168話 幸正の暴走
陛下視点です
わしは幸正と念話を終えると慌てて未来を呼ぶ
状況を把握しているみたいだったために
念話で呼ぶとすぐ駆けつけてきた
「未来 一緒に総理と副総理を連れて
あやつがいるところについてきてくれぬか?」
「はい 急いで国会議事堂にむかいませんか?」
「そうじゃな」
未来の方が落ち着いているのも
わしとしては不甲斐なさを感じてしまう
国会議事堂へ瞬間移動で飛ぶと
すでに真っ青になっている総理と副総理の姿を見る
こやつらも色々と振り回されて大変だなと
同情してしまう
「総理と副総理未来の肩にでも手を置け」
「「あ…はい」」
二人が未来の肩に手を置いたのを確認すると
未来が瞬間移動をして、あの場に移動する
幸正がわしの顔を見て一礼をする
両手足が使えなくなっている南の都市の者達と
教会関係者を除いた者達がわしを見て
青くなりながら慌ててひれ伏せす
北 東 西の都市の者達は怖がりながらぶつぶつと呟いていた
「月皇陛下様 おらたち…もうしわけないことをしただぁ」
それを見た幸正が、その者達に声をかける
「あなたたちは…ある意味被害者でしょう
しかし、あなたたちの奥さんはどうなのです?
家族全員を浮かべてください
こちらに引き寄せますので」
「「「はい いま やります やりますから」」」
幸正の顔を伺いながらブルブルと震えていた
彼らからみると幸正はまさに化け物そのものにみえるのだろう
そう思われるのも仕方あるまい
わしは南の都市の連中を見る
こやつらは…わしをみて憎悪を増大させて
表情を歪ませていた
「のぅ? おぬしらはなぜ、そんなにも月宮を憎む?」
こやつらに問いかけてみると
それぞれ口を開いて語り始める
「月宮さえいなければ…結界を管理する者もいなくなる
魔法を生み出してくれた邪神様を封印した月宮こそ悪」
「この国は邪神様のものだ」
「月宮さえ滅べば結界もいずれなくなる」
「そうすれば…我らの神が復活出来るというもの」
根底にあるのは魔の森の結界か
あれをなくしたいというのがこやつらの思想か
しかし、こやつら根本的に間違っていることわかっておらぬな
わしがそう考えていると幸正が
こやつらのもとに近づいていき口を開く
「先ほどから色々聞いていますが
結界がなくなれば高レベルな魔物もあふれ出てきます」
「それがどうした?」
がまがえるみたいな容姿の教祖が幸正に叫ぶと
幸正は右手に炎を宿して
教祖の顔に近づけながら邪悪な顔を浮かべながら
「なにほざいてんのや? このゴミ
魔物があふれ出たら最西の街が最初に被害に遭うだろ
わかってんのか? てめー」
「ひっ…」
それを見た、わしは慌てて幸正を制止する
「幸正 それくらいにしておけ」
教祖の言動に怒り狂って
肩で息をしている幸正の近くに美穂が後ろからやっていき
思いっきり幸正の頭を殴っていた
それをみて、わしは頭痛くなってしまう
「ゆきくん 腹たつのはわかるけど…落ち着いて」
「あ みほちゃん」
美穂は教祖を見下しながら話しかける
「わたしとゆきくんは…その最西の街にすんでいたんだけど
そこにいる人たちは死んでもいいってことかな?」
「そ、それは…邪神様の生け贄だ」
「あっ、そう…」
幸正が無表情になると
教会関係者などを見渡した後に
わしらの方を向いて口を開く
「陛下 ちょっと 魔の森に行ってきますので
こいつらのことよろしくお願いします
みほちゃん達 お願いね」
「ちょっ 幸正 なにをするつもりだ?」
わしは慌てて幸正に問いかける
「そこにいる邪神崇拝者のみなさんが
結界なくせばいいとか言っていたので
邪神様とやらがお造りになさった魔物を
連れてくるだけですよ?」
「一体どんなのを連れてくるつもりなんだ?」
幸正は考え込んだ後
「うーん わかりません ちょうど良い魔物がいたらいいですね」
そう言うと檻の外に出ていき
一気に加速して魔の森に飛んでいきおった
わしたちは…それを見届けながら
ため息を漏らす
「ゆきくん そうとうぶち切れていたからね」
「そうみたいですね そこにいる教祖達に」
美穂と未来が教会関係者を睨みながらため息を漏らす
「未来 美穂 あやつが戻ってくるまで待つしかなさそうだな」
「「はい」」
わしたちは幸正が戻ってくるまで数分間待つしかなかった
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