188話 ハンバーグカレー
6時過ぎ 加賀、樹両家が居間に揃い
それぞれ席に着いたのを見て母親と絵美が
アイテムボックスから夕ご飯を出していき配膳していく
準備が終わると母親の合図で「いただきます」をする
俺はハンバーグカレーを頼んでいたので
まずは、ハンバーグから口にする
感想が気になるのか母親がじっと俺を見ていた
「煮込みハンバーグ?」
「えぇ、そうよ どう?」
俺の問いかけに母親が答えたあと
味がどうなのか…と不安げに聞いてくる
「柔らかいし肉汁もあるし…ぼくは好き
焼いたタイプだと焦げちゃったりとかあるし
煮込む方が安定はするよね」
「そう考えて煮込みハンバーグを選んだのよ
うまくいってよかったわ」
「美幸 うまいよ これ
醤油ベースだけど…俺も好きだな」
「あなたも喜んでくれてありがとう」
絵美の方も美穂と宗人を見て感想ないかと伺っている
「うまいよ」
「うん おいしい
ハンバーグカレー 好きになりそう」
「気に入って貰えてよかったわ」
絵美もホッとした様子で自分も食べ始める
俺は食べきると母親におかわりを頼んだ
「夜はおかわりしたのね」
「カツカレーはカツも大きかったから」
「あ 確かに そうね 200グラムは多かったわね」
「ハンバーグカレーも久々だけど
カツカレーより好きだし前世の想い出も思い出す」
俺はハンバーグカレーを受け取り
皿を見つめながら呟く
美穂が興味持ったのか、問いかけてきた
「どんな想い出?」
「うん 子どもの頃の話 前世のね」
「うん」
「病院に入院生活だったんだけど
土日は家に帰省出来ていたので毎週帰っていたの」
「入院生活…長かったの?」
美穂がいつにもなく真剣に聞いてくる
「5歳から12歳まで 退院しても家に戻らず
障害者用の学校で寮生活になったけどね」
「ずっとなんだ…ね」
「そうだね それで土日に帰省するときに
お母さん…あ 前世の方のお母さんだよ」
俺がそう言うと母親がニコッと笑いながら
「話の流れからわたしじゃなく前世の方なのはわかりますから
訂正しなくても大丈夫だよ」
「あ うん ありがとう
それで…お母さんが送り迎えしてくれていたんだけど
帰る途中にファミレス…ファミリーレストラン
一般家庭向けの低価格で子どもも楽しめるお店ね」
俺の説明に美穂達がウインドウを開いて
検索していた
「サ○ゼ○アとかだよね」
美穂がそう言うと俺は頷いて話を続ける
「そんな感じのお店によって食べて帰ることが多かったんだけど
決まって注文するのはハンバーグカレーか
パンケーキ(ホットケーキ)だったなぁって
あとはケーキもスフレチーズケーキが
だいたいのお約束だった
冒険しないというか…どこで食べても
似たようなものしか注文しなかったなぁって思い出したの」
俺の言葉を聞きながら
美穂はもちろんだが母親達もなにか思うところがあるみたいだった
「幸正 ハンバーグカレーが特に好きなのはわかったわ
それとホットケーキ…今度作ってあげるね」
「ありがと お母さん 作るなら
日本に行ってホットケーキミックスを買ってきた方が
簡単だと思うから」
「そうするね」
母親が頷いてホットケーキを調べていた
「親孝行…出来ていたのかなぁ」
ふと…俺が呟いてしまうと
母親と父親が俺を見て口を開く
「前世の親御さんも幸正がちゃんと生きているだけで
十分だったと思うぞ」
「そうだよ 幸正は心残りなのかも知れないけどね
それと…わたしもお父さんも十分幸せだからね」
「あぁ…指輪もそうだけど
前世の記憶があるから美味しいものも食べること出来るわけだしな」
「お父さん お母さん ありがとう」
俺は今の両親に感謝をしつつ
ハンバーグカレーを食べ終えるのだった
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