13話 聴取
今回も未来視点です
旅館の部屋で待機していると護衛の方や栄が
部屋に戻ってきました
「姫様 準備が整いましたので移動の方お願い致します」
「はい」
栄の言葉に返事をして部屋から出て行き
旅館の一室に設けて貰った場所に向かいます
わたくしたちが部屋に着くと栄がまず部屋に入っていき
「月宮未来皇女殿下のおな~り~」
こんなこと言わなくていいのに…と思ってしまいます
部屋の中へ入っていき豪華な座布団の上に正座して
目の前を見渡すと6人もひれ伏しているじゃありませんか
わたくしが言わなきゃならないんですね
「一同の者 面を上げ」
「「「「「「は」」」」」」
6人が面を上げわたくしの方をみてきました
わたくしたちと同じように和服の方が2人と
見慣れない服装をしている方が4人となってました
わたくしと同い年ぐらいの女の子と男の子
女の子の方はきっとわたくしの妹になるのですね
顔も同じですし
そんなことを考えていると
男の子がわたくしを見ながら不意に口を開きました
「みほちゃん…」
「ちょっ、ゆきくんっ! どうして皇女様を見てわたしの名前を言うのかな?
わたしはこっち」
男の子の呟きに妹…美穂と言うんですね
美穂さんが怒って男の子の頭を手刀したようです
「うぅ…痛いよぉ みほちゃん」
男の子は美穂さんを見ながら涙目になってます
「ゆきくんが悪いんだからね わたしがいるのに…」
「ごめんなさい ごめんなさい」
傍にいた大人達は頭痛そうにしてます
それらの様子を見ているうちに自然に笑ってしまいました
「ふふっ…」
「姫様?」
「ごめんなさい 栄 でも、面白くて…つい」
「ごほん…よろしいですか? 話を進めても」
「はい わたくしがしますので」
「承知致しました」
栄は脇に下がっていくのを見届けたあと
話を始めます
「このたびの謁見ですが魔の森の結界の件についてです
月宮陛下からの命を受けてあなたたちに
聴取となります いいですね?」
わたくしがそう言うと全員が返事をしました
そのあと大人の女の方が手を上げました
「そなた 名は何と申す?」
「加賀美幸と申します そこにいる息子…幸正の母親でございます」
男の子の名前は幸正というんですね
美穂さんは親しそうにゆきくん呼びしていましたが
うらやましく感じました
「して…今回の件はわたくしの妹にあたる
そこにいる美穂だけじゃないと申すのでしょうか?」
「はい 今回の件は美穂様と幸正の二人が原因でございます」
そのあと、幸正くんの母親と加賀家の絵美に
わたくしは色々と聴取するのでした
聞くところによると美穂さんのステータスと幸正くんのステータスが
異常に高くレベル4でありながらレベル40前後のステータスになっていること
一緒にこの場にいた鑑定士の方にも鑑定させてみましたが
鑑定士の方は青ざめた様子でした
しかも美穂さんが取りだした杖が
とんでもないものでわたくしたち全員
なにが起きているのか混乱してしまいました
「状況はわかりました 栄 陛下、皇太子殿下への報告はどうしましょう?」
こんな滅茶苦茶なことを報告するのも不安になってしまいます
「そうですね はぁ…」
栄もため息をついたようで
この場にいる大人達全員が頭を抱えてしまってる様子でした
「報告しないわけにもございませんし
幸正と美穂の両名に関する内容は皇族だけの
最高機密事項に設定していただくようにお願いします」
わたくしは栄にそう伝えました
「承知致しました では、早速 手配致します」
「鑑定士 あなたもいいですね?」
「御意にございます」
鑑定士の方は青ざめた顔で答えてます
「それから加賀、樹の両家はしばらくの間 皇家敷地内にある屋敷で
生活して貰うことになると思います そのつもりで いいですね?」
「「「「は」」」」
両家の大人達4人が頭を低くして返答しました
「それから、栄 お願いがあるのですが?」
「姫様 いかがなさいましたでしょうか?」
「このあと 子ども達だけで会話したいのです」
「そうですね 妹君…美穂様とも話したいこと山ほどございましょうし」
「どこか場所をお願い出来ますか?」
「それでしたら…姫様がお泊まりになられているお部屋で
3人だけでお話になられたら如何でしょうか?」
「ありがとうございます 護衛の方も外してくれませんか?」
「仕方ございませんね 大丈夫でしょう 美穂様の回復魔法もありますでしょうし」
栄が美穂さんを見ながらそう言います
美穂さんはばつの悪そうにしてますが…
「それでは 部屋まで護衛の方もお願いします」
「御意」
わたくしは美穂さんと幸正くんをつれて
自分が泊まっている部屋までむかいました