありがとう ゆみちゃんにとっては
幸正はおじいちゃんの弟なの?」
「うーん 中身はおじいちゃんの弟だけど
幸正くんは幸正くんかな 暴走しがちの手間のかかる弟でも
あってそうかなぁ」
わたしにとっては…そう
おじいちゃんの弟だけど…会ったりもしてなかったし
今の幸正くんしかしらないから…弟みたいな子だと思う
「あの子のこと これからもよろしくね」
「わたしの方こそ よろしくお願いします お母さん」
「ゆみちゃん…」
わたしがそう口にすると
お母さんが目に涙を浮かべながら嬉しそうに微笑んだ
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