151話 カレー
陛下視点です
わしは、ゆかりから今日の出来事を報告を受け
話が一段落すると目の前にあるものを
指さして問いかける
先ほどから食欲を刺激される匂いが
目の前から醸し出されていて
気になって気になって仕方なかったのだが
「はい カレーです」
「カレーとな?」
「お義父様と夫のは辛口になっており
お義母様のほうは中辛となっております」
ゆかりが説明する
辛口…辛いのは、この国だとわさびなどがあるが
どのようなものなのか…
「報告も一段落でよいか?」
「はい」
「では、いただくとしよう いただきます」
わしは手を合わせいただきますをして
目の前にある蓋をあけていく
蓋は透明のものじゃったから中身もみえていたが
蓋を開けると余計に匂いが鼻を刺激し
食欲がそそがれてしまっておる
まずは一口…食べてみる
「…っ」
口の中に入れた瞬間、強烈に辛さが
口の中に襲ってくる感じじゃった
辛さだけではなく、うまさもちゃんと伝わってくる
野菜、肉などの具材もうまいが
それだけじゃないようなものだった
雅仁も額に汗をかかせながら口にしておった
「これがカレー 確かに辛い 辛いが癖になる」
「わたくしは辛口は無理でしたので中辛を選んでます
未来に至っては甘口です」
「はい 中辛は無理すれば食べれると思いましたが
甘口の方が丁度よかったので」
「そうか これはやみつきになりそうなものじゃな」
「そうですね」
「えぇ…」
「はい」
辛さは好みで調節可能なものもそうだが
これは癖になりそうな食べものじゃな
「作り方はわかるのか?」
「作り方自体は至って簡単ですが
問題はカレーを作るための香辛料です」
「ふむ この国にないものか?」
わしがそう問いかけると
壁際に待機していた侍女の一人が手をあげながら
伺ってきた
「さくらか 気にせず発言して構わない」
「はい 失礼します
幸正様がわたしたち4人をダンジョンに連れて行った
主目的の一つでもあるのです」
「ふむ ダンジョンに香辛料があるとみて?」
「はい まだ捜してませんが動物、植物階層に
生えている植物を捜索してみる予定です」
「なるほど」
あやつは最初からカレーなどを作ろうとして
ダンジョンを捜そうとしていたのか
そこに…ゆかりが口を挟んでくる
「さくらたちだけでは大変だと思います」
「そうだな 本来の職務もあるだろう」
「そこで…冒険者協会に働きかけはいかがですか?」
「冒険者はどうだ? 目立った問題は起きてないようにみえるが」
「経験値倍増付与ゲート設置から1週間以上経ちますが
問題起こす冒険者も今のところは報告されてません」
「危惧されていた反月宮、反社勢力の動きもないのか」
「そもそも、犯罪者がゲートをくぐれば
自動的に拘束されてしまう仕組みですし
むしろ警察が大忙しのようです」
「そうか それはそれで警察には大変なことを押しつけてしまったようじゃな」
「そうですね それで…安定してレベルも上がってきているみたいですので
報酬を出してでも香辛料を集める処置は如何でしょう?」
「そうだな そのように働きかけるよう手配を
それから…さくら 該当する植物はわかるのか?」
「はい わたしは幸正様から辞典もいただいてますので
データベースもあります 該当植物の資料を印刷しますので
お使いください」
「助かる」
さくらがすぐさま印刷作業を実行しているようだ
ほぼ自動印刷だから手間もないようじゃな
指輪の機能とはいえ…つくづく幸正は滅茶苦茶なことをしておる
ゆかりが確認忘れという感じに口を開く
「カレーのことじゃないのですが
美幸達との料理学校についてです」
「そういえば その件もまだまだだな」
「はい 学校は早ければ来年度からですが
その前に…これら料理を披露する試食会を
一般国民を巻き込み行いたいのですが
会場建設等の手配もお願い出来ますか?」
「わかった 政府に働きかけるとしよう
会場は…西の広大な土地がよさそうか」
「最西の街から魔の森結界まで
何もない土地がありますからね」
「全国からそこへ移動出来るように交通整理も進めないとな」
「そうですね これらも12月の予定として
計画を進めていくことでよろしいでしょうか?」
「1ヶ月ちょっとしかないが…難しいのではないか?」
「交通網の整理、料理の確保、会場の建設
厳しそうですね」
「こうするのはどうだ?
西の街近くの会場は来年夏を目処に大々的に行い
12月のは首都のどこかの会場で行う
12月のは規模的にも小さめでよかろう?」
「わかりました そのように通達します」
幸正がもたらした食文化
これらを一般国民へ浸透させるための
食の祭典 会場の建設
会場への移動手段の整理などなど
雇用も増えるだろう
本来なら、わしらは結界を管理する立場だけで
政治などには口出す立場ではないが
幸正のやらかしに対応出来るのは
わしらだけじゃから仕方ないだろう
建設会社、鉄道会社、自動車会社
どれもこれも忙しくなるだろう
飛行機開発もまだ手付かずであるのもそうだな
色々と山積みで頭が痛い
しかし…カレーはやみつきになる味じゃった
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