179話 果物の試食
俺たちは家に帰宅して玄関で「ただいま」を言うと
台所から母親がやってきた
「おかえり たけしくん送り届けたわよ」
「ありがと おかあさん はい これ」
俺は母親にアイテムボックス経由で
サンダーディアの肉を数頭分わたす
「何の肉?」
「鹿 62階層で鹿しか食べれる肉がなかった」
「鹿…どう料理したらいいのだろう」
母親が首をかしげながら考え込む
「色々ためしてみたら?」
「そうね」
鹿の肉をわたしたあと、俺たちは居間に移動して
机を囲んで座るとアイテムボックスから果物を色々取り出す
「試食かな?」
「そうだね おいしいかどうか気になるもん」
「そうですね」
「「「うん」」」
俺たちはとってきた、りんご、ぶどう、桃、柿を
机に置いて眺めながら言う
「洗ってくるね」
芽衣が果物を持って台所に向かおうとすると
由美も立ち上がり芽衣に声をかけながら一緒に台所に着いていった
しばらくして二人が果物を洗って切り分けをして
皿に盛り付けて戻ってくると机の上に皿を置く
「めいちゃん おねえちゃん ありがと」
「「うん」」
「「「「「「「いただきます」」」」」」」
全員でいただきますを言ってから食べ始める
まずは、りんごから口にする
「うーん 普通のりんごだね」
これと言って変哲のない普通のりんごだった
「「「「「「そうだね」」」」」」
「りんごなら農家の人も作っていますし
別にダンジョンで採取する必要もなさそうですね」
未来がそう続けて呟く
次にぶどうを一粒口にしてみる
大きさもそんなに大きくなく青紫の皮に包まれたタイプの品種だが
甘さはちゃんとある
「甘い方だね」
「うん ぶどうってこの国では出回ってないから
食べたこともはじめてだけど…こんな味なのね」
「もう少し酸っぱいと思ってました」
「うん」
「日本で売られている普通の安いブドウだね 見た目」
「だね 巨峰とか高級ぶどうではなさそうだけど
甘さはあるしおいしいね」
由美とさちこは日本で食べているぶどうと
比較しての感想を述べている
「種もあるし…食べるのにはめんどくさいけど
ぶどうって栽培出来ないものか」
俺がそう呟いてみる
「「「どうなのだろう」」」
美穂 未来 芽衣が首をかしげていると
さちこが俺にツッコミを入れてくる
「幸正くんなら…ダンジョンに生えているぶどうの木を
地面まるごと転移させることも可能じゃないの?」
「あ…それが1番、手っ取り早そうですね」
「でしょ」
「あとで、おじさんに相談してみましょ」
由美もそう言ってくる
「うん ぶどうが大量に入るなら
ワインも作れるだろうし」
「「確かに…わたしたちはまだ飲めないけどね」」
「うん 未成年だもんね」
俺たちの会話を聞きながら美穂が俺に聞いてくる
「ワインって…お酒よね?」
「うん」
「お酒じゃなくてジュースには出来るの?」
「出来るよ」
俺は美穂の問いかけにジューサーを作り出して机に置く
「ゆきくん また何か作り出した」
「みほさんがジュースと言ったからではないですか
ゆきくん それ…ジュース作りするためのものですか?」
「うん ジューサー
おねえちゃん達はおなじみの機械だよね」
「「そうだね」」
「みほちゃん みくちゃん めいちゃん どうする?」
俺は3人に聞いてみる
「うーん ぶどうジュース りんごも作れるんだよね」
「うん りんごも桃も絞れる」
「とりあえず、全部飲み比べてみたい」
「わたくしも…3種類」
「わたしも…」
3人ともそう答えたので
ジューサーを数台作り出して…俺と由美、さちこで
分担してジュースを作っていく
作っている間に美穂達は桃も試食していた
「桃も甘いね」
「そうですね あまいです」
「桃って…当たり外れがありますよね」
「確かに…おいしくない桃はおいしくないよね」
「そうですね」
どうやら桃も甘い桃だったみたいだ
美穂達の会話を聞きながら作業をして行き
ジュースを作ったあと
コップを3種類分、それぞれ用意して注いで配る
「ジューサーも便利だよね」
「見ていたけれど、果物を入れて上から押しつけながら
絞っていくだけでしたね」
「幸正くん これ 数台出来てるけど…わたしたち貰えるの?」
芽衣がジューサー欲しそうに聞いてくる
俺は3人に未使用状態で再び作り出してわたす
「「「ありがと」」」
「とりあえず、ジュース飲んでみて」
「「「うん」」」
それぞれ試飲をはじめて行く
「りんごは酸っぱいかなぁ」
「そうですね 砂糖など入れた方が飲みやすそう」
美穂と未来がりんごジュースを口にしながら感想を述べる
次にぶどうジュースを口にすると
「ぶどうの方がわたしは好きかも」
「甘さもありますし」
「うん これはおいしいですね」
最後に桃ジュースを飲むと
「ぶどうよりも甘い…ね」
「はい 甘さが1番感じますね」
「うん これ りんごと混ぜたら丁度よさそうかも」
芽衣がりんごジュースと桃ジュースを混ぜて
スプーンでかき混ぜてから口にする
「うん これなら飲みやすいかな」
芽衣の言葉に二人も同じく試してみて飲み始めていた
「「確かに…」」
ジュースを飲み終えて…最後に残っている柿を見る
「見た感じだと硬そう」
俺は呟く
「ゆきくん 硬いの 苦手なの?」
「うん りんごも柿も前世の記憶だと食べにくかったから」
「噛むのが大変だから?」
「うん とりあえず、一口食べてみる」
美穂との会話のあと柿を一口食べる
やはり硬い ……だけではなく渋かった
美穂達を見ると顔をしかめて言葉を漏らしていた
「「「「「「う゛…しぶっ」」」」」」
みんな一斉に口から出してジュースを口にする
「「「「「「「ふぅ…」」」」」」」
「渋柿でしたね」
「「「「「「うん」」」」」」
俺の一言にみんな頷く
「この国でも…干し柿や酒に漬け込む方法はあるよね」
「そうですね」
「うん 干し柿は冬になると各家で作られます」
俺の言葉に未来と芽衣が答える
試食もだいたい終わったので未来と芽衣が時計を見て
「それでは…わたくしはそろそろ」
「わたしも…そろそろ」
「うん またあした」
「おねえちゃん 芽衣さん 明日ね」
「「みくちゃん めいちゃん またね」」
「未来 芽衣 また明日」
「「またあした…」」
未来と芽衣が台所にいる母親に挨拶をしてから
玄関から出て行き帰って行くのだった
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